都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
『国際芸術祭 あいち2022』 Vol.2 一宮市(尾西エリア)
『国際芸術祭 あいち2022』 Vol.1 一宮市(一宮駅エリア)に続きます。『国際芸術祭 あいち2022』を見てきました。
一宮市西部の尾西エリアでは、計3カ所の施設にて4名のアーティストが展示を行っていて、最も遠い会場は駅から5キロほど離れているため、バスを利用する必要がありました。
まず目指したのは木曽川にも近い尾西生涯学習センター墨会館で、レオノール・アントゥネスと迎英里子が作品を公開していました。
尾西生涯学習センター墨会館とは、1957年に建築家丹下健三が設計した建物で、初期のモダニズム様式を残した愛知県内唯一の丹下建築として知られてきました。2008年には国の登録有形文化財に登録されています。
最寄りの尾張中島のバス停にて下車し、北東方向へ約10分ほど歩いていくと、コンクリート造りの一際目を引く建物、すなわち尾西生涯学習センター墨会館がすがたを現しました。半円を描くような外観もユニークで、まるで要塞、あるいは船のような建物にも見えるかもしれません。
ポルトガル生まれのレオノール・アントゥネスは、モダニズム建築と呼応するようなインスタレーションを手がけていて、陶や真鍮、牛革にコットン、また木といった多様な素材を集会室の空間へと介在させていました。どことなく舞台装置や演出のような雰囲気も感じられたかもしれません。
迎英里子は、毛織の生産工程をいくつかの要素に分解し、抽象化したという装置を展示していて、あわせて中庭にて行われたパフォーマンスの映像も公開していました。オレンジ色の布やビニールと中庭の緑の対比も目を引くのではないでしょうか。
元々尾西市(現在の一宮市)は、紡績、毛織産業で栄えた地として知られていて、それを迎はリサーチしつつ、作品として表現しました。
再び尾張中島のバス停に戻り、今度は一宮駅行きのバスに乗車して籠屋バス停で降りると、ノコギリ型をした屋根が特徴的な建物が見えてきました。
これが旧毛織物工場ののこぎり二と呼ばれる会場で、塩田千春が工場に残る機械や糸巻きの芯を用いたインスタレーションを展開していました。
これらの作品には一宮市の毛糸も用いるなど、場所の記憶も踏まえていて、工場跡地の古い空間を埋め尽くすかのように赤い糸が広がっていました。またいわゆる映える作品でもあるからか、心なしかほかの会場よりもギャラリーが多いように感じられました。
こののこぎり二から歩いて10分超ほどの場所にあるのが国島株式会社の会場で、中国の北京を拠点に活動する曹斐(ツァオ・フェイ)が映像『新星』を展示していました。
『新星』の上映時間は約100分近くあり、スケジュールの関係により少しだけの鑑賞となりましたが、独特のSF風のテイストと、中国の古い工場へと迷い込んだかのような空間も面白く感じました。
尾西エリアは展示施設が広域に点在しているため、バスでの移動時間にある程度余裕を持っておく必要がありました。特に尾西生涯学習センター墨会館はバス停からも遠く、行き来にやや時間がかかりました。ただバスそのものは毎時4〜5本程度あるため、さほど待つことはありませんでした。また渋滞もなく、ほぼ定時で運行されていました。
一宮市会場では旧看護学校を中心に病や生と死、メンタルヘルスなどを扱う作品が多かった一方で、一宮や尾西における繊維業の歴史を踏まえた作品が目立っていました。
こうして一通り尾西エリアの展示を見終えたのち、再びバスで一宮駅へと戻り、今度は愛知芸術文化センターの展示を見るべく名古屋へと向かいました。
『国際芸術祭 あいち2022』 Vol.3 愛知芸術文化センターへと続きます。
『国際芸術祭 あいち2022』関連エントリ
Vol.1 一宮市(一宮駅エリア) / Vol.2 一宮市(尾西エリア) / Vol.3 愛知芸術文化センター / Vol.4 有松地区(名古屋市) / Vol.5 常滑市(やきもの散歩道) / Vol.6 常滑市(INAXライブミュージアム)
国際芸術祭「あいち2022」(@Aichi2022)
開催地域:愛知芸術センター、一宮市、常滑市、有松地区(名古屋市)
開催期間:2022年7月30日(土)~10月10日(月・祝)
開催時間:10:00~18:00(愛知芸術センター、一宮市)、10:00~17:00(常滑市、有松地区)
※愛知芸術センターは金曜日は20:00まで。一宮市役所は17:15まで
休館日:月曜日(愛知芸術センター、一宮市)、水曜日(常滑市、有松地区)
料金:一般3000円、学生(高校生以上)2000円、中学生以下無料
※フリーパス。この他に1DAYパスあり
一宮市西部の尾西エリアでは、計3カ所の施設にて4名のアーティストが展示を行っていて、最も遠い会場は駅から5キロほど離れているため、バスを利用する必要がありました。
まず目指したのは木曽川にも近い尾西生涯学習センター墨会館で、レオノール・アントゥネスと迎英里子が作品を公開していました。
尾西生涯学習センター墨会館とは、1957年に建築家丹下健三が設計した建物で、初期のモダニズム様式を残した愛知県内唯一の丹下建築として知られてきました。2008年には国の登録有形文化財に登録されています。
最寄りの尾張中島のバス停にて下車し、北東方向へ約10分ほど歩いていくと、コンクリート造りの一際目を引く建物、すなわち尾西生涯学習センター墨会館がすがたを現しました。半円を描くような外観もユニークで、まるで要塞、あるいは船のような建物にも見えるかもしれません。
ポルトガル生まれのレオノール・アントゥネスは、モダニズム建築と呼応するようなインスタレーションを手がけていて、陶や真鍮、牛革にコットン、また木といった多様な素材を集会室の空間へと介在させていました。どことなく舞台装置や演出のような雰囲気も感じられたかもしれません。
迎英里子は、毛織の生産工程をいくつかの要素に分解し、抽象化したという装置を展示していて、あわせて中庭にて行われたパフォーマンスの映像も公開していました。オレンジ色の布やビニールと中庭の緑の対比も目を引くのではないでしょうか。
元々尾西市(現在の一宮市)は、紡績、毛織産業で栄えた地として知られていて、それを迎はリサーチしつつ、作品として表現しました。
再び尾張中島のバス停に戻り、今度は一宮駅行きのバスに乗車して籠屋バス停で降りると、ノコギリ型をした屋根が特徴的な建物が見えてきました。
これが旧毛織物工場ののこぎり二と呼ばれる会場で、塩田千春が工場に残る機械や糸巻きの芯を用いたインスタレーションを展開していました。
これらの作品には一宮市の毛糸も用いるなど、場所の記憶も踏まえていて、工場跡地の古い空間を埋め尽くすかのように赤い糸が広がっていました。またいわゆる映える作品でもあるからか、心なしかほかの会場よりもギャラリーが多いように感じられました。
こののこぎり二から歩いて10分超ほどの場所にあるのが国島株式会社の会場で、中国の北京を拠点に活動する曹斐(ツァオ・フェイ)が映像『新星』を展示していました。
『新星』の上映時間は約100分近くあり、スケジュールの関係により少しだけの鑑賞となりましたが、独特のSF風のテイストと、中国の古い工場へと迷い込んだかのような空間も面白く感じました。
尾西エリアは展示施設が広域に点在しているため、バスでの移動時間にある程度余裕を持っておく必要がありました。特に尾西生涯学習センター墨会館はバス停からも遠く、行き来にやや時間がかかりました。ただバスそのものは毎時4〜5本程度あるため、さほど待つことはありませんでした。また渋滞もなく、ほぼ定時で運行されていました。
一宮市会場では旧看護学校を中心に病や生と死、メンタルヘルスなどを扱う作品が多かった一方で、一宮や尾西における繊維業の歴史を踏まえた作品が目立っていました。
こうして一通り尾西エリアの展示を見終えたのち、再びバスで一宮駅へと戻り、今度は愛知芸術文化センターの展示を見るべく名古屋へと向かいました。
『国際芸術祭 あいち2022』 Vol.3 愛知芸術文化センターへと続きます。
『国際芸術祭 あいち2022』関連エントリ
Vol.1 一宮市(一宮駅エリア) / Vol.2 一宮市(尾西エリア) / Vol.3 愛知芸術文化センター / Vol.4 有松地区(名古屋市) / Vol.5 常滑市(やきもの散歩道) / Vol.6 常滑市(INAXライブミュージアム)
国際芸術祭「あいち2022」(@Aichi2022)
開催地域:愛知芸術センター、一宮市、常滑市、有松地区(名古屋市)
開催期間:2022年7月30日(土)~10月10日(月・祝)
開催時間:10:00~18:00(愛知芸術センター、一宮市)、10:00~17:00(常滑市、有松地区)
※愛知芸術センターは金曜日は20:00まで。一宮市役所は17:15まで
休館日:月曜日(愛知芸術センター、一宮市)、水曜日(常滑市、有松地区)
料金:一般3000円、学生(高校生以上)2000円、中学生以下無料
※フリーパス。この他に1DAYパスあり
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