都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「桜さくらサクラ・2009」 山種美術館
山種美術館(千代田区三番町2 三番町KSビル1階)
「桜さくらサクラ・2009 - さようなら千鳥ケ淵 - 」
3/7-5/17
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/5c/3f49f6270331b8ff9f01300c2a8e9b42.jpg)
美術館の移転のため、千鳥ヶ淵では最後の開催となります。山種の春の恒例展示、「桜さくらサクラ」を見てきました。
毎年見続けているだけあってか既視感は否めませんが、とっさの思いつきで今回は夜桜に的を絞ることにしました。出品作約50点のうち、夜桜モチーフの作品は10点弱ほどあります。以下に挙げてみます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/f3/c24aa71dc06b1c6ee1b9a046fa321a30.jpg)
加山又造「夜桜」
新美の又造展で見た大作の屏風絵を連想させます。朧げに浮かぶ満月を背に輝くのは、枝振りも立派な枝垂桜でした。花々は空間を埋めるようにして力強く咲き誇ります。桜の下から花見の賑わいの声すら聞こえてきそうなほどに華やかでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/8a/5e61d7fac22cbf07835112bde97cb1f5.jpg)
今尾景年「松月夜桜」
主役は花よりも松の幹にあるのかもしれません。太い松に寄り添う桜の花びらは何とも健気でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/10/348e844fe8de7637136ba923313c3b0c.jpg)
川崎小虎「山桜に雀」
桜の枝で目を瞑って眠る雀のつがいが描かれています。控えめな白い桜の描写も印象に残りましたが、それよりも可愛らしい雀にぞっこんでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/ed/b1be2182b4532e4b021fbfc8fdee4cd0.jpg)
速水御舟「春の宵」
何度見てもその儚さには言葉を失ってしまいます。この桜は深い悲しみをたたえてはないでしょうか。まるで涙を流すかのように花びらを散らしていました。
速水御舟「夜桜」
モノトーンに沈む桜の枝が写実的に表されています。うっすらと金色を帯びた花弁の光には心打たれました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/41/31efd85668a045fd812cec3673c934d8.jpg)
菱田春草「月四題のうち春」
今にもしおれてしまうかのようなか弱い桜が描かれています。ひらひらと落ちる花びらは小雪が舞うかのようでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/25/2b3a70d7e64fcc9d913b609183c197ec.jpg)
千住博「夜桜」
お馴染みの滝などは良く分かりませんが、この作品は素直に美しいと感じました。漆黒の闇に色鮮やかなピンク色の花びらが水しぶきのように広がっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/7f/36603db6063cecec7cb147e10dc8273d.jpg)
稗田一穂「朧春」
水辺に反射した大きな満月がずしりと心に迫ります。後景の深き山並み、そして月明かりを纏った緑色の湖面を舞台に、桜の花が浮き上がるようにして主張していました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/25/ab6f893e3a2dcd48e13768cf47de1f4c.jpg)
石田武「春宵」
一番上に挙げた又造作の枝垂桜にも似ています。藤のように垂れる桜が華々しく咲き誇っていました。清潔感のある作品です。
毎年、葉桜の時期になってしまうことが多いのですが、今年は珍しくも開花前、ちょうど開花宣言の出された前日に行ってきました。このところ花冷えの続く東京ではありますが、見頃はやはり今週末になるのでしょうか。千鳥ヶ淵界隈は大変な人出となりそうです。
5月17日まで開催されています。
「桜さくらサクラ・2009 - さようなら千鳥ケ淵 - 」
3/7-5/17
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美術館の移転のため、千鳥ヶ淵では最後の開催となります。山種の春の恒例展示、「桜さくらサクラ」を見てきました。
毎年見続けているだけあってか既視感は否めませんが、とっさの思いつきで今回は夜桜に的を絞ることにしました。出品作約50点のうち、夜桜モチーフの作品は10点弱ほどあります。以下に挙げてみます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/f3/c24aa71dc06b1c6ee1b9a046fa321a30.jpg)
加山又造「夜桜」
新美の又造展で見た大作の屏風絵を連想させます。朧げに浮かぶ満月を背に輝くのは、枝振りも立派な枝垂桜でした。花々は空間を埋めるようにして力強く咲き誇ります。桜の下から花見の賑わいの声すら聞こえてきそうなほどに華やかでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/8a/5e61d7fac22cbf07835112bde97cb1f5.jpg)
今尾景年「松月夜桜」
主役は花よりも松の幹にあるのかもしれません。太い松に寄り添う桜の花びらは何とも健気でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/10/348e844fe8de7637136ba923313c3b0c.jpg)
川崎小虎「山桜に雀」
桜の枝で目を瞑って眠る雀のつがいが描かれています。控えめな白い桜の描写も印象に残りましたが、それよりも可愛らしい雀にぞっこんでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/ed/b1be2182b4532e4b021fbfc8fdee4cd0.jpg)
速水御舟「春の宵」
何度見てもその儚さには言葉を失ってしまいます。この桜は深い悲しみをたたえてはないでしょうか。まるで涙を流すかのように花びらを散らしていました。
速水御舟「夜桜」
モノトーンに沈む桜の枝が写実的に表されています。うっすらと金色を帯びた花弁の光には心打たれました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/41/31efd85668a045fd812cec3673c934d8.jpg)
菱田春草「月四題のうち春」
今にもしおれてしまうかのようなか弱い桜が描かれています。ひらひらと落ちる花びらは小雪が舞うかのようでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/25/2b3a70d7e64fcc9d913b609183c197ec.jpg)
千住博「夜桜」
お馴染みの滝などは良く分かりませんが、この作品は素直に美しいと感じました。漆黒の闇に色鮮やかなピンク色の花びらが水しぶきのように広がっています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/7f/36603db6063cecec7cb147e10dc8273d.jpg)
稗田一穂「朧春」
水辺に反射した大きな満月がずしりと心に迫ります。後景の深き山並み、そして月明かりを纏った緑色の湖面を舞台に、桜の花が浮き上がるようにして主張していました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/25/ab6f893e3a2dcd48e13768cf47de1f4c.jpg)
石田武「春宵」
一番上に挙げた又造作の枝垂桜にも似ています。藤のように垂れる桜が華々しく咲き誇っていました。清潔感のある作品です。
毎年、葉桜の時期になってしまうことが多いのですが、今年は珍しくも開花前、ちょうど開花宣言の出された前日に行ってきました。このところ花冷えの続く東京ではありますが、見頃はやはり今週末になるのでしょうか。千鳥ヶ淵界隈は大変な人出となりそうです。
5月17日まで開催されています。
コメント ( 10 ) | Trackback ( 0 )
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きっと実物に接したら、どれも絶句するような作品ばかりなのでしょうね。葉桜の季節に千鳥が淵を歩くというのも、これまた「粋」と言えるかもしれません。
>桜の満開の時期はそれなりに混み合うとのことだったので、桜の季節が終わったらのんびりと鑑賞
賢明なご選択ですね。私も一度、桜の時期に行ったことがありますが、それはもう大変な状態でした。しばらくは避けた方が良さそうです。
>これまた「粋」
同感です。新緑もまた美しいでしょうね。
私も暖かい時期になると、よく半蔵門から山種、そして千鳥が淵から神保町の古本街へと至るコースを散歩します。移転してしまうとそれが出来なくなるので少し寂しいです。(広尾は右も左も分からない場所なので…。)
夜桜ばかりの選択、素敵です。
発想そのものがいいですね♪
普段から好きな作品が多い山種ですが、春秋の美をモティーフにした展覧会は、本当にこたえられません!
小虎の雀ちゃんたち、可愛かったですね。
撫でたくなりました。
>夜桜
何か括りがあればと思い、とっさの気分で夜桜見物としてみました。
どれも素晴らしい『名所』ばかりですので楽しめますよね。
>雀ちゃん
本当に可愛かったです。今回の主役は桜よりもこちらかも…。
山種の「桜さくらサクラ」今年はどうしても感慨が先にたってしまいました。
「千鳥ヶ淵の桜が咲きはじめました」のフェヤーモントホテルの小さな広告が、新聞に載るとわくわく、なつかしいです、ホテルは平成14年になくなり、今度は山種が移転、来年も桜は見に来ようとは思いますけれど。
それにしても夜桜の絵、もう甲乙つけられないすばらしさ、とりあげ方、感謝します。
>どうしても感慨が先にたってしまいました。
同感です。最後となるとぐっと来るものがありますよね。
>ホテルは平成14年になくなり、今度は山種が移転、来年も桜は見に来ようとは思います
千鳥が淵の桜だけは永遠にということでしょうか。
思い出の場所が一つ消えるのは寂しいですよね。
>感謝します
いえいえこちらこそ!
千鳥ヶ淵もすっかり整備され
以前の「良さ」が消えてしまいましたね。
山種さんも引っ越すには丁度いいかも。
そろそろ根津美術館も完成しますし!
>整備
本当に変わりましたね。歩き易くなったのは事実ですが…。
>根津美術館
すっかり忘れておりました…。
あの界隈にお強いTakさんのことですから、新築オフ開催決定ですね!
詳しくはブログに書こうと思いますが、どれも見応えのある作品ばかりでした。それにしても御舟の美感には言葉もありません。御舟の「夜桜」、見事です。今、購入してきた「サクラ」のミニ図録で振り返っていますが、これはブログには載せたくないですよね。
初山種は如何でしたでしょうか。外見も展示フロアも素っ気ないオフィスビルそのものですが、館蔵品はどれも素晴らしいものばかりですよね。次回の移転はパワーアップとのことで、さらに作品にとって良い環境になるのではないでしょうか。楽しみです。
>今、購入してきた「サクラ」のミニ図録
私も以前購入しました。
毎度図録が出るわけではないのが山種らしいところですが、
展示を振り返るのになかなか良く出来た冊子だと思います。
夏を超えればいよいよ御舟展ですね。待ち遠しいです。