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「MOMATコレクション 特別編 ニッポンの名作130年」 東京国立近代美術館

東京国立近代美術館
「MOMATコレクション 特別編 ニッポンの名作130年」
2021/6/1~9/26



東京国立近代美術館で開催中の「MOMATコレクション 特別編 ニッポンの名作130年」を見てきました。

MOMATコレクションには、日本の20世紀の初頭から現代へと至る100年間の美術の流れを網羅すべく、日本画、洋画、版画、水彩・素描、写真など、実に13000点もの作品がコレクションされてきました。

そのうち「珠玉の名作」(リリースより)ばかりで構成されたが「MOMATコレクション 特別編 ニッポンの名作130年」で、横山大観「生々流転」をはじめとする8点の重要文化財のほか、藤田嗣治や梅原龍三郎、それに東山魁夷などの約250点の作品が公開されていました、


小林古径「唐蜀黍」 1939年

まず1室の「ハイライト」で目を引くのが、土田麦僊の「湯女」や小林古径の「唐蜀黍(とうもろこし)」、それに横山大観の「生々流転」などでした。そのうち古径の「唐蜀黍」が左右に一本ずつのとうもろこしを色を変えて描いていて、右はほぼ直立していたものの、左は風に吹かれているのか傾いていました。こうした左右に対照的な構図や葉に用いられたたらし込みの技法などから、宗達といった琳派を意識した作品と指摘されているそうです。


横山大観「生々流転」 1923年 

横山大観の「生々流転」は全長40メートルもの画巻に展開する超大作で、雲から雫となり、川へと流れ、海原を開いては再び雲となるという、いわば水の一生を描いていました。


横山大観「生々流転」(部分) 1923年

ともかく水墨の技術が卓越していて、山の合間を進む水のせせらぎなども細かに表現されていました。また随所で自然とともに生きる人々の姿が見られるのも、本作の見どころといえるかもしれません。


中沢弘光「夏」 1907年

第2室の「明治の美術」では、西洋絵画受容の初期の名作として知られる原田直次郎の「騎龍観音」とともに、中沢弘光の「夏」に目が止まりました。第1回の文展に出展された作品で、夏の明るい日差しの元、海辺の砂浜にて日傘をさす女性を描いていました。油彩画ながらもパステルのように淡い色調も魅力ではないでしょうか。


小原古邨「金魚二匹」 1926〜45年

新版画家として活動し、特に花鳥画で人気を博した小原古邨も充実していました。今回は32点を前後期に分けて展示していて、いずれも色鮮やかな「紫陽花」や「朝顔」、それに水草を下に金魚がのんびりと泳ぐ「金魚二匹」などに魅せられました。


右:戸張弧雁「麻の葉」 1913年

同じく木版画では戸張弧雁の「化粧」や「麻の葉」も見入る作品だったかもしれません。華美ではない、古風を帯びたような落ち着いた色調に独特のセンスを感じました。


第8室「具体とアンフォルメル」展示風景

白髪一雄や吉原治良、それに勅使河原蒼風などの作品が並ぶ第8室の「具体とアンフォルメル」も見応え十分でした。1954年に吉原治良をリーダーに結成されたのが具体美術協会で、「ひとのまねをするな」のモットーの元、白髪一雄や田中敦子などが旺盛に活動しました。


今井俊満「コンポジション」 1955年

一方で具体の作家は、1950年後半にフランスを中心とした抽象絵画運動「アルフォルメル」にも呼応していて、日本からもパリに留学していた今井俊満らが参加しました。


東山魁夷「白夜光」 1965年

第10室の「日本画」では戦後日本画を代表する東山魁夷が特集されていました。ここでは代表作の「道」をはじめ、「晩照」や「白夜光」などが並んでいて、とりわけ京都の嵯峨野に取材して月下の竹林を描いた「月篁」に心を魅かれました。


東山魁夷「月篁」 1967年

竹林は薄暗がりの中に密集しながらも、上部がわずかに明るくなっていて、絵の外にあって光を放つ月の存在が巧みに表されてました。明かりに向かって竹林が背を伸ばしていくような表現も面白いかもしれません。


第11室「現代工芸の座標」展示風景

昨年10月に金沢へ移転した国立工芸館のコレクションの一部が、第11室「現代工芸の座標」にて展示されていました。


森村泰昌「Brothers (A Late Autumn Prayer)」 1991年

石内都、大竹伸朗、村上隆、丸山直文らの現代の作品による第12室「この30年の美術」も見逃せないかもしれません。森村泰昌の「Brothers (A Late Autumn Prayer)」が新たに加わった作品として公開されていました。


会期中に作品の入れ替えがあります。詳しくは下記リンク先の出品リストをご覧ください。

「MOMATコレクション 特別編 ニッポンの名作130年」(出品リスト
前半:5月25日〜7月18日
後半:7月20日〜9月26日

会場で当日券も販売されていますが、オンラインでの事前予約制も導入されました。会場の混雑状況によっては事前予約が優先となります。


小企画「鉄とたたかう 鉄とあそぶ デイヴィッド・スミス《サークルⅣ》を中心に」展示風景

企画展「隈研吾展」のチケットでも観覧可能です。またコレクションによる小企画「鉄とたたかう 鉄とあそぶ デイヴィッド・スミス《サークルⅣ》を中心に」もあわせて見ることができます。


藤田嗣治「自画像」 1929年

一部の作品を除いて撮影もできました。9月26日まで開催されています。

「MOMATコレクション 特別編 ニッポンの名作130年」 東京国立近代美術館@MOMAT60th
会期:2021年6月1日(火)~9月26日(日)
時間:10:00~17:00。
 *金曜・土曜は20時まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。但し7月26日、8月2日、9日、30日、9月20日は開館。8月10日(火)、9月21日(火)は休館。
料金:一般500(400)円、大学生250(200)円、高校生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
住所:千代田区北の丸公園3-1
交通:東京メトロ東西線竹橋駅1b出口徒歩3分。
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