都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「アート アワード トーキョー 丸の内2009」 行幸地下ギャラリー
行幸地下ギャラリー(千代田区丸の内2-4-1 行幸通り地下)
「アート アワード トーキョー 丸の内2009」
4/29-5/31
日本の主要美術大学、もしくは大学院から選抜された作家、作品を一堂に会して展観します。(公式HPより引用)東京駅丸の内口前、行幸地下ギャラリーで開催中の「アート アワード トーキョー 丸の内2009」へ行ってきました。
会場入口。東京駅丸の内地下中央口より地下通路をそのまま皇居方面へと向かった先にあります。新丸ビルと丸ビルの間です。
展示風景。会場はまさに通路ですが、二列の柱の外側にある壁面ガラスケースに作品がおさめられています。
各大学の卒業制作展などから選抜された作家ということで、まさにアートの「若き才能」(チラシより引用)の集う展覧会ではありますが、ジャンルに特段の制限がない点も面白いところです。絵画が目立つのはもちろんのことながらも、他に立体、またメディアからパフォーマンスの記録など、多様な表現が登場していました。
まずは公開審査によって選ばれた本年の受賞作家を公式HPより転載します。
グランプリ賞 wah(南川憲二+増井宏文)(東京芸術大学)
準グランプリ賞 伊藤彩(京都市立芸術大学)
審査員賞
天野太郎賞 平川ヒロ(愛知県立芸術大学)
飯田志保子 賞宮永亮(京都市立芸術大学)
後藤繁雄賞 三井美幸(東京造形大学)
木幡和枝賞 藤居典子(京都造形芸術大学)
小山登美夫賞 寺村利規(京都造形芸術大学)
佐藤直樹賞 松田啓佑(京都市立芸術大学)
高橋明也賞 神馬啓佑(京都造形芸術大学)
長谷川祐子賞 村田宗一郎(東京芸術大学)
村上隆賞 辻基拓(京都精華大学)
オーディエンス賞 1名
シュウウエムラ賞 河野里沙(東京芸術大学)
なお本年からオーディエンス賞として、現地での観客の投票が可能となりました。(投票可能期限は本日までです。)
それでは以下、受賞作とも重なりますが、私の印象に残った作品をいくつか挙げてみます。
土屋裕介「pray」 あどけない少年が古びた本の椅子に座り、どこか不安げな様で虚空を見つめています。木彫かと思いきや、何とテラコッタの作品でした。
Wah(南川憲二+増井宏文)*グランプリ 「グランドに風呂をほる。」などの突拍子もないアイデアを果敢に攻め込んで実現してしまうパフォーマンスです。失礼ながらもそのくだらなさに稀なセンスを感じてしまいました。
神馬啓佑「digest」*高橋明也賞 様々な色に象られた面や線が複雑怪奇に組み合わさり、それらが互いに『運動』しながら無限の空間を生み出します。
武藤智佳子「ぜったいとけない魔法」 まるで大昔の海の底を原始の魚が泳いでいるかのようです。水性と油性、そして版画まで交えて出来た画肌にも魅力を感じました。
佐藤万葉「ある日の東京」 何気ない新宿副都心の光景を比較的精緻なタッチで描きます。写生かと思いきや、高層ビルの窓には夢の中の世界から飛び出てきたような女性が映り込んでいました。
辻基拓「刻一刻」*村上隆賞 何やら四角い形をしたオブジェが点々と並びます。不思議な温もりを感じるのは、その素材が陶であるからかもしれません。
寺村利規「無題」*小山登美夫賞 クローズアップされた二人の男女がすれ違います。互いに目を合わせず、各々に強い意志を秘めた彼ら彼女らは、この後一体どうした行動に出るのでしょうか。その緊張感にぞくぞくさせられました。
如何でしょうか。また写真におさめきれなかったので上には割愛しましたが、藤居典子の「えん」(木幡和枝賞)も強く印象に残る作品です。雲のように広がる渦に大地が呑み込まれています。そのスケールは壮大でした。
2007年よりの開催ということで、そろそろ丸の内の一アートイベントとして定着してきて欲しいような気もしますが、元々それほど通行量の多い場所ではないせいか、特に土日ともなるとどうしても閑散としています。出品作には興味深いものも多いだけにもう一歩、丸ビルや新丸ビルの賑わいを取り込む施策があればとは思いました。
東京駅前ということで当然ながら交通は至便です。仕事帰り、もしくは乗り換えの際にでも立ち寄ってみては如何でしょうか。(連日無休にて20時まで開いています。)
今月末日、31日までの開催です。なお入場は無料です。
*追記:オーディエンス賞に上にも取り上げた、佐藤万葉の「ある日の東京」が選ばれました。おめでとうございます。
「アート アワード トーキョー 丸の内2009」
4/29-5/31
日本の主要美術大学、もしくは大学院から選抜された作家、作品を一堂に会して展観します。(公式HPより引用)東京駅丸の内口前、行幸地下ギャラリーで開催中の「アート アワード トーキョー 丸の内2009」へ行ってきました。
会場入口。東京駅丸の内地下中央口より地下通路をそのまま皇居方面へと向かった先にあります。新丸ビルと丸ビルの間です。
展示風景。会場はまさに通路ですが、二列の柱の外側にある壁面ガラスケースに作品がおさめられています。
各大学の卒業制作展などから選抜された作家ということで、まさにアートの「若き才能」(チラシより引用)の集う展覧会ではありますが、ジャンルに特段の制限がない点も面白いところです。絵画が目立つのはもちろんのことながらも、他に立体、またメディアからパフォーマンスの記録など、多様な表現が登場していました。
まずは公開審査によって選ばれた本年の受賞作家を公式HPより転載します。
グランプリ賞 wah(南川憲二+増井宏文)(東京芸術大学)
準グランプリ賞 伊藤彩(京都市立芸術大学)
審査員賞
天野太郎賞 平川ヒロ(愛知県立芸術大学)
飯田志保子 賞宮永亮(京都市立芸術大学)
後藤繁雄賞 三井美幸(東京造形大学)
木幡和枝賞 藤居典子(京都造形芸術大学)
小山登美夫賞 寺村利規(京都造形芸術大学)
佐藤直樹賞 松田啓佑(京都市立芸術大学)
高橋明也賞 神馬啓佑(京都造形芸術大学)
長谷川祐子賞 村田宗一郎(東京芸術大学)
村上隆賞 辻基拓(京都精華大学)
オーディエンス賞 1名
シュウウエムラ賞 河野里沙(東京芸術大学)
なお本年からオーディエンス賞として、現地での観客の投票が可能となりました。(投票可能期限は本日までです。)
それでは以下、受賞作とも重なりますが、私の印象に残った作品をいくつか挙げてみます。
土屋裕介「pray」 あどけない少年が古びた本の椅子に座り、どこか不安げな様で虚空を見つめています。木彫かと思いきや、何とテラコッタの作品でした。
Wah(南川憲二+増井宏文)*グランプリ 「グランドに風呂をほる。」などの突拍子もないアイデアを果敢に攻め込んで実現してしまうパフォーマンスです。失礼ながらもそのくだらなさに稀なセンスを感じてしまいました。
神馬啓佑「digest」*高橋明也賞 様々な色に象られた面や線が複雑怪奇に組み合わさり、それらが互いに『運動』しながら無限の空間を生み出します。
武藤智佳子「ぜったいとけない魔法」 まるで大昔の海の底を原始の魚が泳いでいるかのようです。水性と油性、そして版画まで交えて出来た画肌にも魅力を感じました。
佐藤万葉「ある日の東京」 何気ない新宿副都心の光景を比較的精緻なタッチで描きます。写生かと思いきや、高層ビルの窓には夢の中の世界から飛び出てきたような女性が映り込んでいました。
辻基拓「刻一刻」*村上隆賞 何やら四角い形をしたオブジェが点々と並びます。不思議な温もりを感じるのは、その素材が陶であるからかもしれません。
寺村利規「無題」*小山登美夫賞 クローズアップされた二人の男女がすれ違います。互いに目を合わせず、各々に強い意志を秘めた彼ら彼女らは、この後一体どうした行動に出るのでしょうか。その緊張感にぞくぞくさせられました。
如何でしょうか。また写真におさめきれなかったので上には割愛しましたが、藤居典子の「えん」(木幡和枝賞)も強く印象に残る作品です。雲のように広がる渦に大地が呑み込まれています。そのスケールは壮大でした。
2007年よりの開催ということで、そろそろ丸の内の一アートイベントとして定着してきて欲しいような気もしますが、元々それほど通行量の多い場所ではないせいか、特に土日ともなるとどうしても閑散としています。出品作には興味深いものも多いだけにもう一歩、丸ビルや新丸ビルの賑わいを取り込む施策があればとは思いました。
東京駅前ということで当然ながら交通は至便です。仕事帰り、もしくは乗り換えの際にでも立ち寄ってみては如何でしょうか。(連日無休にて20時まで開いています。)
今月末日、31日までの開催です。なお入場は無料です。
*追記:オーディエンス賞に上にも取り上げた、佐藤万葉の「ある日の東京」が選ばれました。おめでとうございます。
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