「北村怜子 - 2018 - 」 FOIL GALLERY

FOIL GALLERY千代田区東神田1-2-11 アガタ竹澤ビル201)
「北村怜子 - 2018 - 」
1/16-2/11



のびやかに広がる絵具の幕の向こうには、いつか見た景色の残像が広がっています。フォイルギャラリーで開催中の北村怜子展へ行ってきました。

リヒターの絵画を連想したのは私だけではないかもしれません。アクリルやインク、それに墨などを混ぜ合わせて出来た色面はまさに抽象そのものですが、その奥に垣間見えるモチーフには、見る者の多様な心象風景が投影されてはいないでしょうか。ピンクやブルーの膜が、ちょうどレースのカーテンを通した光のような輝きを放ち、所々に空く穴の奥底からは、森や草むらの上を舞う蝶のようなイメージがわきあがってきました。爛れ落ち、うっすらと伸びる絵具が、何ら形をとることなく、あたかも水を自由に泳ぐような多様な表情をとっています。一抹の儚さもたたえていました。

実際にこれらの作品は、紙の上へ絵具と水を垂らして作られているのだそうです。その偶然性にさらなる世界の広がりを予感させます。

2月11日までの開催です。
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