このブログは自分用の備忘録のような感じです。
エリザベート・ノルベルクシュルツ先生のレッスンを、2日間受けてきたわけですが、大変大きな変化と発見がありました。もう戻れませんって感じです。
まず、レッスンを受ける前に、今回のレッスンで確認したいことがあるとお願いしました。
それは「私の声について」。
これまで、本当にいろいろな人から、「あなたの声はリリックよ。」「スピントよ」「いえ、落ち着いた声」「夜の女王も歌えるでしょう?」「伯爵夫人」「いえいえ、パミーナ」
こんな感じで、ありえない「声の範囲」をうろうろしている何十年でした。もちろんオペラはやっていないのでいいのですが、リートを歌うたびに、「どっち側の声なんだろう?軽いのか重いのか?」と自分で自分の声の種類を決められないでやって来たという経緯があります。だから声に関係ないウィーン歌曲をやってきたのかもしれません。
2年前の座学講習の時に、先生は私の顔と普通に話している声を聞いて「あなたはドラマチックね。」と言ったのでびっくりしたのです。で、今回はそれを確認したい。実際に歌っている声を聞いてもらって判断してほしいとお願いしました。
で、やっぱりドラマチックなんだそうです。骨格やしゃべっている声の位置などが、そうだというのです。歌っている声もそうだと言い切られてしまいました。なかなかそんなことは信じられないと思っているので「やせたら軽い声になりますか?」とまで聞いたけど、ならないと一喝。
レッスンが始まって、まあ、これまで自分で聞いたことのない声が出る出る。二日目の終了時には、いつものピアニストが「私は長年この人の伴奏をやっているけど、こんな声は初めて聞いた!誰か訳してください!」とジャンプしてました。
先生は私の懐疑的な顔に「私だってトスカ歌いたかったのよ!でもそういう声じゃないの。あなたは歌えるのよ!喜びなさい。」とまで言われて、私も「私はあなたのようにパミーナやりたかった」と、もうたいへん。
実際にいろいろなテクニックや考え方、目指す場所など教えていただいたことは、じゃあ明日その声がまた出せますか?それできますか?って言われたら難しいです。でも、もう知ってしまったからには、戻れませんって言う感じです。初日はため息ばかり。二日目はなぜかレッスン終わって泣いてました。なぜ泣いてるのかわかりませんでした。
これまでは、いるかどうかわからない自分の声を探していた感じがしますが、いるということがわかってしまったので、もう後は探すしかないのです。
宝島にはお宝たくさんあるんだろうなぁと思っているだけなら、普通の生活を送っていればいいのですが、宝島が本当にあるとわかったら船を出すしかない。そして、その船旅は大変だと思うので、気分は最悪です。練習行きたくないなぁって思うくらい。だって次練習行ったら、自分の普段の声にうんざりすると思うと気が重いです。それくらい課題が大きいです。
30年前にレッスンが受けられていたら・・・と思いますが、30年前だときっと昨日できたことはできなかっただろうと思います。これが人生なんだなと思います。あと何年歌えるのかわかりませんが、また勉強です。
これから考える基本になったいくつかのポイントは
「息を送る体に考えを入れてはいけない。」つまり体は息を送る気管としてのみ動かす。そして音を聞くのではなく、ビブラートを聞くこと。つまり息が上手く動いていることを聞く。
「音はその場所にある」押したり引いたり、レガートだと思ってむにゃっと音を移動するのではなく、ただ単にピアノの鍵盤をたたくように音がそこにある。
後は私のクセですが「音を出す前に時間をかけすぎない」子音と呼吸を起こして声が出るまでに時間がかかりすぎるので、もっと単純に音を出す。
「音楽を体や音程でどうにかしようとしない」音楽はもっと別のところにある。
つまり、今までよりも、もっと「息を送る気管」「音を作る場所というより、音ができている場所」の区別が必要だと思いました。
管楽器を演奏する時、小さい音だからふにゃ~と息を出してもきっと鳴らないというのと同じだし、その息に気持ちは入れないでいい、体はいつもまっすぐという感じなんだと思いますし、音程は指を動かしているだけで、音程が作れます。その指先に力を入れてみたり、ゆっくり押してみたりしないことなんだと思います。
つまり音を作る、声を作るというのは、もっと機械的で、音楽は全く別の場所で作られていると感じました。これを整理するのに時間がかかりそうです。
最後、本物でいなさいと何度か言われました。心臓の部分をこれでもかと押されて、そこへ気持ちを入れろという感じでした。でもそうすると、また変わる。面白かったです。
二日目のレッスンで先生に「あなたは偉大な声があるし、才能もある。歌手として認めるわ。」みたいな感じで言われました。めちゃくちゃ嬉しかったです。でも明日は同じ声出ませんけど。
もう全然若くないですけど、とにかくできる限りやってみたいと思います。で、またレッスンが受けられる機会があれば、参加したいし、イタリアへ習いに行きたいなぁ。
それにしても、先生朝から夜まですごい人数を、キュウリポリポリかぶりながら、小さな体で飛び跳ねて、イタリア語、英語、私たちにはドイツ語でしゃべるしゃべる。大阪のおばちゃんよりしゃべります。言ったことができないとだんだん機嫌が悪くなって「喧嘩売られてる」と思うくらいでした。私より若干年上だと思いますが、そのパワーも見習いたいと思います。