老後の練習

しのび寄るコドクな老後。オヂサンのひとり遊び。

『ザ・キャラクター』by NODA・MAP

2010-07-11 07:42:44 | 演劇
2か月ぶりのニッポン。いつものように芝居通いで最初に見たのはエラい重たいナカミだった。だってオームのさりん事件の話なんだから。ハルキ・ムラカミさんもアノことで一冊書いていたくらいだから、文学的には興味深いテーマなのだろう。想像できる。

話はイナカの町の書道教室から始まる。まあ、書道ってちょっといかがわしい感じがすると前から思っていたけど、野田サンもその辺に目を付けたのか。正座して精神統一みたいな雰囲気とか、書く文字なんかも時代錯誤的で全体的にウヨク的なところとか。で、その書道教室の家元=教祖でソコに集まってくる若者を操ってビニール袋に傘を突き刺すところまで。
話の中心にあるのは宮沢りえさま演じる「マドロミ」がその書道教室に入ったままでてこない弟を探しに来て、家元に近づいてついには弟を探し出すが、マドロミがその途中で、ムスコを探しに来ていた「オバちゃん」と出会って、一緒になってソノいかがわしい集団の悪を暴こうとするが、その弟がそのムスコを集団内部のリンチみたいなことでコロしてしまったことがわかって、ジブンの弟がヒトを殺すのを止められなかったコトを嘆きカナしむ。

でもって、書道のカミ=紙がカミ=神で、弟がちぎったマドロミの服の袖がコロモへんがシメスへんになって棒がはみ出して神になったり、マドロミが弟のおもかげを追い求めているのを、おもかげ=俤には弟がある、とか言ったり、野田サン的言葉のアヤトリ。
でまたその上一転、書道教室がギリシャ神話のセカイに早変わりして、その辺の教養がワタシにはないので話のおもしろさがいまいちわからなかったのだが、たぶんソノ、弟のヒトコロしがギリシャ神話のなんかの話に重ねられているんだと思う。あと、今回注目の藤井隆サンが書道教室の会計係であると同時にヘルメスだったり、というのも深い意味があるんだろうがベンキョウ不足でよくわかりマセンでした。スイマセン。

当然ながら、というべきかどうか、アノ事件については批判的な立場で書かれているわけで、最後のところで、あまりに幼稚だ、と言って、宮沢りえさまが絶叫的に嘆きを表現するところはハッキリ言って、おぢさん、やられちゃいマシタ。もう立ち上がって拍手したいくらいの盛り上がり。こんな暗い話なのに。
もうひとつ、ウワサで聞いていた奥秀太郎サマの映像表現は、舞台の上の光景が一瞬に固まった、かと思ったら、虫のカタマリが一斉に動き出すように形を変えたりで、カンペキにどギモをヌカれた。

2010.7.8 東京芸術劇場中ホールにて。当日券ありでまだまだやっている。

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