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彼が恋した相手はリアルドール、なんて書かれると、何か変態コメディかって思うけど。私もそういうお話は嫌だな～と思っていて、ちょっとどきどきしながら見ました。でもぜんぜんそうではなかったのです。
奇妙なラブストーリーとも言えるけど、これは一人のとても内気で傷ついた男性が、自ら立ち直っていくシリアスな物語。
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兄夫婦は、27歳にもなってGFもいない弟を心配している。義姉も一生懸命彼と仲良くしようとするが、彼はすぐ自分の家に引っ込んで、人と交流しようとしない。
しかし引きこもりという訳ではなく、きちんと会社に行って仕事はするし、普通に周りの人ともしゃべる。ただ極端に言葉数が少なく、会話にならない。特に女の子から話しかけられると恥ずかしくてどうしていいかわからず逃げてしまう。
ある日同僚の話から、彼は何とラブドールを購入し、名前を付け、実在の人間のように彼女の生い立ちや職業などを創り上げ、周りの人に彼女を恋人だと紹介する。
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ここで気が変になったから病院へ、と言う展開にならず、みんなとまどいながらも彼のために、兄夫婦も周りの人も、彼女を人間として接するようになるのがこの映画のすごいところ。
人形を診察した（実際は彼の診察になる）女医の役目が一番大きいけど、教会に来ているおばあちゃんたちが、こういう事態に動じず、「人形くらいたいしたことないわ。よくあることよ。」（！）で、対応していく強さと言うか柔軟さと言うか・・もう感心するばかり。
実は人形を通じて彼は徐々に外出が増え、人々と話し交流することが増えてきていたのだ。
やがて彼は苦しい決断を迫られる。でもそれは彼がやっと現実の人との交流をスタート出来るようになったと言うこと。
彼のこういう行動の原因は、お兄さんの告白で語られます。そういうトラウマ持つには正直ちょっと年齢が高いと思いますが、それでも、彼の純粋さ、役を演じたライアン・ゴズリングの純情そうなきれいな顔と素晴らしい演技で、気になりません。
少々ファンタジーっぽいですが、見応えのある素晴らしい作品です。
公式HP→http://lars-movie.com/
和酒処 酒峰