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Lady Justice (正義の女神)(2)

2013年09月06日 | Weblog

 ○造血幹細胞移植

大内さんの染色体は、放射線被ばくの影響でばらばらに破壊されていた。

それは新しい細胞が作られないということ。古くなった皮膚ははがれ落ちていき、表皮が無くなるということ。リンパ球もなくなり、白血球が減少して感染症にかかりやすい状態になるということ。

造血幹細胞移植は、白血球や血小板などの血液中の細胞を造るもとになる細胞を移植し、患者の造血能力、ひいては免疫力を回復させる治療法で、大内さんは自分の白血球の型(HLA)があっている妹さんから移植をうけることになった。

妹さんの細胞が根付くかどうかわかるのに10日かかるという。

結果は、造血幹細胞移植は成功し、大内さんの白血球・リンパ球が増えていった。

大内さんの場合は、免疫細胞がほぼ完全に破壊されていたことが逆に幸いし、妹の細胞を拒絶しなかった為だという。

HLAが合う血液を探すことは難しいそうだ。

 

○培養皮膚

大内さんは高線量被曝の為、治療を続けていくうちに背中の皮膚はきれいに残っていたが、中性子線を直接浴びた体の前面の皮膚はほぼ完全にはがれ落ちていた。

移植の為に妹さんの太股から二センチ×四センチの面積の皮膚が採取され、二週間から1カ月かけて培養された。

その結果、皮膚は再生された。しかし、皮膚がはがれ落ちてしまった体の前の部分までは広がらなかった。

  

こういった状況を踏まえた上で、福島原発の廃炉作業が本格的に進んでいけば、原子炉建屋内に作業員が近づくことで、高線量被曝を受けて大内さんや篠原さんのような悲惨な犠牲者が出るのではないかと予見される。

大内さんの奥さんの手紙にこう書いてある。

「事故以来、ずっと思うことは、自分勝手と言われるかもしれませんが、例え、あの事故を教訓に、二度と同じような不幸な事故が起きない安全な日々が訪れたとしても、逝ってしまった人達は戻ってくることはありません。逝ってしまった人達に今度はありません。とても悲観的な考えなのかもしれませんが、原子力というものに、どうしても拘わらなければならない環境にある以上、また同じような事故は起きるのではないでしょうか。所詮、人間のすることだから…という不信感は消えません。それならば、原子力に携わる人達が自分達自身を守ることが出来ないのならば、むしろ、主人達が命を削りながら教えていった医療の分野でこそ、同じような不幸な犠牲者を今度こそ救ってあげられるよう、祈ってやみません。」

 

ならば、最悪の事態を想定して最善の対処が出来るようにしておかなければいけない。

造血幹細胞移植や培養皮膚にしろ、本人が被曝してから準備していたら間に合わないのだ。

正常な状態の時に本人から皮膚の細胞・骨髄を準備することは出来ないのだろうか。

 

でもそれは、命の選択。

 

人の命を犠牲にしない為には、廃炉作業に適応できるだけのロボットを開発しなくてはいけない。

どんな瓦礫の山でも進んでいける、高温にも水にも腐食にも耐えうる迷子にならない柔軟なロボットを。

 

コメント
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