「その通りだ。『3・11』以降、世界経済の海で沈没し続ける日本丸を浮上させるためには、これしかない。
熟慮に熟慮を重ねた上で、君のプランを採用することにした。
君には明日から官邸スタッフとして詰めてもらう」
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「莫大な被害を出しただけではなく、世界から不信を買った原発事故による国家としてのダメージをどう払拭すべきか。
私はずっと考えてきた。
望君が提案してくれた地熱発電を軸とした自然エネルギーへの大転換はこのまま続けたい。
しかし、あの日以来沈み続けている日本経済と産業復興のためには、もっと大胆な戦略が必要だと考えたんだ」
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「ピンチこそ最大のチャンスというのは、私の生き様のようなものだろ。足が悪いから、強く生きられた。つまり負の遺産である原発産業こそが、起死回生の切り札じゃないだろうか」
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「そして、世界でもっとも安全な原発を建設できれば、我々は自信を取り戻せるとも思っている。ならば前に進もうじゃないか」
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総理大臣 宮藤の言葉
コラプティオ 真山 仁
選挙で今まで原発を推進してきた自民党が大勝してしまった。
友人に尋ねたら、国民は原発のことは考えないで民主党がダメだから、皆自民党に入れたのではと答えがかえってきた。
総理は原発の新規建設を前向きに捉えている。
日本でダメなら国外へ輸出しようとしているのか。
総理は誰の為の利を求めているのか?
日本の経済の為か?
日本の国民の為か?
それとも日本という国の、威信を取り戻す為か?
去年見た『チェルノブイリ・ハート』の映画。
もしかしたら福島の五年後、十年後の姿なのではと危惧してしまった。
この映画の中で、子供の頃にチェルノブイリ事故にあい、大人になってから再び故郷を訪れた男性が、監督にこう尋ねた。「この映画のテーマは死?」男性の問いに答えられない監督・・・
ギリシア神話の中で、開けてはいけないと言われていた壺を開けてしまったパンドラ。
この世の中に、ありとあらゆる不幸、病気、災害などが解き放たれてしまった。
しかし最後に残ったのは希望。
『チェルノブイリ・ハート』私はこの映画のテーマは『希望』だと思った。
人間が犯してはいけない罪を犯したとしても、希望を忘れさえしなければ少しずつでも前に進んでいける。
新しい年に希望を託して。
私を成長させてくれた一年にありがとう。