Q 東電は事故を自分の手で収束できないことを天下にさらしてしまいました。
最高幹部のあなたを含め、フクイチの方々も原子力ムラの一員です。
「原発」を維持したほうがいい」という考えこそ、身勝手ではありませんか。
A 長く原発にかかわってきた私が、原子力ムラの一員であることは認めます。
その立場からの発言になりますが、ここまで確立してきた技術やノウハウを手放すのは惜しい。将来、より発展できるはずです。
原子力ムラの問題は、末端の作業員の派遣に暴力団がかかわっていたり、多数の下請け会社があるピラミッドのような体系や、国からの研究や助成名目の補助金の使途の不透明さ、東電をはじめとする電力会社と原発にかかわるメーカーとの癒着、電力会社から原発立地自治体への多額の寄付などです。
電力会社が送り込んでいる地方議員をめぐる話などは、世の中に対してまったく説明できない。
これは先輩から聞いた話でかなり昔のことですが、ある地方選挙で東電の推している候補の票数が足りないことがあり、グループ会社の人事異動を前倒しするなどして、住民票を異動させて集票したそうです。
明らかに民主主義のルール、社会常識に反しています。
業界のトップとして何をやっても東電なら大丈夫、国策、原発のためなら許されるというおごりがあったのは事実です。
原子力ムラは、一度、解体、リセットしなければならない。
こんな大事故を起こし、たくさんの国民を危険にさらして迷惑をかけ、たくさんの税金を使っている身で、このようなことを言って、理解が得られないのはわかるのですが、いま一度、チャンスをもらえないだろうか。
国民のみなさまに頭を下げ、原発を続けさせてはもらえないか。
そんな思いです。