孫ふたり、還暦過ぎたら、五十肩

最近、妻や愚息たちから「もう、その話前に聞いたよ。」って言われる回数が増えてきました。ブログを始めようと思った動機です。

人気は「刺身と鮨」

2015年10月01日 | 旅行
今回三泊した宿は、朝食付きだとあったが、実態は近くのジャンクフード・チェーン店のマクドナルドの朝食只券を3枚配るだけであった。

あまり嬉しくは無かったので、断ろうかと思ったが、こんなときでしか行く機会はないと思い、毎朝通った。



入り口の看板を見ると、「麦当労」と書かれていた。多分中国語の発音では、「マクドナルド」と似たような音読みになるのだろう。

私が初めてこの店のハンバーガーを口にしたのは、22歳の時だった。ハンバーガーに限らず食べ物の嗜好は幼児期に良く食べたもので決まり、これは一生変わらないのだそうである。この店の販売戦略はそれを念頭においているため、テレビCMやオマケで、子供をおびき寄せることに専念している。

幼児期にこういうものを何度も食べさせられた子供は、大人になっても食べ続けるのである。台北の店にも早朝からそういう市民や旅行者が集まっていた。



観光地ではあまり見かけない欧米人たちがたくさんいたのは、意外だった。やはり彼らには、台北の街の朝食屋の食事は抵抗があるのだろう。

私も、昼食や夕飯で、市民が集まる食べ物屋に何度も入ったが、欧米人とは一度も遭遇しなかったし、夜市という屋台が並んでいわゆるB級グルメを提供するところでも、白人を見かけることはほとんど無かった。



サンドイッチにコーヒーという、こんな朝食でも、欧米人たちは主食を食べられる喜びを同時に味わっているのだろう。

せっかくの機会なので、私は三日間、毎朝7時前後にここで朝食を済ませた。そこで毎朝出会ったのがこの老人であった。野球帽をちょこんとかぶり、サンドイッチとコーヒーを注文し、ゆっくり食べながら新聞を読むのがこの老人の毎朝の決まりなのだろう。



見たところ、年齢はすでに80歳を超えているのは間違いないと思えた。台北市という都会に住む一人暮らしの老人は、こういうところで朝食をのが台湾スタイルなのだろうか。私には真似できないことだと苦笑した。

私が食べ終わろうとする頃、右隣の席に若いカップルの旅行者が座って食事し始めた。
東洋人だが多分シンガポールか香港あたりから来たカップルではないかと想像した。

想像しながら、男の着ているT-シャツを見て噴出しそうになった。



背中には、「今日は刺身 明日は鮨」と毛書体で印刷されていた。

「Excuse me. Do you understand what it means ? 」
(すみません、意味は理解しているんですか?)

彼の肩をチョンと叩いてから、笑いながら彼に聞いてみた。すると、彼はすぐ何のことか分かって、「Yeah, I think so. 」(うん、分かってるよ。)と、いたずらっぽい顔で返事をしてくれた。

台北でも鮨を売っている店は見かけたが、やはり生ものは怖くてひかえる事に決めていた。昔、韓国の田舎町でイカの刺身を食べて、死ぬほど酷い目に遭った経験がトラウマになっている。

帰国してから絶対に刺身や鮨を食べようと、心に決めた一日であった。