先週、勤め先で、他部署の所属だがよく私のところに翻訳依頼でやってくる30代半ばくらいのH君が、部下でもないのだが相棒だという20代前半の男を連れてきて紹介してくれた。
苗字は失念したが、名前ははっきりと覚えている。紹介されたとき、「彼の名前は、『飛雄馬』っていうんですよ。」と言ったからだ。
私は、反射的に「ほうー!」と言って、「巨人の星って知ってる?」と聞くと、その青年はニコニコしながら、「はい。観た事無いですけど、昔のアニメでしょ?」
「多分、君のお父さんは巨人の星が好きだったんだろうね。」というと、「そうだったみたいです。」と言った。
涙して観た
横に立っているH君は高校球児だったので、彼は当然巨人の星を知っているようだった。「主人公の飛雄馬が星雲高校の面接試験を受ける時の話は、知ってるかい?」と聞いてみると、「何、それ?」といった怪訝な表情で首を横に振った。
私は、そのときのエピソードをかいつまんで話した。
星 一徹は、息子の飛雄馬が高校に進学する際に、野球では無名の進学校、星雲高校を受験させたのだった。
入学金も学費の高い、金持ちの子弟が通うブルジョアの学校など家の経済状態を知っている飛雄馬なので、猛反対すると、一徹は、「お前の進む高校は、ここしかない。」と言って腹巻から飛雄馬名義の貯金通帳を見せたのだった。
その頃、夜も道路工事の仕事に精を出していた一徹の腹には、飛雄馬の剛速球を受けることが出来るのは、星雲高校の彼(伴宙太)しかいないという、思惑があった。
柔道部の伴宙太
さて、面接試験の日である。飛雄馬の着ている学生服やズボンは、みすぼらしい継ぎ当てが目立っていた。試験官たちは、明らかに侮蔑の表情で、「君のお父さんの職業は何だね?」と聞いたのだった。
すると、飛雄馬は自信を持って、「僕の父は、日本一の日雇い人夫です!」と答えたのだった。すると、ヘラヘラ笑い始めた試験官たち。
星雲高校面接
飛雄馬は立ち上がって、「何がおかしい。聞きたければ何度でも言ってやる。ボクの父ちゃんは、日本一の日雇い人夫だ。」
当時は特に話題にもならなかったと思うが、このテレビ放送が後に再放送となったとき、この日の番組のサブタイトル「日本一の日雇い人夫」は、なんと「日本一の父、一徹」に変えられていて、その部分のセリフはカットされていたという。
理由は、「日雇い人夫」が差別用語に当たると判断されたからだという。
ここまで話した私は、自分の血圧がかなり上がっていることを感じて、ハッと我に返り、「まあ、いろいろあったけど、あの番組は子供ながらに感動するシーンがいろいろあったね。」と締めくくった。
二人は、「ふ~ん」と言いながら頷いていた。
苗字は失念したが、名前ははっきりと覚えている。紹介されたとき、「彼の名前は、『飛雄馬』っていうんですよ。」と言ったからだ。
私は、反射的に「ほうー!」と言って、「巨人の星って知ってる?」と聞くと、その青年はニコニコしながら、「はい。観た事無いですけど、昔のアニメでしょ?」
「多分、君のお父さんは巨人の星が好きだったんだろうね。」というと、「そうだったみたいです。」と言った。

横に立っているH君は高校球児だったので、彼は当然巨人の星を知っているようだった。「主人公の飛雄馬が星雲高校の面接試験を受ける時の話は、知ってるかい?」と聞いてみると、「何、それ?」といった怪訝な表情で首を横に振った。
私は、そのときのエピソードをかいつまんで話した。
星 一徹は、息子の飛雄馬が高校に進学する際に、野球では無名の進学校、星雲高校を受験させたのだった。
入学金も学費の高い、金持ちの子弟が通うブルジョアの学校など家の経済状態を知っている飛雄馬なので、猛反対すると、一徹は、「お前の進む高校は、ここしかない。」と言って腹巻から飛雄馬名義の貯金通帳を見せたのだった。
その頃、夜も道路工事の仕事に精を出していた一徹の腹には、飛雄馬の剛速球を受けることが出来るのは、星雲高校の彼(伴宙太)しかいないという、思惑があった。

さて、面接試験の日である。飛雄馬の着ている学生服やズボンは、みすぼらしい継ぎ当てが目立っていた。試験官たちは、明らかに侮蔑の表情で、「君のお父さんの職業は何だね?」と聞いたのだった。
すると、飛雄馬は自信を持って、「僕の父は、日本一の日雇い人夫です!」と答えたのだった。すると、ヘラヘラ笑い始めた試験官たち。

飛雄馬は立ち上がって、「何がおかしい。聞きたければ何度でも言ってやる。ボクの父ちゃんは、日本一の日雇い人夫だ。」
当時は特に話題にもならなかったと思うが、このテレビ放送が後に再放送となったとき、この日の番組のサブタイトル「日本一の日雇い人夫」は、なんと「日本一の父、一徹」に変えられていて、その部分のセリフはカットされていたという。
理由は、「日雇い人夫」が差別用語に当たると判断されたからだという。
ここまで話した私は、自分の血圧がかなり上がっていることを感じて、ハッと我に返り、「まあ、いろいろあったけど、あの番組は子供ながらに感動するシーンがいろいろあったね。」と締めくくった。
二人は、「ふ~ん」と言いながら頷いていた。