狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

この一年

2006-12-14 21:24:46 | 日録
タイトルを「この一年」としてしまったが、大晦日を間近に控え、今年を回顧した句ではない。
今でもなお、細々と続いているわが句会が、平成3年に発行した、合同句集に載っている小生の18句である。15年前、つまり15歳若かったときの作である。

初硯平成忽ち時の経つ

キャンパスに春ちらほらと集ひ寄る

春爛漫村長イバラキ弁で法螺を吹く

万緑へこの解放感小用足す

秘め事といふには雅し行々子

ピン札で児の総く来て金魚掬う

憎しみの極まる汗を素手に拭く

人間の襤褸を見たり敗戦忌

寒村の麦秋農婦背負い来る

無事着けば茶漬けで済ます今朝の秋

外は霧来し方すべて貧なりき

体臭のシャツ広々と干し冬用意

工事終へ焚火の匂ひ土を這ふ

回顧談老議長邸に夜長あり

敗色にまた一人減る冬の星

まづしさやべんせいしゅくしゅくふゆのつき

十二月八日の森閑二重橋

起きて先づこの一年の注連を張る