狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

今朝の天声人語

2006-12-27 23:02:21 | 怒ブログ
刑場まであと少しの所で男が言った。「すまんけど、目隠しを……」。「きつかったかい」と尋ねる係官に「いいえ。一度はずしてください」。しばり直すわずかの間に天を仰ぎ、つぶやいた。「……広い空ですね」。名古屋刑務所の刑務官だった板津秀雄さんの『死刑囚のうた』(素朴社)の一節だ。

 その日は今日か明日かとおびえ、あるいは、従容として刑場に向かう。いくつもの「死刑の現場」に立ち会った人の証言は重い。後に死刑廃止運動に加わり、98年に亡くなった。

 法務省が、4人の死刑囚の刑を執行したと発表した。1年余ぶりの執行で、一度に4人は97年以来だ。背景には、死刑確定囚が100人を超えることへの法務省の懸念があるともいうが、ことは数の多少で左右されるものだろうか。

 昨日は名古屋高裁で、死刑囚の再審請求についての決定があった。61年に三重県で起きた「名張毒ブドウ酒事件」で、同じ高裁が昨年認めた再審開始の決定を取り消した。

 事件がむごたらしいことや、裁判官によって判断が異なりうることは分かる。しかし、長い歳月、冤罪を訴えつつ死と隣り合わせになってきた身も思われた。

 刑法学界の重鎮の団藤重光さんは、東大教授を経て最高裁判事になった。実際に死刑事件を扱う立場に立ってから、取り返しのつかない誤判の恐ろしさを心底理解したという。「いまさらながら事実認定の重さに打ちひしがれる思いでした」(『死刑廃止論』有斐閣)。09年に裁判員制度が始まれば、誰もがその重さを背負う可能性が出てくる。

求めよさらば与ヘられん

2006-12-27 10:16:47 | 本・読書

9われ汝らに告ぐ、求めよ、さらば与へられん。尋ねよ、さらば見出さん。門を叩け、さらば開かれん。10すべて許むる者は得、尋ぬる者は見出し、門を叩くものは開かれるなり。11汝らのうち父たる者、たれか其の子、魚を求めんに、魚の代わりに蛇を與へ、12卵を求めんに蠍を与へんや。13さらば汝ら悪しき者ながら、善き賜物をその子らに与ふるを知る。まして天の父は許むる者に精霊を賜はざらんや』(舊新約聖書、日本聖書協会1982)

9そこで、わたしは言っておく。求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば見つかる。門をたたきなさい。そうすれば開かれる。10だれでも、求める者は受け、探すものは見つけ、門をたたく者には開かれる。11あなたがたの中に、魚を欲しがる子供に、魚の代わりに蛇を與える父親がいるだろうか。12また、卵を欲しがるのに、さそりを与える父親がいるだろうか。13このように、あなたがたは悪いものでありながらも、自分の子供には良いものを与えることを知っている。まして天の父は求める者に精霊を与えてくださる。」 
(新共同訳聖書旧約聖書続編付き)日本聖書協会:全国学校図書館協議会選定・日本図書館協会選定)1987年共同訳聖書実行委員会

9それゆえにわたしはあなたがたに言います。求めつづけなさい。そうすれば与えられます。探しつづけなさい。そうすれば見えだせます。たたきつづけなさい。そうすれば開かれます。10だれでも求めているものは受け、探している者は見いだし、まただれでもたたいているものには開かれるのです。11実際、あなた方のうちどの父親が、自分の子が魚を求める場合に、魚のかわりに蛇を渡すようなことをするでしょうか。12あるいはまた、卵を求める場合に、さそりを渡したりするでしょうか。13それで、あなた方が邪悪なものでありながら、自分の子供に良い贈り物を与えることを知っているのであれば、まして天の父は、ご自分に求めている者に精霊を与えてくださるのです」。(聖書新世界訳ヘブライ語、アラム語、及びギリシャ語の本文と照合しつつ、英文新世界訳聖書(1984年改訂版)からなされた翻訳―1985年日本語版-