恥ずかしい歴史教科書を作らせない会

改憲で「戦争する国」、教基法改定で「戦争する人」づくりが進められる今の政治が
将来「恥ずかしい歴史」にならぬように…

遅すぎる「外交官殺害報告書」

2004年03月28日 | 外交・国際
 昨年11月にイラクで、外務省の奥克彦氏と井ノ上正盛氏が殺害された件について、外務省はようやく調査結果をまとめた報告書を作成し4月中に公表するとしています。

 事件の状況をめぐり米軍の発表と現地の状況・証言などがあまりにも食い違うことや、お二人が乗っていた車両がすぐに米軍に回収され、3カ月も返還されずにいたことから「米軍誤射説」を指摘する声があります。
 事件から既に4カ月、被弾した車両が日本に着いてから1カ月近くが経過し、なお公表できず来月に、というのはどういうことでしょうか。

 「米軍誤射でなければ、なぜ米軍は車両返還を3カ月も遅らせたのか」
 「すぐには公表できない内容があったのではないか」
 「証拠隠滅のためではないか」

 こうした疑問が出るのは当然です。当時の世論はイラクへの自衛隊派遣に反対の声が圧倒的でした。今は「追認」の世論が半数ちょっとです。その「風」が変わるのを待っていたのではないかとさえ思えてきます。

 小泉首相は、この殺害事件の1週間後には自衛隊に出動命令を出し、現在ほぼ全部隊がイラクに到着しています。「これだけ既成事実を作ってしまえば報告書一つで世論が変わることもあるまい」という意図さえ見えてきます。

 来月発表される報告書は「テロによるものだ」(根拠は「米軍がそう言っているから」)とする政府の見解を認定する内容でしょう。しかし、お二人の死が「風化」されるのを待ち、証拠隠滅の時間をかけ過ぎた報告書を「さあ、信用しろ」と言われても素直には受け取れないでしょう。

沖縄県警「魚釣島上陸7名を送検せず」という英断

2004年03月28日 | 外交・国際
 沖縄県警が魚釣島上陸の7名中国人を入管難民法違反容疑で逮捕した件について、「冷静な対応を」と言っていた中国政府が、両国内の反応を見て態度を硬化させ、容疑者7名の即時釈放を求めました。これについては逆に日本人が逮捕された場合、日本政府も同じ主張をするでしょう。

 私は、沖縄県警がこの7名を送検するか否かを注視していました。もし送検されれば、中国政府を完全に無視したこととなり、この7名の「個人犯罪」が「国家間の対立」に発展するところでした。

 沖縄県警は結局、一般の密入国者と同じく、送検せず48時間以内に出入国管理局に引渡し、入管難民法の「退去強制」と「5年間入国禁止」という扱いにしました。

 私はこの判断が妥当と考えます。こういうとき必ず出てくる石原都知事・西村眞吾衆議院議員・右翼団体などの、「勇ましいだけで、とても無責任な」主張を無視し、この判断を下した沖縄県警を評価します。

 これで日本側は「勝手に日本領に入国したので通常の密入国者への対処に従った」、中国側からすれば「釈放ではないが結果的に帰国した」となり、白黒は釈然としないながらも無用な対立が避けられる望みが残されたのです。

 さて本日、島に向かうはずだった日本の右翼団体の十数名の皆さんは結局、石垣島で足止めをされているようです。これ以上騒ぐと「いたちごっこ」になり、沖縄県警の努力が無駄になります。ぜひ大人しく東京に帰っていただいきたいと思います。

尖閣諸島問題で中国人活動家が抗議

2004年03月28日 | 外交・国際
 尖閣諸島に上陸した中国人活動家の支援者約20人が、北京の日本大使館前に集まり、日の丸を燃やして仲間の逮捕に抗議、釈放や謝罪を要求したそうですが、こういうことはやめてほしいと思います。これを機に、また日本の「右翼」の皆さんが騒ぎ、メディアも対立を煽るのかと思うと、げんなりしてしまいます。

 さて、この中国人活動家グループの「日本は大戦の侵略行為を反省しておらず、軍国主義はなくなっていない。」との主張は、有事法制・教科書問題・アジア諸国蔑視発言などを指すものとして一定の理解はできます。

 しかし彼らの別の主張、「今回のような行為(上陸者の逮捕)が続けばアジア地域の安全が危うくなる」というのは違います。彼らの行為や、上陸した行為こそ「アジア地域の安全」を危うくするものです。

 幸いに今のところ両国政府は冷静なようです。いたずらに緊張や対立を煽らず、冷静に事態収拾に努めてほしいと思います。