■ 北朝鮮の愚かな行為
先週から、北朝鮮の「テポドン2号」と見られるミサイルの発射準備の報道が続きます。
「人工衛星だ」という説もあるようですし、方向も不明ですが、もし発射され墜落すれば、甚大な被害につながる危険性があります。
政府は、日本国内に墜落した場合には、「武力攻撃と見なす」としていますが、それも当然のことと思います。
そのような事態にならないよう、発射が中止されることを祈るばかりですし、このような北朝鮮の愚かな行為に、強く抗議します。
■ 日本政府の「策」
さて、日本政府も、ただ手をこまねいているわけではありません。一応、次のような「策」を講じています。
【日本独自で】
○発射後の「万景峰号」など特定船舶の入港禁止措置の検討
○発射後の、北朝鮮への送金停止の検討
【米国と連携して】
○発射後の、国連安保理への付託
○7月のサンクトペテルブルク・サミットに主要議題として提出
整理してみてあきれるのですが、全て「発射後」です。
麻生外相は「最悪の事態は考えておかないといけない」と語っていますが、「最悪の事態」とは「日本国内に墜落して多数の死傷者が出る」ということも含まれるのでしょうか。
そして、その「最悪の事態」の事後についてしか政府は考えていないということなのでしょうか。
だとすれば、これほどお粗末な話はありません。
事前に防ぐ策を講じるならともかく、「やるならやってみろ。後でこうなるぞ。」と言うだけ、という政府の「愚策」を極めて情けなく思います。
■ 選択肢のない「外交チャネル」
事前に防ぐとなると、やはり北朝鮮に対して働きかけることが必要です。
北朝鮮と接触を試みるのであれば、連携すべき相手は、北朝鮮に対して一定の関係と影響力を持つ、中国、ロシア、韓国などです。
今回、政府は一応「北京ルート」を通じて、北朝鮮に対して発射中止を呼びかけましたが、北朝鮮側からの回答は得られていません。北京在住の日本メディアの記者が、今回の発射について中国は人工衛星の打ち上げだと見ていると伝えた後ですから、政府の対応は遅きに失していると言わざるを得ません。
これまで、この3ヵ国との関係を緊密にし、もっと日本側に引き寄せておくことができていれば、中国側の対応も違ってきたかもしれませんし、各国首脳との電話会談だけで止めることも可能だったのではないでしょうか。
しかし、そのような外交チャネルを小泉首相は持ちませんし、また持とうともしてきませんでした。この3ヵ国との関係は、小泉政権下での5年余り、悪化の一途をたどっているということは言うまでもありません。
各国首脳とのホットラインどころか、首脳会談すらまともに行えない状況です。
かつての小泉首相の「日米関係さえうまくいけば、アジアとの関係もうまくいく」との言葉が、虚しく思い出されます。
■ 「連携強化」先の米国への不信感
そこで、いつものように米国に相談し、いつものように「連携強化」を打ち出したわけですが、いま米国は北朝鮮に対する金融制裁の真っ最中です。
北朝鮮の直接の対立先である米国と連携を強化するなど、わざわざ火に油を注ぐようなものだということが、日本政府の人々には分からないのでしょうか。
その米国に対しても、不信が尽きません。
日本で、この問題が報じられ始めたのは、今月中旬になってからです。
しかし報道によれば、米国は5月の初めから、今回の北朝鮮の動きを察知していたというのです。また、発射台周辺で作業を進める車両の衛星写真が公開されていますが、この写真も5月24日に撮影されたものだということです。
米国が北朝鮮の動きを察知してから約5~6週間、衛星写真が撮られてから約2~3週間もの間、米国は日本にこの情報が伝えなかったことになります。
先ほど「北京ルート」の接触について、遅きに失したと書きましたが、こうした情報提供の遅れに起因していると言わざるを得ませんし、このような情報すら提供しない米国しか相談相手がいないという状況が、いかに危険なものであるか、改めて実感させられます。
■ あらゆる手を尽くして発射阻止を
日本の安全に関わる重要な情報をも提供しない米国との関係ばかりを偏重し、近隣諸国をはじめ多国間外交の構築を怠ってきた、稚拙で愚かな「小泉外交」が悔やまれてなりません。
しかし、国民の生命がかかっている以上、諦めるわけにはいきませんし、今からでも遅くはありません。
中国ルートがだめでもロシアルート、韓国ルートと、あらゆる外交チャネルを駆使するべきです。
外務省内にも、北朝鮮要人に独自のチャネルを持つ外交官がいるはずです。その人々も動員し、北朝鮮の動きを止めなければなりません。
それにしても、この一連の報道で、防衛産業関連の株価が高騰していると報じられています。
こうしたことが「金儲け」の手段となってしまう、今の社会構造や経済構造を、本当に嘆かわしく思います。
日本の外交姿勢と合わせて、この経済構造こそ「改革」しなければならない課題だと思います。
先週から、北朝鮮の「テポドン2号」と見られるミサイルの発射準備の報道が続きます。
「人工衛星だ」という説もあるようですし、方向も不明ですが、もし発射され墜落すれば、甚大な被害につながる危険性があります。
政府は、日本国内に墜落した場合には、「武力攻撃と見なす」としていますが、それも当然のことと思います。
そのような事態にならないよう、発射が中止されることを祈るばかりですし、このような北朝鮮の愚かな行為に、強く抗議します。
■ 日本政府の「策」
さて、日本政府も、ただ手をこまねいているわけではありません。一応、次のような「策」を講じています。
【日本独自で】
○発射後の「万景峰号」など特定船舶の入港禁止措置の検討
○発射後の、北朝鮮への送金停止の検討
【米国と連携して】
○発射後の、国連安保理への付託
○7月のサンクトペテルブルク・サミットに主要議題として提出
整理してみてあきれるのですが、全て「発射後」です。
麻生外相は「最悪の事態は考えておかないといけない」と語っていますが、「最悪の事態」とは「日本国内に墜落して多数の死傷者が出る」ということも含まれるのでしょうか。
そして、その「最悪の事態」の事後についてしか政府は考えていないということなのでしょうか。
だとすれば、これほどお粗末な話はありません。
事前に防ぐ策を講じるならともかく、「やるならやってみろ。後でこうなるぞ。」と言うだけ、という政府の「愚策」を極めて情けなく思います。
■ 選択肢のない「外交チャネル」
事前に防ぐとなると、やはり北朝鮮に対して働きかけることが必要です。
北朝鮮と接触を試みるのであれば、連携すべき相手は、北朝鮮に対して一定の関係と影響力を持つ、中国、ロシア、韓国などです。
今回、政府は一応「北京ルート」を通じて、北朝鮮に対して発射中止を呼びかけましたが、北朝鮮側からの回答は得られていません。北京在住の日本メディアの記者が、今回の発射について中国は人工衛星の打ち上げだと見ていると伝えた後ですから、政府の対応は遅きに失していると言わざるを得ません。
これまで、この3ヵ国との関係を緊密にし、もっと日本側に引き寄せておくことができていれば、中国側の対応も違ってきたかもしれませんし、各国首脳との電話会談だけで止めることも可能だったのではないでしょうか。
しかし、そのような外交チャネルを小泉首相は持ちませんし、また持とうともしてきませんでした。この3ヵ国との関係は、小泉政権下での5年余り、悪化の一途をたどっているということは言うまでもありません。
各国首脳とのホットラインどころか、首脳会談すらまともに行えない状況です。
かつての小泉首相の「日米関係さえうまくいけば、アジアとの関係もうまくいく」との言葉が、虚しく思い出されます。
■ 「連携強化」先の米国への不信感
そこで、いつものように米国に相談し、いつものように「連携強化」を打ち出したわけですが、いま米国は北朝鮮に対する金融制裁の真っ最中です。
北朝鮮の直接の対立先である米国と連携を強化するなど、わざわざ火に油を注ぐようなものだということが、日本政府の人々には分からないのでしょうか。
その米国に対しても、不信が尽きません。
日本で、この問題が報じられ始めたのは、今月中旬になってからです。
しかし報道によれば、米国は5月の初めから、今回の北朝鮮の動きを察知していたというのです。また、発射台周辺で作業を進める車両の衛星写真が公開されていますが、この写真も5月24日に撮影されたものだということです。
米国が北朝鮮の動きを察知してから約5~6週間、衛星写真が撮られてから約2~3週間もの間、米国は日本にこの情報が伝えなかったことになります。
先ほど「北京ルート」の接触について、遅きに失したと書きましたが、こうした情報提供の遅れに起因していると言わざるを得ませんし、このような情報すら提供しない米国しか相談相手がいないという状況が、いかに危険なものであるか、改めて実感させられます。
■ あらゆる手を尽くして発射阻止を
日本の安全に関わる重要な情報をも提供しない米国との関係ばかりを偏重し、近隣諸国をはじめ多国間外交の構築を怠ってきた、稚拙で愚かな「小泉外交」が悔やまれてなりません。
しかし、国民の生命がかかっている以上、諦めるわけにはいきませんし、今からでも遅くはありません。
中国ルートがだめでもロシアルート、韓国ルートと、あらゆる外交チャネルを駆使するべきです。
外務省内にも、北朝鮮要人に独自のチャネルを持つ外交官がいるはずです。その人々も動員し、北朝鮮の動きを止めなければなりません。
それにしても、この一連の報道で、防衛産業関連の株価が高騰していると報じられています。
こうしたことが「金儲け」の手段となってしまう、今の社会構造や経済構造を、本当に嘆かわしく思います。
日本の外交姿勢と合わせて、この経済構造こそ「改革」しなければならない課題だと思います。