恥ずかしい歴史教科書を作らせない会

改憲で「戦争する国」、教基法改定で「戦争する人」づくりが進められる今の政治が
将来「恥ずかしい歴史」にならぬように…

党首討論、「大山鳴動して鼠二匹」

2008年11月29日 | 国会・政党・選挙
 28日、与党が懇願し、民主党が拒絶し続けていた党首討論がようやく実現し、麻生首相と民主党の小沢代表が、文字通り「一騎打ち」の討論を繰り広げました。
 しかし、その内容は余りにも空虚でした。

■ 「どうしようもない」麻生首相の認識 

 小沢代表「選挙を先送りして景気・経済対策をやると言ったのだから、すぐに補正予算案を出せ」
 麻生首相「一次補正は通っており、年内はこれで十分だ」

 厚生労働省がこの日、年内の非正規職員の解雇が3万人にのぼると発表し、そのほとんどの人々が雇用保険に加入を許されないため、その翌日から「食うに困る」という状況や、新卒予定の学生の「内定取り消し」がバブル崩壊直後の「氷河期」に匹敵するほどだという状況を考えれば、麻生首相の認識は相変わらず「どうしようもない」と言わざるを得ません。

■ 「鼠」の小競り合い 

 しかし、政策らしきものを話し合ったのは、これだけでした。
 後は、「補正予算案を審議しないなら、すぐに解散すべきだ」「失言が多すぎる」など、結局は「口喧嘩」の域を脱しないものでした。
 支持率では劣勢ながら、「首相にふさわしいのは麻生か小沢か」という世論調査で優位に立つ麻生政権が、事あるごとに与野党の駆け引きの材料として、さんざん大騒ぎしてきたこの「党首討論」でした。
 こうした大騒ぎの後、拍子抜けするほどつまらない結果だった、という例えに「大山鳴動して鼠一匹」ということわざがありますが、この45分間という「党首討論」の後には、実につまらない二匹の「鼠」の小競り合いを聞かされたような、後味の悪さだけが残りました。

■ 党首討論の「本来の姿」

 この党首討論の正しい名称は、「国家基本政策委員会」です。
 幅広い政策をめぐって、与野党の党首が文字通り「激論」を繰り広げる場なのです。
 「選挙のタイミング」や「失言」をめぐって攻撃し合う場ではなく、まして政権の延命のために行った「先送り」の「弁明」のための場ではありません。
 「国家基本政策委員会」で、「国家」の「基本政策」を論ぜずして、何が党首討論でしょうか。

■ 「鼠の喧嘩」に振り回される不幸

 いま自民・民主という、巨大な二大政党が政権を争い、かつて小沢氏が目ざした「政権交代が可能な二大政党制の実現」という目標は達せられたと思います。ですが、その「政権争い」の中身は、あまりにもレベルが低すぎます。
 理由の第一は、民主党の前代表だった前原氏が「自民党と民主党の政策は8割同じ。残りで違いを出していく」と述べたように、「政策に違いがないから」と言わざるを得ません。
 しかし、「国家」の「基本政策」で激論を交わすほど「政策」に違いを見出せない「鼠の喧嘩」に振り回されるだけでは、国民が不幸ではないかと思えてなりません。

遅い「経済対策」、求められる「政策転換」

2008年11月26日 | 国会・政党・選挙
■ 白々しい「麻生、実行中」

 麻生首相は25日、財相や公明党幹部らと会談し、いわゆる「追加経済対策」の裏付けとなる第二次補正予算案の提出を、09年1月の通常国会まで「先送り」することを決めました。
 この「追加経済対策」を発表した10月末、麻生首相は「スピード」を強調していました。世界的かつ深刻な景気後退の中で、速やかに対処する必要があるというのは事実ですし、国民生活への影響を抑えるためにも重要なことだと思います。しかし、それを首相自身が何ヵ月もの間「たなざらし」にしたまま、というのは到底納得できるものではありません。
 さらに、発表から1ヶ月近く経つ今でも、その「対策」の具体的な内容については、与党内どころか首相の考えすら定まりません。
 その間、自民党は金に物を言わせて「麻生、実行中」というテレビコマーシャルを流し続けていますが、肝心の「政策」がこの有様で、何も実行できない麻生首相が何を「実行中」だと言うのでしょうか。実に白々しい話です。

■ 「目くそ鼻くそ」の民主党

 こうした麻生内閣の姿に、野党は反発を強めています。
 先に、小沢代表が麻生首相に補正予算案提出を求めてきた経緯もある民主党はこの日、「追加の経済対策を発表したうえで解散・総選挙を行い、国民の信を得た政党が政策を実行するべき」と独自案をまとめることを表明しました。
 民主党は「国民の生活が第一」を掲げており、ここぞとばかりに存在感を誇示していますが、しかし、これも白々しい限りと言わねばなりません。
 確かに「経済対策」らしきものとして、民主党は10月1日に「5つの約束」を発表しています。しかし、いまだに「何にいくらかかるのか」ということさえ明らかにされていません。
 さらに、その財源を「予算の組替え」に求めていますが、では「何を削るのか」ということも不明なままです。これでは正直、効果を考える以前に、何を評価して良いのかも分かりません。
 その上、この11月下旬になって、ようやくこれから「追加の経済対策を発表」というのでは、これまで何をしてきたのでしょうか。本当に「国民の生活」を考えてきたのでしょうか。
 その民主党の白々しさは、与党と「目くそ鼻くそ」「五十歩百歩」と言わざるを得ません。

■ 少数政党の「真剣」

 では、他の野党はどうでしょうか。
 共産党は、11月11日に「緊急経済提言」を発表しました。しかし、これも「大企業優先・アメリカ優先の政治悪を正す」という「提言」的要素が強く、財源問題どころか「対策」の総額さえ分からないというものです。こうした数字がなくては説得力もなく、その点では民主党案と大差ありません。生活支援に対する共産党案は見るべきものがあるだけに、非常に残念です。一層の具体化を求めたいところです。

 社民党は、逸早く1月25日に「緊急経済対策」を発表しました。「何にいくらかかるのか」についても、「定率減税復活に3.3兆円」「飲食料品の消費税の返金(戻し税)に1.2兆円」などと明らかでしたし、財源は特別会計の余剰資金(「霞ヶ関の埋蔵金」)から約40兆円の一部から5兆円を活用するなど明確でした。その後、社民党は8月下旬と10月中旬に、第二次案、第三次案を発表し、GDP2%相当の10兆円規模の対策を打ち出しています。

 国民新党も、社民党と同じ1月25日に「経済対策」を発表しています。そこには「クーポン券」方式による定率減税の復活、住宅ローン控除の拡大などが盛り込まれました。しかし、財源としては、まだ「経済成長による税収増」に期待しているというお粗末な部分もあります。その頃、議論されていた07年度の補正予算案に1兆円近い税収減が計上されていたことから考えれば、かなり無理がありますが、この時期に経済対策を打ち出したことは評価すべきでしょう。

 こうして見てみれば、「生活支援」「スピード」とも、与党や民主党より他の「少数政党」の方が、よほど真剣さが伝わってきます。

■ 「政権交代」と「補完」

 麻生政権が、ひたすら「延命」を乞い願い、「経済対策」とともに「総選挙」を先送りしようという思惑は、嫌というほど国民に伝わっています。
 既に国民は、麻生政権のこうした姿に愛想をつかし、どの世論調査を見ても「自民党中心の政権」より「民主党中心の政権」、すなわち「政権交代」を望む声が上回っています。
 しかし、ただ「閉塞感」と「不信感」からの「政権交代」では、首相という「看板」だけを替えてきた自民党の発想と大差はありません。
 民主党は自民党の「対抗馬」的な存在と捉える向きもあるようですが、それはどうでしょうか。
 「経済対策」の一環であり、今国会で対立しているはずの「金融機能強化法改正案」も、「与党との修正協議」を進めていくこともこの日、民主党内で確認されています。
 つまり、政策の違いをどれだけ並べても、多少の「修正協議」で、与党と「折り合い」を付けられるような政党であり、民主党は「対抗馬」ではなく、あくまで「補完」的な存在に過ぎないと見るべきでしょう。

■ 「小泉改革」と「大連立」構想

 さて、最近しきりに耳にするようになった「内需拡大」という言葉に、少し懐かしささえおぼえます。
 「小泉改革」以後、輸出企業偏重の経済政策と、労働者への「迫害」とも呼ぶべき非正規化とリストラの奨励策、そして社会保障の切捨てや増税など国民負担増によって、国民の購買力を奪ってきた政府・与党が今度は、「国民の皆さん、ものを買いましょう。消費しましょう。」と言うのですから、驚くばかりです。
 そして、その「小泉改革」について、「スピードが遅い」「生ぬるい」「我々ならもっと徹底してやれる」と批判しながらも、事実上その「後押し」をしてきたのが民主党でした。
 自民・民主の「政策的な違い」は皆無であり、国民生活を考えれば、彼らはそれこそ「目くそ鼻くそ」の類に過ぎません。
 約1年前、07年11月には両党のトップが、それこそ真剣に「大連立」を協議していたことを思い出せば、それも納得して頂けることでしょう。

■ 「骨のある」野党に学び「政策転換」を

 現状を見るに、「自民党政治」はもう限界に来ています。確かに「政権交代」は必要でしょう。しかし「民主党政治」が大差ないことは、既に述べてきた通りです。
 「政権交代」によって「民主党中心の政権」ができたところで、結局は自民党や公明党と「修正協議」を繰り返していくだけではないでしょうか。それでは、その「政権交代」すら「絵に描いた餅」に過ぎません。それが「大連立」の危険性を帯びているとすれば尚更です。

 いま本当に求められるのは「政権交代」よりも本当に国民生活に力点を置いた「政策転換」ですし、そのためにいま民主党がなすべきは、与党ではなく、他の野党との協議を深めることです。
 
 この「経済対策」について見る限り、「スピード」で言えば、社民党や国民新党の方がはるかに優れています。「生活支援」の面で言えば、共産党や社民党の方がはるかに秀でています。
 「麻生自民党」以上に、「政策のぶれ」が目立つ民主党が、本気で政権を奪取するつもりがあるのならば、こうした「骨のある」他の野党に教えを請い、「政策転換」に裏打ちされた「政権交代」を実現することが必要不可欠であると思いますし、そうでなければ本当に緊急性を要する「国民生活の改善」も見込めないでしょう。
 ぜひ本気で立ち上がって頂きたいものだと思います。

「二大政党」よ、その目ざす先に「国民」はあるのか

2008年11月17日 | 国会・政党・選挙
■ 突然の「党首会談」

 17日の午後、民主党側から突然申し入れられた自民・民主の党首会談は、わずか数時間後の午後6時、首相官邸において実現されました。
 民主党の小沢氏から麻生首相に投げかけられたのは、「第二次補正予算案を今国会に提出すべきだ」という意見でした。
 これに対し麻生首相は、会談前から「提出の先送り」との方針を固め、会談中も「提出できるよう準備中」「それ以上は言えない」などという「はぐらかし」に終始しました。

■ 「まずは景気」「政局より政策」という「嘘」

 考えてみれば、実に妙な話です。
 「まずは、景気だ」というポスターを掲げ、もう一ヶ月以上も前に「追加経済対策」を立案するよう与党に指示を出したのは、他ならぬ麻生首相です。その「対策」を早く実現するために、必要な補正予算案を早く出したいと思うのは本来、麻生首相の側です。
 それを野党側から「早く出せ」と言われ、「いや、今は出さない」とするなど「筋違い」もいいところです。
 「政局よりも政策」と言いながら、その「政策」に「期待が持てない」として、支持率が急落するのも、こうした麻生首相の「嘘」が国民から見透かされているからに他なりません。

■ 「密室」「駆け引き」ばかりの「国会軽視」

 民主党も民主党です。
 「喉の調子が悪い」「体調がすぐれない」と言って、国会内での「党首討論」は避けながら、このような密室で「党首会談」を仕掛けるなど、全く筋が通りません。
 また、これは「国権の最高機関」である国会を空洞化・形骸化するものであり、これを呼びかけた民主党は、これに応じた自民党以上に、「国会軽視」の姿勢を指摘されるべきです。
 しかも元々「違憲であり、反対」としてきた、アフガン戦争への給油支援のための法案を、参議院で採決するかどうかを天秤にかけるなど、そもそも彼らのどこに「政策」があるのかを疑わざるを得ません。憲法に違反する行為を正すのは「憲法を尊重し擁護する義務」を負う国会議員の務めです。
 「違憲の法案」の成立を阻止するためならば、どのような手段を用いても阻止することが彼らの責務です。まして、「解散」や他の法案や予算案との「駆け引き」に使うなどもってのほかです。

■ 無責任で悠長な「二大政党」

 野党から催促されても、自分たちの政策を「先送り」する自民党・麻生氏。
 彼らには、「まずは、景気だ」「政局より政策」などと語る資格はありません。
 与党に「解散」を求めるあまり、自分たちの政策を「揺るがせ」にする民主党・小沢氏。
 彼らが語る「国民の生活が第一」などという「能書き」も、極めて空虚に聞こえます。

 自民党と民主党、この「二大政党」は何がしたいのでしょうか。その本当に目ざす先に、「主権者」たる国民は見えているのでしょうか。
 麻生首相が「百年の一度の危機」というほどのこの事態に、この無責任で悠長な二大政党によって、この「世界第二位の経済大国」がますます「迷走」を続け、その国民が「政治不信」を募らせていくことを心から憂います。

派遣労働規制をめぐる「攻防」

2008年11月09日 | 国会・政党・選挙
■ 民主党の「対案」提出見送り

 いま問題となっている「格差社会」との最大の原因として、派遣労働など非正規労働者の増大が挙げられます。低賃金の上、失業が前提とされており、労働者が職を失うのが来年なのか、それとも明日なのかも分からないという、極めて不安定な状況に置かれた非正規労働者は、昨年の政府の調査で1900万人近くに上っています。特に「派遣労働」は、深刻な社会問題となっています。
 こうした中、各政党が遅まきながらも「派遣労働」に一定の規制をかけようと動いています。
 11月4日、政府・与党は、この「派遣労働」規制のための法案を国会に提出しました。
 これに対し、6日には民主党が対案を提出することにしていましたが、予定していた時刻の直前になって民主党はその提出を見送りました。
 そこには、各党間の激しい攻防があったのです。

■ 「共同案」か「独自案」か

 07年の参院選後、この派遣労働の規制を強く唱えてきたのは、参議院で多数を占めた野党の側でした。野党間では、参議院で野党共同提出の法案を通し、政府・与党にその実現を迫っていくことも確認されました。
 しかし肝心の第一党・民主党が、これに消極的でした。
 わずかばかりの規制を盛り込んだ「独自案」提出にこだわり、そのたびに野党案の共同提出は頓挫したのです。
 そこに、相次ぐ首相の交代がありました。
 「野党共闘」に積極的な社民党が民主党を突き動かそうとしている間に安倍政権が崩壊しました。その後、社民党が国民新党との合意を取り付け、共産党もこれに同調し、3党で民主党を動かそうとしているときに福田政権が瓦解したのです。
 ただでさえこの問題に消極姿勢だった民主党は、「政局」にばかり目を奪われ、この問題はその都度「たなざらし」になりました。

■ 「修正協議ありき」だった「独自案」

 その後、麻生政権が誕生しましたが、その後の動きとしては、社民党が「98年以前の規制(専門職以外の派遣労働の禁止・正規雇用化)に戻すべきだ」と主張し、これにまず国民新党、次に共産党が同意しました。
 水面下では、与党である公明党からも、その案に呼応しようという動きがあったほどでした。
 しかしここでも、民主党はあくまで「独自案」にこだわり続けました。11月6日に提出しようとした「対案」も共同案ではなく、あくまで「独自案」でした。
 さらに民主党はこの「対案」について、「政府・与党との修正協議のための対案」であると言い放ったのです。
 ただでさえ中途半端な民主党案なのに、与党案と足して2で割ったものになれば、「派遣労働」の規制どころか、努力義務ばかりの形式的な法改正になることは目に見えています。これでは全く非正規労働者の正規雇用化にはつながりません。
 しかも、「与党との修正協議ありき」という枠組みを見れば、昨年秋に騒がれた与党と民主党の「大連立」のための「政策協議」を思い起こさせるような話でした。

■ 野党間の必死の説得

 このような民主党の動きに、共産・社民・国民新の3党は異を唱えました。本気で非正規労働者を救う気があるのか否か、という問題もありますし、民主党の行動自体が「野党共闘」を取るのか「大連立」路線を歩もうとするのか、ということも他党を苛立たせました。
 その中でも特に、社民党と国民新党は、民主党への「談判」に及びました。ともに次期総選挙で民主党と一定の選挙協力を行うことにしている両党は、その強みを活かしたのです。
 ともに「野党共闘」の立場から、社民党はその「選挙協力の解消」さえ打ち出し、民主党への説得を続けました。国民新党は、参議院で民主党と統一会派を組んでいますが、「統一会派からの離脱」さえ訴えました。
 こうした両党の必死の説得によって、民主党は今回、直前になって「独自案」提出を見送ったのです。民主党からは「野党共闘を重視」する立場が、その説明でした。

■ 経済界の「圧力」

 しかし、解散・総選挙が近いというのに、なぜ民主党は与党に歩み寄ろうとしたのでしょうか。
 そこには、経済界への配慮がありました。
 「政権」が近づけば近づくほど、経済界は民主党に接近しながら圧力をかけています。例えば日本経団連はここ数年間、政策課題について自民・民主の両党に点数をつけ、得点の高いほうに政治献金を集中させることによって、自分たちに都合の良い方向へと政治を誘導しようとしてきました。
 もともと派遣労働の対象拡大に代表されるような「雇用の規制緩和」は、経済界の要請によって進められてきたものです。
 民主党としても、経済界を敵に回して自民党と経済界との連携を強くさせるよりも、自民党と「共犯」になる道を選ぼうとしたのです。
 「攻防」は、政界と経済界との間にもあるのです。

■ 「人間の使い捨て」に歯止めを

 05年の総選挙のとき、「格差」問題を取り上げ、非正規労働の規制を掲げたのは、実は社民党一党だけでした。
 その後、07年の参院選では、ほとんどの政党が「格差」問題に言及し、その是正をマニフェストに盛り込みました。これは、それだけ事態が深刻化し、各党もその深刻さを理解しつつあることを意味しています。
 特にいま、米国発の金融危機、円高とドル・ユーロの暴落を受け、これまで派遣労働者を多用して利益を上げてきた輸出関連企業の業績が伸び悩む中、「派遣切り」が横行しています。
 人間を簡単に使い捨てにするこのような雇用に歯止めをかけるために、各党には真剣に法改正に取り組んでほしいと思います。

オバマ新大統領とアフガン戦争

2008年11月06日 | 外交・国際
■ オバマ氏勝利の直前の出来事

 米国の大統領選は、民主党のバラク・オバマ氏が大差で勝利を収めました。
 勝利の翌日、そのオバマ氏に対し、アフガニスタンのカルザイ大統領が「米国の新大統領にまず求めたいのは、空爆による住民の犠牲を終わらせることだ」と述べました。
 大統領選の前日、アフガニスタン南部で結婚式の会場となった民家に対して、米軍機が空爆を行い、女性や子どもを含む37名が死亡するという、痛ましい出来事が起きていたのです。

■ 対アフガンへの「増派」

 オバマ氏と言えば、「イラクからの撤退」「対話重視」路線を掲げるなど、ハト派のイメージが強調されてきました。その点、ブッシュ政権の政策の継続を唱えたマケイン氏よりは遥かに好ましい人物であることは間違いありませんが、そのオバマ氏もアフガン戦争には「増派」を唱えています。
 世界最強の米軍が7年かかっても、アフガン戦争には出口が見えません。これは「武力でテロはなくならない」という事実の証しでもあります。
 実際に、テロはなくなるどころか、殺戮が新たな憎悪と狂気を生み、自ら「武装勢力」や「テロ組織」に身を投じていく若者を増やし、ベトナムやイラク以上の「泥沼化」を生んでいます。

■ 「CHANGE」を

 イラクから撤退させた戦闘部隊をアフガンにまわす、というのがオバマ氏の考えのようですが、先日、米国政府がタリバンとの「対話」を検討しているという報道もありました。私はこれを歓迎したいと思いますし、オバマ氏本来の「対話重視」路線にもかなうところだと思います。
 「CHANGE」を掲げたオバマ氏には、これ以上「住民の犠牲」を生み出さぬよう、対アフガン政策の「CHANGE」も、一刻も早く行って頂きたいと思います。