恥ずかしい歴史教科書を作らせない会

改憲で「戦争する国」、教基法改定で「戦争する人」づくりが進められる今の政治が
将来「恥ずかしい歴史」にならぬように…

企業献金 ~「現状維持」自民と小沢氏の「自浄」

2009年03月18日 | 国会・政党・選挙
■ 小沢氏を「進退」問題に追い込んだ「西松献金」

 「西松献金」問題で窮地に立つ民主党の小沢一郎代表が17日の記者会見で、自身の「進退」を判断する時期について触れたと報じられています。
 既に逮捕されている小沢氏の秘書の拘留期限が24日になることから、その頃に判断するのではないかと見られているようです。
 民主党内からも小沢氏の辞任を求める声が渦巻くなか、小沢氏自身が「進退」の判断を口にしたからには、既に辞任の意向を固めているのではないかとの観測も出ています。

■ 「企業・団体献金」の全廃を指示

 この日の記者会見では、もう一つ興味深いことがありました。
 小沢氏は「企業・団体献金は全面禁止すべき」との考えを示したのです。
 これまで民主党は、「公共事業受注業者」からの「企業献金」禁止をマニフェストに掲げてきたことはありますが、「全面禁止」に言及したのは初めてです。
 さらに小沢氏は18日にも、「企業・団体献金全廃」に向けての法改正を、党として検討するよう指示しました。
 もちろん、小沢氏がこうした考えに至ったきっかけは小沢氏自身への疑惑があり、次の総選挙をにらんだ「選挙対策」という側面も大きいと思います。
 それでも私は先日書かせて頂いた通り、「企業献金」の根絶こそが真の「政治改革」だと考えます。その点において小沢氏自身が「自浄能力」を示そうとしていることは、正当に評価し、歓迎したいと思います。

■ 「消極姿勢」「現状維持」の自民党

 さて、今回の「西松献金」で疑惑を持たれているのは、小沢氏ばかりではありません。
 同じ民主党では国対委員長の山岡賢次氏がいますし、自民党では元首相の森喜朗氏、元財務相の尾身幸次氏、元幹事長の加藤紘一氏、元運輸相の藤井孝男氏、元厚生労働相の川崎二郎氏、前国家公安委員長の林幹雄氏、そして現職でも経済産業相の二階俊博氏、首相補佐官の山口俊一氏がいます。
 さらに、国民新党副代表の自見庄三郎氏、改革クラブ代表の渡辺秀央氏(ともに元郵政相)の名前が挙がっています。
 その中でも、やはり最も多くの名が挙がる自民党は、16日に「企業献金」について触れたものの、その内容は「企業献金」の規制を「強化するかどうか」を「検討課題の一つ」とするなど、余りにも消極的です。
 18日には、麻生首相が「企業献金は悪ではない」と語り、自民党の多くの議員が「現状維持」を望んでいることも報じられています。
 自民党という政党は、これまで散々「政治とカネ」の問題で国民の不信を買っておきながら、これほどまでに「自浄能力」が欠落しているのか、とあきれるばかりです。

■ 感染した「企業献金」の「免疫力」「抵抗力」発揮を

 小沢氏の「進退」は分かりませんが、もし小沢氏が辞任し、併せて「企業献金」の話も「立ち消え」になるとすれば、私はもったいない話だと思います。

 医療に例えるならば、いまの小沢氏は「企業献金」に感染しながらも、それに対する「免疫力」「抵抗力」を持つ「抗体」へと変わろうとしている存在です。その「抗体」を殺してしまっては、再び政治は本当の「病根」である「企業献金」への「免疫力」「抵抗力」を失いかねません。

 小沢氏の去就にかかわらず、国会は「国権の最高機関」たる立場を再認識した上で「免疫力」「抵抗力」を発揮し、党派を超えて「企業献金」根絶に取り組んで頂きたいものだと思います。

自民党議員を逃がすための「捜査予告」に思う

2009年03月09日 | 国会・政党・選挙
■ 「漆間発言」の逆の側面

 民主党の小沢一郎代表の秘書が逮捕された「西松献金」問題について、「(捜査は)自民党に波及しない」と述べた漆間巖官房副長官は9日、参議院予算委員会で「特定の政党、政党の議員について捜査が及ぶか及ばないかと言った記憶はない」と語り、自身の発言を否定しました。
 この漆間氏の答弁も疑わしいものですが、実際には、先日から二階俊博経済産業大臣などへも捜査を行うようですので、漆間氏の発言によって東京地検特捜部が、「バランス」を取るため、逆に自民党側の捜査に乗り出さざるを得なかった、という側面もあるように思います。
 しかし特捜部による自民側への捜査姿勢は、明らかに小沢氏の側のときとは比べ物にならない消極姿勢ですし、多くの矛盾に満ちています。

■ 矛盾だらけの「及び腰」

 小沢氏の秘書への容疑は、企業献金を「陸山会」という個人の資金管理団体で受け取ったという、政治資金規正法違反だったはずです。
 それであれば、「陸山会」同様のやり方で「西松献金」を受け取っていた、森喜朗氏の「春風会」、尾身幸次氏の「幸政会」などに真っ先に手を着けるべきですが、それを曲げて「受け取っていた金額の順番で二階氏を」というのです。
 そもそも、金額の多寡で捜査の順位を決めるというのは矛盾に満ちた話ですし、大体「少ない」という森氏らへの「献金」にしても年間数百万円という額です。
 漆間氏が、自民党議員の捜査について「あの程度の金額では立件されない」と語ったことも、「少額ならば違法献金でも立件されないのか」と問題になりましたが、特捜部の矛盾だらけの「及び腰」を見る限り、この漆間発言の趣旨と似たようなものを感じます。

■ 逃がすための「捜査予告」

 さて、この二階氏への捜査についても、実に異様なものがあります。
 何日も前から「近く調べる」「来週中に事務所関係者から事情を聴く」「今週、任意で事情聴取を行う」「二階氏の後で順次、他の議員の事務所にも事情を聞く」など、「捜査予告」ばかりが目立ちます。
 このような「捜査予告」を耳にすれば、二階氏や森氏、尾身氏など対象者は、「口裏合わせ」や、「証拠の隠滅・偽造」など、「逃げ」のための様々な「準備」を進めるのは当然のことです。
 むしろ、なかなか実行されない特捜部の「捜査予告」は、彼らにその「準備」を促すため、すなわち「逃がすため」のものです。
 小沢氏は、秘書が逮捕された翌日、今回の捜査について「政治的にも法律的にも不公正な国家権力、検察権力の行使だ」と語りましたが、突然だった小沢氏側への強制捜査に比べれば、確かに「不公正」だと言わざるを得ません。

■ 「権力に対する監視」

 権力者に遠慮して「不公正」な「予告」を行い、「逃げなさい」「証拠は隠してください」と勧めるような特捜部では、今回の問題の「全容解明」など期待すべくもありません。実に情けなく、恥ずかしい世の中になったものだと嘆息するばかりです。
 民主党側からは「国策捜査」という言葉も飛び出しましたが、これまでの特捜部の姿勢を見る限り、「国策捜査」どころか、一方的な「弾圧」に近いものだ、と言われても仕方のないところです。

 しかし私たちは嘆いてばかりもいられません。権力に対する監視というものは本来、「主権者」たる私たち国民の任務だったはずです。
 いま私たちはそのことを再認識し、それぞれの行動に繋げるべきではないかと思います。

「企業献金」を根絶し、真の「政治改革」を

2009年03月04日 | 国会・政党・選挙
■ 小沢「陸山会」への捜査

 3日、西松建設関連の政治団体からの献金問題で民主党の小沢一郎代表の第一秘書が逮捕され、小沢氏の資金管理団体「陸山会」の事務所が家宅捜査を受けました。
 小沢氏は4日に開かれた民主党の緊急役員会でも、またその後の記者会見でも、今回の捜査を「不公正」として、代表を辞任する考えのないことを強調しています。民主党執行部からは「国策捜査だ」「陰謀だ」という声も上がっています。
 確かに、西松建設と小沢氏との関係を報じてきた週刊誌などの、ここ数ヶ月間の記事は、「警察情報のリーク」によるものだということは明らかですし、「給付金法案再議決」前日の強制捜査というタイミングを見ても、何らかの意図を感じざるを得ません。
 加えて、その西松建設が政治団体を「隠れ蓑」にして行った献金は「陸山会」以外に、元首相の森喜朗氏の「春風会」や元財相の尾身幸次氏の「幸政会」などにも渡っているのに、現時点では小沢氏だけが捜査を受けているというのでは、小沢氏が「不公正」と言いたくなる気持ちも分かるような気もします。

■ 全容解明を

 しかし「何で俺ばっかり」などというのは所詮「愚痴」や「泣き言」の類です。
 もともと清廉潔白であれば、疑惑を持たれることもなかったでしょうし、「国策」かどうかはともかくとして捜査を受けることもなかったはずです。逆に、違法性が疑われれば捜査を受けるのは当然のことです。
 もちろん、東京地検特捜部も小沢氏だけの強制捜査では、それこそ「不公正」です。森氏・尾身氏をはじめ今回の「西松献金」に関わった20名以上の全ての政治家への捜査を続け、全容を解明してもらいたいと思います。

■ 「ザル法」

 それでも、この「西松献金」を政党支部で受け取ったり、パーティー券の対価として受け取ったりしている人々は、まず「お咎め」を受けることはないでしょう。
 今回の西松建設の問題は、企業が裏金を捻出し、その資金で政界工作を行う、すなわち「政治を金で買おうとした」点にあります。その金の性質は、個人の資金管理団体で受けようが、政党や政党支部で受けようが、政党の政治資金団体で受けようが、決して変わるものではありません。
 こうした行為について、「どこで受け取るか」という技術的かつ形式的なことでクリアできてしまうところが、現行の政治資金規正法が「ザル法」と言われる所以です。

■ 根本は「企業献金」

 今回の「西松献金」問題については、国会でも今後多く取り上げられていくことでしょうし、場合によっては「参考人質疑」「証人喚問」などの要求も出されるかもしれません。
 しかし最も根本的な問題は、これまでうんざりするほど似たような疑惑を生み出し、政治を歪め、腐敗を生み続けてきた「企業献金」にあります。
 今回の「西松献金」でも、既に逮捕されていた元社長らが、「公共事業の受注に有利になることを期待して献金した」と供述している通り、営利を目的とする企業がカネを出すのは「見返り」を求めてのことです。
 どういう形での授受であろうと「企業献金」そのものを根絶しなければ、また同じような事件が繰り返されますし、いつまで経っても政治は国民ではなく「金づる」の方を向いたままです。

■ 「政治改革」

 麻生首相は4日、官邸で記者団の質問に答え、「今回のことで政治不信が広がるというのは、大変残念なことだ」と述べました。
 今回の件が、単なる与野党の非難の応酬や、小沢氏らの「個人的な問題」として片付けてしまうようでは、政治不信は高まるばかりです。
 これを機に、「政治を金で売り買いする」行為を根絶するため、いかなる「抜け道」も許さない法改正を目指すことこそ、国会が「自浄能力」を示す最善の道です。
 ぜひ与野党とも、「足の引き合い」や、ドサクサ紛れに強行した定額給付金のような一過性の「人気取り」ばかりを追い求めるのではなく、こうした「政治改革」の面でも、競い合ってもらいたいものです。
 小沢氏自身も、かつて「政治改革」を旗印に自民党を飛び出したのですから。