呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

全世界の有料道路のうち7割が中国

2011年05月12日 | 日記

 中国物流・調達連合会というところが発表した最新データによりますと、2010年の中国の物流総費用がGDPに占める比率は約18%で先進国のほぼ2倍にあたるそうです。ちなみに日本の場合だと最新のデータを調べられなかったのですが大体10%前後というところのようです。いかに中国の物流コストが高いかということについて最近では野菜が産地から売り場に届くまでの間に価格が20倍にもなっているという例が紹介されたりしています。まあ、この18%という数値も昔と比べると下がってきてはいるようですが。

 

 さて、物流コストがなぜ高いのかという点についてですが、まずはガソリン価格、その次に罰金が多い、費用(通行料)徴収が多いというのがあげられています。ガソリン価格は市場によって左右される性質のものですが、しょうがないといえばしょうがないのですが、設けすぎ批判もあります。

 

 次に中国の道路の通行料がいかにすさまじいかという例として、全正解にある有料道路14万キロのうち、10万キロが中国にあることが紹介されています。そりゃあ物流コストが高くなるわけです。罰金に関してはいわゆる乱収費という現象がいまだに見られるようです。なんとなく想像がつくかと思います。

 

 こんな状況の中、なかなか面白い事件がありました。1月に報道された事件ですが、「偽軍用ナンバープレートで通行料368万元を払わず 河南の一農民に無期懲役判決」という事件です。実際に通行料を支払わなかった期間は200854日至200911日にかけてです。

 

軍用のナンバープレートは道路通行料が免除されるという特典があります。これを悪用して偽のナンバープレートを利用して8ヶ月にあたり高速道路を2361回通行したにもかかわらず、368万元にのぼる通行料を支払わなかったのです。これだけ通行料を払わなかったにもかかわらず、この農民が稼いだお金がたったの20万元って。。。そういえば街中でよく軍用のナンバープレートが「どかんかい!」といわんばかりの運転をしているのをよく見かけますが、こんな事件を聞くと偽プレートもたくさんあるのかもしれないですね。


国美電器のサプライヤーのぼやき

2011年05月10日 | 日記

 

 今日は蘇寧電器に次ぐ家電量販大手の国美電器について紹介します。

 

2010年度

売上高

店舗数

売上伸び率

蘇寧電器集団

1562億元

1342

41.4%

国美電器

1549億元

1346

15.0%

 

 国美電器はもともとトップを走っていたのですが、元代表者の逮捕とかもありグラグラしているうちに蘇寧電器がものすごい伸ばして一気に抜き去ったという感じですね。

 

 さて、労働節の三連休は小売業にとって稼ぎ時です。北京国美のこの三連休での売り上げは前年比2倍近くにまで増加しました。しかしながらこの三連休が終わると同時に国美への商品供給を2-3ヶ月ストップするというサプライヤーが現れています。国美が徴収する費用が余りに高くやっていられないというのがその理由です。

 

 あるサプライヤーによると、国美に商品を卸すにあたりサプライヤーは十数種類の費用を支払う必要があったのですが、これをベースにさらに増加され、その名目は、差別化型番プロモーション費用(販売額の5%)と販売ボーナス費用(販売額の1%)の二項目です。また、こういった費用については交渉の余地がほとんどない、というか全くないようです。国美は拡張路線(2010年度は100店舗増加し826店舗にまで増加)を走っていますが、この資金的なツケがサプライヤーに回せれているという感覚を持っているようです。

 

 以上はここ最近の話ですが、そもそも少なからずのサプライヤーが余りたくさん納入したくないと考えている状況は今に始まったことではないようです。その理由としては、(1)売れなかった場合は値下げ販売され、損失につながってしまうこと(まあ、これは当たり前のことか)、(2)いったん国美に納入すると、休日・祝祭日にはものすごい値下げ販売をされてしまうこと(まさに労働節休暇がこの例です)、(3)国美の倉庫に納入後2ヶ月で売れ残り扱いされ、そうなると日割りで倉庫物流費が徴収されるほか、さらに値引き販売させられるか、返品させられることになってしまうこと、とぼやくサプライヤーもいます。また、費用徴収で文句を言おうものなら商品代金決済してくれないなんて声もあります。そもそも商品代金自体も商品が店頭で売れた後で始めて決済してもらえるのにです。国美の一店舗で8001000万元程度売らないと採算が取れないなんていう話もあります。そうそう、あと接待攻勢も必要のようですね。接待だけならわからなくもないのですが、自分の遊んだお金の領収書まで回してくるそうです。昔の日本も接待攻勢はあったんでしょうが、ここまでやっていたんでしょうか。その時代に働いていなかったのでよくわかりませんが。というような状況もあって、国美への納入額の減額を考えるところも少なからず出てきているようです。

 

 しかし本当に箱を持っている側の立場が強すぎますねえ。大きいことはいいことだの精神なんでしょうか。

 

 明日は物流について書きますね。


上海のGWの小売売上高

2011年05月09日 | 日記

 日本だと今日からご出勤の方も多いのではないでしょうか。GWはいかがでしたか。中国はカレンダー上は4月30日から5月2日までの3連休のみでしたが、昔の名残で昨日まで休暇をとっていた人も少なくありません。

 さて、ここ上海では4月30日から5月2日までの3連休での小売売上が35億間に達しました。一日平均で11.67億元です。これがどれだけすごいかというと、2000年のときの7.4倍の金額にまで増加しているのです。

 

 ジュエリー系が前年比36.5%増、服飾が前年比25.3%増、お菓子・タバコ・酒等の食品が前年比21.4%増となっています。天気がよかったので外出してその勢いで買い物する人が多かったといわれています。買い物意欲はずっと旺盛のままですね


2010年の平均給与

2011年05月06日 | 日記

 

 2010年の中国のGDP成長率は10.3%、CPⅠは3.3%の伸びでした。これに対して収入は同であったかというと、2010年の都市・鎮の私営企業の在職従業員の年間平均給与が20,750元、非私営企業ではこれが37,147元でした。非私営単位(国有企業や行政機関等)が私営企業(いわゆる民間企業)の1.8倍もあり、非私営単位のほうが高いというこの傾向は変わっていません。また、非私営単位の地区別、私営企業の業種別の推移は次のとおりです。非私営単位の地区別では上海がダントツですね。北京よりも9%以上も高いです。チベット(西蔵)よりも約32%高いですが、チベットの町並みを知っている自分からするとこの程度の差ですんでいるのかという意味で意外に感じました。

 

  

                    (東方日報より)

  

 私営企業の業界別を見てみましょう。日本も含めた諸外国では金融業の収入が大体トップに来ます。中国でもそうだったのですが、2010年はIT業界に抜かれてしまってます。ネット関連企業が乱立しており、この業界は人材の流動性が高く、引き止めるために給与面を高くせざるを得ないといったところが原因でしょうか。私営企業の金融業は第2位ですが、非私営企業では金融業がダントツのトップで80,772元って、私営企業の倍以上です。非私営単位の待遇っていいんですねえ。日本でも公務員の待遇をうらやむ声が聞こえてきたりしますが、ちょうどそんな感じですね。


中国産の有機食品

2011年05月05日 | 日記

 昨日に続き有機食品についてです、本日は中国産の有機食品に関する紹介です。中国産といってもネガティブ情報ではなくてうまくやっているケースです。

 

 中国の有機食品市場は2006年には56億元だったのが、2010年には100億元を超え、今後は30%以上の成長率を予想する声があります。昨日紹介した会社もこの流れを読んでの中国市場参入でした。

 

 多利農庄という会社があります。 

 

 

   

 ここの代表者の張氏は以前EMBAで学んでいたのですが、その卒業論文で有機食品市場に関するものを書きました。その研究を通じて、香港、台湾、日本では有機農産品の全体に占める比率は8~10%あるのに対し、中国では上海のような都市でも1%に満たないことを発見しました。2006年末の段階で、中国国内で有機食品印象を取得した企業はなんと2000社を超えているのですが、数こそ多いものの大手企業はいないという状況。張氏は既に事業を行っており高い授業料が必要なEMBAで学ぶことができるくらい資金的には恵まれており、この資金を用いて有機食品のビジネスをはじめました。有機食品を育てるためにはそれに見合う土地が必要です。一般の土地だとそれを改良する必要があります。この会社では2億元以上を費やして土地改良を行い、有機食品を作れるようになると同時に、OFDC、IFOAM、HACCP、GAPといった認証を取得しました。これらを経て2009年の売上高は3000万元、2010年には5000万元に達し利益計上するにいたりました。投資した金額の回収にはいたっていないものの、まずまずの滑り出しでしょう。

 

 さて、販売に関しては普通であれば代理商やブローカーを通じての販売、スーパーとの連携といったものが考えられますが、いずれの方法でも中間フローで発生する費用がバカにならず、この費用を節約するために直販スタイルをとることにし、あわせて会費を必要とする会員制を導入しました。直販のスタイルとしてはおおよそ次の3つに分かれます。

 

(1)   大手企業は団体等の団体会員

(2)   ギフトカードまたは商品券の活用

(3)   オフィシャルサイトを通じたネット販売

これらの販売比率は4:4:2です。2010年末には20を超える団体会員と5000人の普通会員を抱えるにいたりました。結果論ですが、有機食品を購入するくらいの人であれば会費を払うということに抵抗感がなかったのでしょう。特に中国の有機食品は怪しげなものがまだまだ多いので、会員制にすることでより安心感を与えることができたのでしょう。

 

 直販には物流という問題があります。先進国ならいざ知らず、中国ではまだ物流、特にコールドチェーンが未発達です。扱い高が少なかった初期のころは自社で対応していましたが、取扱高が増えてくるにつれてそのやり方にも限界が見え、ヤマト運輸に委託することになったのです。ここで日系企業が出てくるというのがうれしいですね。配送チッキは上海エリアはカバーしており、産地で取れたものは24時間以内に会員のところに配送されるようになりました。

 

 また、製品がどこでどのように育てられ、どのように配送され、それが誰によって行われたかという情報も開示し、ほかには農場見学や釣りといったイベントを開催することで消費者をひきつけています。これらの活動は消費者に喜んでもらうということを目的としていますが、中国産の有機食品の信頼度をアップさせるのにも役立っていると思います。実際に商品を手に取る、あるいはそれに近い行動がこの中で垣間見られます。

 

 ネットでの評判を見る限りではいわゆるサービス面が劣っているように思います。やれアフターサービスが全然なっていないとか、言っているほどいいものでもないとか。

 

 サービスという言葉をキーワードに何かを展開しようという話はよく聞きますが、中国では優良なサービスを受ける機会が少なかったがゆえに、提供する側のレベル感と受ける側のレベル感が一致していない場面が多いように思います。要するに過剰サービスとなっておりかえってうっとうしく感じる場面もあれば、そもそもサービスになっていない場面も見られます。このあたりがどんどん収斂されていけばまた違ってくると思います。たとえばユニクロで買い物したときに受けた対応は個人的には非常に心地良く感じました。しつこくないけど心地よいという感覚ですね。適度な距離感とでもいいましょうか。他の人だとまた違う感想を持つかもしれませんが、こういったサービスのレベル感っていうのは大事かなと思いますね。


台湾産有機食品販売会社訪問

2011年05月04日 | 日記

 先日有機食品を販売している台湾系の企業を訪問してきました。オフィス内に商品が並べられていたのですが、これが全部ではないと思うのですが、結構な品揃えでした。 

 

 

  (クリックして拡大)

 

 てっきり中国で生産しているかと思っていたのですが、基本的には全部台湾で生産したものを中国に輸出しているとのことでした。教えてもらったところによると、中国では有機栽培していない天然モノが有機食品と勘違いされているケースもあるようです。また、中国で生産しない要因としては、中国の技術レベルというよりもむしろ中国の消費者が「中国産の有機食品」というのがまだ受け入れないという考え方があるようです。中国人が中国の有機食品を胡散臭く思っており、台湾で生産したものを持ってきたというほうが受けが全然いいそうです。4年前にはじめたのですが、当初はさっぱりだったのが、最近は好調のようで、展示されていた品の中でも在庫がなくなってしまいしばらくしないと入荷にならないという商品もありました。どこかお客さん紹介してって頼まれたので、興味がある人はご連絡ください。おつなぎしますので。

 

 

 中国人が中国産を信用しないというのはわからなくもないですね。まだまだ商品の目利きができないようなので、結局ブランドに頼ってしまいます。2010年のマッキンゼーの調査によりますと、45%の人が高価格が高品質と考えているのに対し、アメリカではこれが16%、日本では8%となっています。要するに安くてもいいものがあると目利きできる人がアメリカや日本では中国よりずっと多いということがいえると思います。中国の場合アパレルでいえばだからこそ品質のよしあしを気にしないですむ高級ブランドに手を出してしまうのでしょう。

 

 食品の場合はとにかく事件が多すぎますね。最近で言うと瘦肉精(塩酸ラクトパミンやクレンブテロール塩酸塩など豚肉の赤身を増やす効果のある薬物の総称)、毒饅頭、揚げ鳥(これを食べた子供が死にました)、鳥の血の塊、こういった食品の問題がしばしば取り上げられています。そういったものを作っている現場の映像を見ましたが、工業用の塩を使っていました。そのほうが安く上がるんですって。アパレルの粗悪品ならまだしも食品だと人体に影響するので本当にやめてほしいですね。小さい話で言えば買ったズボンのポケットに入っていた針がお尻に針が刺さったことがありますので、アパレル粗悪品でも人体に影響がないとはいえないですね。


下準備の重要性

2011年05月03日 | 日記

 2004年の年商が500万元だったのが、2010年には10億元になった企業があります。韓国系のLOCK&LOCKです。食品を入れる容器でこのブランドを見た人が多いのではないでしょうか。

 

 

 今では100店舗以上の直営店も持っております。2009年の時点で中国での売り上げは本国の韓国における売り上げを上回っており、中国業務に関して香港市場での上昇を検討しているそうです。

 

 2004年に中国市場に参入したときにまず行ったことがブランドイメージを新たにポジショニングすることでした。そもそも当時はこのような密封容器に対する認知度は高くなく、価格も高かったのですが、価格を半分以下にすることで消費者が買い求め安い価格にしました。これと同時に広告を大量に放ち、テレビショッピングでも販売することで知名度を上げ、たまたまといえなくもないのですが、当時中国で放送されていた韓国の人気ドラマ《大長今》に出演していた女優を起用したプロモーションがこれまたうまく当たりました。テレビショッピングに関しては既に30以上のチャネルで取り扱われています。クレジットカードやスポーツジムの会員向けに贈答品として提供したのも知名度アップに一役買ったようです。

 

 次に同社の鍋市場の展開についても紹介します。同社が調査したところでは中国の鍋市場は二極化しており、高級品は欧米ブランド、低級品は中国ブランドが占めていました。この間を狙えば勝機があるのではないかと考え、2009年末にはCookplusというブランドを投入し、元々持っていたテレビショッピング、代理店、直営店の3つのチャネルを活用して販売を開始し、2010年4月には全国的に広告を行いました。

 

 

 

 

 

 上海では料理厨房を設けて主婦を招待して使用方法を教える等の啓蒙活動を行った結果、昨年第4四半期には第3四半期の5-6倍にまで増加しました。このほかにも新ブランドをどんどん投入しています。ほかにも特客来生活館という店舗を開設し、これは従来の直営店とは違って自社ブランドだけではなく韓国本土で有名なブランドもおいており、家庭用品、乳幼児用品、食品、各種小型家電なんかも取り扱っています。ネット販売も始めており、今のところ売り上げ比率は7-8%ですが、将来的には15%まで引き上げていくことを計画しています。

 

 やることなすことすべてうまくハマっているように見えますが、単に闇雲にやっていたわけではないと思います。実際に価格を下げるのも思い切った方向転換ですし、広告を大量に行うのも費用がかさむことから簡単な意思決定ではありません。これらに加えて中国市場で受け入れられる商品を開発するため、昨年には開発部門を上海に移しています。口で言うのは簡単ですが、これだけのことを全てできている会社はそう多くないでしょう。

 

 今後は二三線都市へ攻めて行きたいとのことですが、中国における今までの成功経験をそのまま持っていくことは考えておらず、やり方にアレンジを加える必要があると考えています。いいですねえ、非常にまともな発想だと思います。新しいことをやるにはそれなりに準備するということです。よくある例ですが、中国に進出したい、うまくいくかどうかわからない、えいっ、会社作っちゃえ、というようなケースがあります。これがたまたま当たると先見性があったということになるのでしょうか、失敗すると中国市場は難しいの一言で済ませてしまうケースが多いように思います。違うのです。新しいことをやるためにはちゃんと準備しないと。いろいろ準備して調べた結果進出しないという結論もありです。進出=成功とは限りませんので。よく調べもせず勢いだけで事業を立ち上げてしまうのはいうならばパチンコと同じでしょう。いや、パチンコでもいわゆるパチプロと呼ばれる人たちは研究に研究を重ねているので、勢いだけでやっているのとは違うはずです。ということで、勢いや気合も大事ですし、ギャンブル的な行動で物事を進めざるを得ない場面もあるかと思いますが、このLOCK&LOCK 社のケースは下準備の重要性を改めて意識させられるケースといえるでしょう。


中国企業の三四級市場に対する取り組み

2011年05月02日 | 日記

 内陸市場を攻めようなどというフレーズはここ最近では聞き飽きたフレーズかと思います。しかしながら、中国企業でもこのあたりを攻め込もうという動きはあり、今回はこれについて紹介したいと思います。

 

 ある調査会社の報告によりますと2010年の家電市場規模は10758億元で、そのうち三四級市場は半分を超えているそうです。さすがにこれは無視できないですね。ハイアールでは加盟という方式を通じて県級市場に6000の専門店と700の日日順という加盟店を展開し、2011年には全国で新たに2000の加盟店を設けることを計画しています。美的電器は今年3月末までで専門店が13000店になり、年末には16000店までにすることを計画しています。いずれも主に県級や鎮級の市場で増やしていく計画です。これっていわゆる昔の日本で言うところナショナルショップのようなパパママショップかと思うのですが、普段はあんまり意識しませんでした。どうしても国美や蘇寧といった家電小売店の動きに気をとられてしまってました。ただ、中国の場合箱を持っている側の立場が強すぎるので、箱に対して商品を提供するよりはハイアールや美的が行っているような動きも十分に検討に値するのではないかと思います。しかし、外国の市場で単独でこのような展開をしていくのも難しいでしょうから、こういった展開をサポートしてくれるパートナー探しも必要になってくるでしょう。ただ、メーカーの専門店となりますとどうしても品揃えで家電小売店に負けますので、そのあたりの対策が必要になってきますね。しかし今のところは伸びている市場がこの問題をカバーしているようです。そういえば細かいところは忘れましたが、島耕作の中でもこういったパパママショップに関するお話がありましたね。それとパナソニックが既に松下電器生活館というのを展開してますね。結構いろんな都市で展開しています。

 

 家電小売店もこの動きを見過ごすわけには行かず、やはり積極的に店舗展開を行っています。国美では人口5万人以上の県級市場は絶対にカバーすると言い切っており、実際に広州で40店舗増やしてます。年内には150まで店舗を増やす計画です。蘇寧電器も年内に広東で70店舗増やすと発表しており、これにより265という店舗網を築くことになります。

 

 中国企業はこのように非常に積極的な取り組みを行っています。これが正解かどうかはともかく、日系企業としても今後の市場展開を考える上で研究する余地はありそうですね。


台湾系企業の中国内販向け共同チャネル

2011年05月01日 | 日記

 5月に東莞で大麦客という会員制スーパーが開店します。従来の輸出加工型企業の内販チャネルとして東莞台商協会がつくったものです。売り場面積は30000㎡、駐車場は600台近くあり、主に台湾商品を販売していますが、それ以外の国内外の商品も扱います。

 

 

 

 このスーパーができるそもそものきっかけは東莞に所在する台湾系企業に対して内販チャネルを設けるためであり、130余りの台湾企業が出資しています。東莞所在の台湾系企業は従来輸出加工に徹していましたが、最近では内販の比重を徐々に増やしつつあります。しかしながらなかなかうまくいかないようで、この悩みを解決するために作られました。東莞所在の台湾系企業の内販比率は30%程度で、場所柄を考えると結構な数値かと思います。2005年あたりはこれが8%くらいしかなかったようで、単純に毎年3-5%程度増加してきたということになります。

 

 大麦客という会員制スーパーのモデルは台湾の好市多というスーパーを参考にしています。好市多の年会費がNT$1200(約3000円)で会員の年間平均購入金額はNT$10,000になります。多くの会員は車で買い物に来るというスタイルですが、東莞でこのスタイルが受け入れられるかどうかは注目ですね。ただ、会員制にすることによって潜在顧客を失っているのではないかという見方をするサプライヤーもいるようです。ちなみに大麦客では年会費を300-350元(約2600-3400円)で設定するようで、確かにこれは決して少ない水準とは言えず、ほぼ日本基準並みかと思います。日本だと同じようなのがたぶん3000円くらいじゃないでしょうか。しかしながらまだ開店していない今の段階ですでに5万人が会員になったそうですのでまずまずではないでしょうか。

 

 このスタイルは日本でもありますね。私は神戸なのですが、神戸で言うとダイエー系のバンドールやkousというのが以前ありましたし、いまだと西宮にあるコストコなんかと同じですね。このスタイルが受け入れられるかどうかはさっきも書いたようにこれからの注目点ですが、もっと注目すべきはとある国の企業体が協力し合って販売チャネルを作り上げるという動きです。これはなかなかできないのではないでしょうか。もちろんバッティングする業種で見えないところでゴタゴタがあったのかもしれませんが、こうして形になるわけですから大したものですね。こういう連携は他国でももっと見習えばいいと思います。今後の展開が楽しみです。