呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

日中年金協定の交渉が早期開始へ

2011年05月23日 | 日記

 日経新聞より。

 社会保障協定、早期交渉開始で一致 日中外相会談』

 要するに中国では7月から社会保険法が施行され、これに基づき外国人、当然日本人にも社会保険料の納付が義務付けられることになるのですが、日中双方で納めた社会保険料の二重払いを防止するための協定を結ぶ準備を始めましょうということです。社会保険法については何度か書いたことがありますが、外国人には適用されないという見方が一部でありましたが、個人的には外国人にも適用されると思っていましたので、あらためてそれが再確認できたということがいえます。

 それにしても7月なんてもう目の前です。駐在員の場合、手取り保証の給与支給が一般的かと思いますが、このスタイルは継続されるでしょうから7月以降は社会保険料部分がコスト増になります。会社としてのコスト増は所詮会社の問題ともいえるのですが、現地採用の場合はどうなるでしょうか。現地採用社員は駐在員のような手取り保証の給与支給となっていない人も多いかと思います。手取り保証であればその個人としては影響はない(会社には影響あり)ですが、そうでない場合は給与が目減りする(会社には影響なし)ことになってしまいます。後者の場合個人にとっては社会保険料も結構バカにならないので、ダメージは大きいでしょう。社会保険料の話題は以前から出ていたので、それなりに覚悟している企業は多いと思いますが。

 中国人社員に対して目先の手取り金額を厚めにして福利厚生をないがしろにするような雇用をするところがあります。社会保険料の基数となる給与を少なくして発票(領収書)と引き換えにお金を渡し、手取り金額をそれ相応にするような方法です。これを嫌う社員もおり、これを転職理由にするような人もいます。あんまりいい方法と思いませんが、現地採用社員に対して、「どうせ年金なんてもらえないし、これでいいよね」なんて言葉で、このスタイルをとる企業が出てくるかもしれませんね。