呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

中国での農作物の生産

2011年05月24日 | 日記

朝日ビール、住友化学、伊藤忠商事の三社合弁で山東省煙台に設立した朝日緑源農業高新技有限公司という会社があります。2006年3月28日に設立された会社です。土地を賃借して牛乳やイチゴを生産しており、同社の製品は青島や上海の大型スーパーで販売されているので、見かけたことがあったり、実際に購入したことのある方もいるかと思います。

 

 中国で農業生産となると、日本側は日本の農業技術が漏洩するのではないかと心配するかと思うのですが、現地の《経済参考報》というメディアではこれを中国の資源の外資による侵食であるかのように報じています。なんでそうなるのかなあ。ちょっと中身を見ていきましょう。

 

 同プロジェクトの精神としては、「山東省ひいては中国の農業改革の支援を希望する」、「先進的な農業技術があり、農業生産経営の秘訣、人材、農業用機械設備と優良な種苗、山東省ひいては中国の農業の発展に注力」というものです。ところが現地では土地は希少な資源で、外資が大範囲にわたって農業栽培に入ってくると、長期にわたり耕地を使用し、中国で生産した農業製品を輸出することになり、中国の希少資源を占拠するような形になってしまうという考え方があるようです。朝日緑源農業高新技有限公司の製品は中国国内向けですし、ちょっと考えすぎのような気が。。。現地では同社を見習って先進的な技術、経営理念等を導入しようという機運が見られているという話なのですが。。。

 

 日本の果物で現在中国への輸出が認められているのはリンゴと梨くらいです。中国向けに農業製品を売りたいと思っているところは多いのですが、色々と規制もありなかなかそれも難しい状況で、それならば中国で作ればいいやという考えになるのもわかります。中国で作るということは技術移転にもつながるので中国側にも喜んでもらえるだろうと考えることもできますし。入ってこられる側というのはそう思うものなのでしょうかねえ。むしろ奨励してもらってもいいくらいと思うのですが、何か他の意図があるのでしょうかねえ。