呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

今年も人手不足

2011年02月14日 | 日記

 

 春節に帰省した農民工が休み明けに帰ってくるかどうかは工場経営者にとってはどきどきするところである。去年もかなり騒がれたが今年も騒がれている。去年よりも状況は厳しいという人もいる。企業によっては駅まで行って募集をかけているところもあるのだ。

 

 珠江デルタでは200万人が不足、湖北省では56万人が不足しているという報道がある。なんだかんだで金融危機も落ち着いてきて、欧米企業からの注文も増えてきており、人では必要なのだ。農民工は年々減少しており、ここ三年で2000万人ほど減少したという統計もある。国家統計局が発表した2009年農民工モニタリング調査報告》の中でも、2009年度において東部地区で働く農民工数は8.9%減少している。特に珠江デルタ地区では2008年と比べて22.5%も減少している。

 

 こんな状況だから冒頭に書いたように、休み明けに戻ってくる農民工に対する「リクルート」が帰省先の駅で行われているのである。飛び降り自殺報道で世間を騒がせた富士康の提示する標準給与は1300元/月で、査定を通過すれば2100-2800元/月に引き上げるという。ワーカーとしてはなかなかの水準だといえるだろう。このほか、端午節や中秋節、春節にも紅包(お祝儀)が支払われるという。報道見てると2800元どころか400元とか6000元なんていう金額も見られる。

 

 

 でもまあ今までが安過ぎたのだろう。6000元はともかくだって2800元って4万円弱ですからね。ただし、上昇のスピードが速いというのも事実。そういえば某企業が人材引止めのために給料を実家に送金するという方法をとっているというのを聞いたことがある。本人がやめたくなったとしても実家が今まで安定してもらっていた給与を失うのを恐れ本人に「やめることをやめる」ように説得し、結果として人材を引き止める効果があるという。直接本人に給料を支払わないという点が法律的には問題ありそうなので、ちゃんとした企業ではできない方法ですね。