呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

深センの来料加工工場の現地法人化の現状

2011年02月10日 | 日記

 

 来料加工工場の現地法人化ということが言われて久しい。広東省にある来料加工工場15000のうち、3800が深圳にある。2002-2003年のピーク時には9000ほどあったので、かなり減少していることがわかる。そしてこのうちの600あまりが来料加工工場としての期限が満了したのだが、2012年まで期限延長している。政府側は2008年9月に公布した《加工貿易モデルチェンジ・レベルアップの促進に関する若干意見》を公布しており、この中で2012年までには現地法人化を完結してほしいという態度を鮮明にしている。また、加工貿易に関係する通達を見ても、加工貿易禁止類目録等の調整により、加工貿易のメリットが薄れていく方向にある。

 

 このような状況でありながら、様子見の姿勢を維持する企業は多い。深圳市加工貿易協会転委会が深圳市来料加工企業モデルチェンジ・レベルアップに関する現状について調査したところ、既に現地法人化した企業は10%に満たず、20%が現地法人化を希望しておらず、様子見するというのが65%以上という結果が出ている。既に現地法人化を終えているのが200近く、まさに手続きを進めているのが数百、大部分が様子見なのである。

 

 では、現地法人化を望まない来料工場はなぜそのように考えるのだろうか。輸出加工に限定した取引しかできないところは国内向け商売ができないという現実がある。そういったところは、現地法人化してしまうと全く商売がなくなってしまうのである。

 

 来料加工の現地法人化には4つのタイプがあるという。

 

     自ら現地法人化を望む

     政策について理解しておらず、政策に対する理解及び現地法じかの流れを理解した後に現地法人化を希望

     絶対現地法人化しない、するくらいなら閉鎖する

     様子見する。よそがやれば自分たちもする

 

 企業によって事情は異なり、完全なるOEM生産で、自主ブランドを持たず、加工費のみに頼るような企業で、特に有名ブランド製品を生産し、原材料の仕入れまで指定されているような来料加工工場は一般的に現地法人化を希望しない。現地法人化すると、財務人員の増加、納税といったコスト増に遭遇するからだ。一方で、自ら決められる権限の大きい来料加工工場は、国内での原材料調達も行うことができるようになるため、現地法人化する上で有利であるといえる。また、現地法人化したくとも、コスト、結転、手続き等の問題で踏み切れないというところも少なくなく、こういった諸々の要因により結果として様子見の企業が多いということがいえよう。

 

 ただ、流れ的には2012年以降は来料加工工場を継続していくことは難しくなっていくことが政策的に見て取ることができるので、様子見といっている企業もいつまでも様子見というわけには行かないだろう。そういったことから、今年後半から来年初めあたりに現地法人化ラッシュという状況が起こる可能性がありそうだ。


今年一回目の預貸金金利引き上げ

2011年02月08日 | 日記

 春節休みの間ついつい筆を休めてしまっていました。またマメにアップしていきたいと思います。

 さて今年一回目の預貸金金利引き上げです。2月9日からの引き上げです。今年早速の引き上げであり、また前回からわずか1ヵ月半の間での引き上げとなります。物価上昇がなかなかとどまらないことから、それを抑制することを目的としたものと見られています。

 上昇する物価の中でも食品価格の上昇が大きいという報道がありますが、確かに食品価格は上昇しているように思います。たとえば、私はほぼ毎朝のように豆乳をコンビニで買って飲んでいるのですが、こないだまで2.3元だったような気がするのですが今では2.8元、目玉焼き付きおにぎりがこないだまで2.5元だったのが今では3元、お昼の弁当ですが2年前は10元だったのが今では13元、金額的にはわずかに見えますが、幅としては結構な上昇幅です。外食のコストも以前と比べるとあがってきているように思います。外食についてはもっと前から上がってきている感覚を持っていましたが。

 とにもかくにも物価上昇が止まらないようで、この流れからするとそのうちまた金利が上がりそうな感じがしますね。


ズンドコ通達

2011年02月01日 | 日記

 

 2010年12月31日に公布された《上海市国内機構のサービス貿易項目における立替金、分担費用の対外支払いの関連問題に関する通知》だが、どうもズンドコ通達のにおいがしてきた。たまたまとある会社から会社設立に当たってオフィス賃料の保証金をどうすればいいかという問い合わせがあり、この通達を使うことで本社から送金しても後から立て替え金送金できるかと思っていたのが、取り扱い銀行から「今回の通知の対象となる立替金は給与及び日本で発生した費用を対象とするものであり、中国における賃料の保証金に関する立て替え金送金は対象外なので不可」との連絡を受けた。納得がいかず外貨管理局宛に3人に対してヒアリングした。二人が不可という回答、一人が銀行の判断次第というものだった。ネガティブになっている理由としては、「本通知はあくまでサービス貿易に伴うものであり、それ以外についてのものではない。既に行われていることをあらためて明文化したようなもの」という回答だ。給与なんて実態的にはできているしのでそれならばこの通達は何の意味もない。

 

 サービス貿易の定義について調べてみた。2009年1月1日より施行されている《国家外貨管理局、国家税務総局:サービス貿易等 項目の対外支払いに税務証明を提出することの関連問題に関する通知》(匯発[2008]64号)の中で、定義がある。 

 

 

本通知で言うところのサービス貿易には、運輸、旅行、通信、建築据付及び役務請負、保険サービス、コンピュータ及び情報サービス、特許権利使用及びパテント、体育文化及び娯楽サービス、その他商業サービス、政府サービス等の取引行為を言う。

 

 

 「その他商業サービス」って結構便利な言葉だと思う。要するに広範囲に解釈できるという意味でだ。だからこそ立替金を給与及び日本で発生した費用に限定するというのは納得行かない。この解釈どおりで実務が行われるのであればこんな通達なんて公布するなよ。なんじゃこれ。期待が大きかっただけに、これではまるで可愛い女の子に電話番号を教えてもらって後から書けたら「この番号は現在使われておりません」というアナウンスが流れてしまうようなものだ。ズンドコ通達としか言いようがないわ。