呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

《国外機構人民元銀行決済口座管理弁法》

2010年11月03日 | 日記
 2010年8月31日付で《国外機構人民元銀行決済口座管理弁法》 (原文⇒ここ) が公布され、10月1日より施行されることになった。既に非居住者の人民元口座の取扱いは実務的に始まっているが、それを後追いするような形の通達となった。口座の種類としては金融機関や合格境外機構投資者といった特殊な身分以外にも、一般企業による開設も謳われている。非居住者人民元口座が話題になったときから思っていたのが、この口座内の人民元の外貨への変換はスムーズにできるのだろうかという点だ。これについては同弁法第14条で、「国外機構銀行決済口座内の資金は外貨に転換して使用してはならず、別途明確な規定がある場合を除く。」というように、非居住者人民元口座内の人民元の外貨転換を禁じている。となると、同口座内の資金を本国に持って帰ろうとすると口座をクローズしかないということになる。ちょっと使い勝手が悪いような。好き勝手に両替されることを嫌がるのはわかるが、そもそも禁じられてしまうというのもいかがなものか。まあ、国外で開設した人民元口座に振り替えてから外貨転すればいいのだろうが。人民元切り上げがここ数年来ずっと話題になっているので、人民元ポジションを持ちたいという企業、人民元決済を求められたために人民元ポジションを持ちたいという企業、こういったニーズはあるのだろうが、どの程度の需要があるのだろうか。今のところまだちょっと見えないように思う。銀行がどこまでセールスしていくのかにも左右されるだろうが、一般的に普及するにはまだちょっと時間が必要だろう。

フライト遅延に伴う補償

2010年11月03日 | 日記

 中国航空運輸協会が湖北機場集団に《航空運輸服務質量不正常フライト引受人服務及び補償規範(試行)》を発し、春秋航空を除き、国内の航空会社は新たな遅延補償を実施することになった。遅延の原因となるものには天気、突発事件、空中交通管制、安全検査、乗客または公共安全等の原因による航空会社の原因によらないものと、フライト計画、整備要因、フライト手配、運輸サービス、クルー等の原因による航空会社の原因によるものとがあるが、この違いにより行われる補償は次のように異なる。

 

航空会社に非がない場合

航空会社に原因がある場合

     航空会社は補償責任を負わない

     空港または航空会社は乗客に飲食サービス及び休息場所の連絡を協力するが、関連費用は乗客が自己負担。

     経由地で遅延する場合、いかなる理由であれ航空会社は必要に基づいて経由する乗客に無料の飲食サービス及び宿泊場所を提供すること。

     フライト遅延、キャンセル、チケットの払い戻し、変更の費用は航空会社が負担。

     遅延時間に基づいて乗客に無料の飲食サービス及び休息場所を提供すること。遅延見通しが1-4時間以内のフライトについて、速やかに乗客に飲食を提供すること。

     4時間以上の遅延見通しについて、休息場所を手配すること。

     4-8時間以内に出発した場合、300元相当の値引き、マイルまたはその他方式の同等価値の補償、または200人民元を提供すること。

     8時間を超過指定出発する場合、450元相当の値引き、マイルまたはその他方式の同等価値の補償、または300人民元を提供すること。


 乗客に高速鉄道などの代替輸送を提供し、当初の到達予定時刻の4時間以内に最終目的駅に到着するにもかかわらず、乗客がそのサービスを放棄する場合、補償は行われない。

 

 中国の飛行機はしばしば遅れる、というよりも遅れるのが当たり前で常態化しているといってもいい。その場合補償してもらえるとのことだが、結局天気、突発事件、空中交通管制、安全検査、乗客または公共安全等といった航空会社に非がないとされるケースの場合、食事や休息場所の手配のみが行われるに過ぎない。そうなると、次に疑うべきは、本当は航空会社に非があるにもかかわらず、それを正直に開示しないのではないかということだ。空中交通管制は遅延する言い訳としてよく聞かれるが、そもそもダイヤの組み方に問題があって空中交通渋滞が生じることも少なくないだろうから、根本的には航空会社に非があるといってもよいだろう。もちろん、そうなると一社の航空会社だけの問題ではないのだが。いずれにしても、航空会社は自社に非がある場合に本当にそれを認めてちゃんと補償してくれるのだろうか。遅延補償もいいし、スチュワーデスのミスコン化もいいが、一般的なサービスレベルの向上もあわせて望みたい。