持参したねんどろいどの秋山澪、中野梓の脚のジョイントが折れたため、HTTと「わかばガールズ」の9人全員を並べて撮る、という計画は頓挫し、仕切り直しを迫られました。「わかばガールズ」の楽器類も間に合いませんでしたから、次の機会にはそれも実現させたい、と思いました。
とりあえず、今回は予定も無くなったうえ、テンションも下がってしまったので、校内のあちこちを見て回るのも最低限にとどめて、早々に撤退するか、と考えました。
とりあえず、「部室」に行って雰囲気を楽しんだり、屋上の景色を眺めたりしました。イベントは正午からなので、まだ人影もまばらでした。
酬徳記念館にも立ち寄りました。二階のこのスペースが、やっぱり落ち着きます。
とりあえず、デジカメのセルフタイマー機能を使って、記念に一枚撮りました。
何度見ても欲しくなってしまう、琴吹紬の等身大パネルです。ガルパン大洗のキャラクターのパネルに関しては「いいな」と思う程度で「欲しいな」とまでは考えません。しかし、こちらは私自身の好きなアニメキャラクターのナンバーワンですので、本気で「欲しい」と常に思います。
でも、販売品ではなくて展示品ですので、どうにもなりません。どうしても手元に置きたいのであれば、上図のパネルの絵柄の元図をカスタマイズして、芸大時代に学んだデザイン拡大印刷のテクニックを生かして、自作するしかありません。でも現状では置く場所もありませんので、自作も夢のまた夢、です。
こちらの平沢唯のパネルもなかなか良い雰囲気です。素の状態をよく表していると思います。
酬徳記念館を出て、旧校舎前の噴水付近に移動したところで、模型サークルのタダ氏から電話がありました。豊郷にいることを話すと、「ヒマなら、すぐに京都へ戻ってくれんか、楽しい催しがあるんだ、参加してくれ」とのことでした。何の催しですか、と聞こうとした途端、電話が切れました。
しかし、すぐにまた電話が鳴り、今度はモケジョのミカさんの明るい声が響いてきました。
「豊郷にいらっしゃるんですか?いいですねえ、今日は澪誕でしたね。夕方までご滞在ですか?」
「いや、もう引き揚げます」
「あら、まだ11時前ですよ?ひょっとして、フィギュアの撮影が出来なくなったとか?」
「・・・実は、その通りです。よくわかりましたねえ・・・・」
「星野さんが豊郷に行かれて、すぐに引き揚げる、っていうと理由はそれしか考えつきませんから・・・」
「お見事です。で、今日は何か?」
「あの、急で申し訳ないんですけど、今日の午後に私たちのサークルで会長の誕生会をやりますので、出来たら星野さんにも来ていただけないか、と思いまして」
「ほう、エリさんの誕生日でしたか。じゃあ、行かせていただきます」
「わあ、良かった。あと、安藤さんや多田さんも来てくれるそうです」
「ああ、それでさっき多田さんが言ってきたのか・・・。場所も時間も言わんと・・・」
「あははは、多田さんらしい。時間は13時から一時間ほど、場所は木屋町の「アモーレ」ですけど、分かります?」
「もちろん、京都屈指の有名店ですからね。仏光寺公園の南の町屋風の建物でしたかね・・・」
「ええ、そうです」
かくして京都に戻り、モケジョさんの誕生会に参加することになりました。「アモーレ」のパスタは旨かったなあ、また食べられるとはラッキーだ、そうと決まったらすぐに戻ろう、ということで、帰り支度にかかりました。ですが、その前にひとつ、やっておかなければならないことがありました。
実は、この日、ガルパン以来のけいおん仲間であるナガシマさんも豊郷へ来て、秋山澪生誕イベントに参加することになっていました。ですが、直前まで先方が参加するかどうかが不明であったため、特に連絡も計画もしないままでした。参加するとの連絡を受けたのは5日前でしたが、先方はツイッター仲間との予定が色々あるような素振りでしたので、とくに予定も決めず、前日も挨拶程度の連絡に終始しました。そして、当日は到着が遅れたようで、校内のどこにも姿が見当たらず、メールで問い合わせても返信がありませんでした。
もともと当日会ってどうするかも決まっていなかったので、このまま帰ろうか、と考えましたが、無断というのも何なので、電話で一声かけてみました。
すると、既に「部室」に居るとの返事でした。その十数分後に前庭で会って少し話をしましたが、間もなく先方のツイッター仲間の一人がやってきて食事の予定があるから、と車に誘っていました。どうも自分は邪魔だったようだな、と気付きました。
別れる間際に、先方がイベント参加特典としてもらったポスターを手に記念撮影させていただきました。このポスターもファンのイラストを元にデザインしたものであるようです。
開館時間には晴れていましたが、11時頃には雲が広がり始めていました。
さらば、豊郷。また来ます。
校門前の平沢唯です。こちらも少々痛みが生じているようです。
立花姫子は、前回見た時は片足がもげていましたが、その後新調されたようで、真新しい感じになっていました。
12時には京都に戻り、まっすぐ木屋町の「アモーレ」に移動してモケジョさんの誕生日会に参席、京都でもベスト3に数えられる人気店の美味しいパスタランチをいただきました。
その後、誘われるままに出町柳あたりへ散策に出て、「たまこまーけっと」の聖地である出町枡形商店街へも行きました。鴨川デルタでは、河川改修工事が行われていて、鴨川の流れを半分ほどせき止めていましたので、飛び石群が完全に露出状態になっていました。
西大路の下宿には15時過ぎに帰宅しました。すぐに、秋山澪と中野梓の折れた脚の交換を行いました。上図のように脚の付け根のジョイント部分が折れてしまったのです。軽く曲げただけでこうなりましたから、ジョイント本体そのものが経年によって脆くなってきていたのかもしれません。
幸いなことに、両方とも交換可能なパーツがありました。以前に「わかばガールズ」再現のための材料として、HTTのねんどろいど中古品を大量に買ってあったのが役に立ちました。秋山澪は1体、中野梓は2体の「予備」があったので、脚のパーツもすぐに交換出来、上図のように2体とも旧に復しました。
次に豊郷に行くときは、予備パーツやジョイントを幾つか準備しておこう、と考えつつ、モケジョさんの誕生会にて色々話したことを思い出しました。特にユキさんに言われた内容が、記憶に鮮やかでした。
「星野さんは、昔、建築の模型も作っておられたそうですね」
「まあね・・・、京都造形大時代に、立体造形の実技講習の一環として建築模型のノウハウを学んだのです」
「何の建築を作られたんですか?」
「平等院鳳凰堂です・・・。あと住宅模型の簡単なのとか・・・」
「それは、木で作ったんですか?」
「鳳凰堂は木材で部材から作って組み上げましたね。住宅模型の方はスチレンボードでしたね」
「そうしますと、そのノウハウで、他の建物も作れるわけですか?」
「作れるとは思いますが、図面から引かないといけないので、正確な寸法と状態写真などが色々必要ですし、材料や道具もそれなりに必要なので、簡単に、とはいかないですけどね・・・」
「今朝は豊郷に行かれたんですよね。豊郷小学校とか、模型で作るのはどうですか?」
「あの旧校舎群をですか?ちょっと難しいですね・・・。ヴォーリズの建築というのは、あちこちで色々凝ってますんで、外観だけでもきちんと図面ひかないと、縮小再現も難しいかな・・・」
「じゃあ、内部を作るのも難しいですか?」
「尚更ですよ・・・。内装は木材を多用してますから、鳳凰堂ほどではないですが、木の部材がかなり必要になります」
「「けいおん」の部室だけを作る、ってのはどうですか?」
「ああ、そういうのは、既に何人かのファンの先行作品がありますね。ネットで検索とかすると、色々出てくる。プロ顔負けの凄い作品もありますし」
「でも、あれは大体サイズが大きいのと違いますか?内部にフィグマとかねんどろいどとか飾ってますよね」
「そうですな。だから本格的に作るなら、横幅は2メートル近くになるわけですな」
「じゃあ、きゅんキャラやねんぷちに合わせたら、どうなりますか?」
「その場合は、1メートル以下でもいけますな・・・・」
その瞬間、脳裏に何かがチカッと煌めいたような気がしました。きゅんキャラやねんぷちのサイズの模型空間、というのはこれまでに見たことが無かったな・・・、と思い至り、想定される模型空間の概数値をなんとなく計算してしまいました。
その数値に、自身でも軽い驚きと感動を覚えつつ、大学院時代に建築縮小模型に関するユニークな論文を書いて話題を振りまいていた一人の学友の顔をなんとなく思い出しました。卒業以来ずっと会っていませんが、在学時にはほとんど毎日のように図書館や食堂で隣り合わせでしたから、よく語り合いもしました。話題が箱庭とかジオラマとか、とにかく建築の縮小模型に関することばかりでした。
たしか、彼は鉄道模型が趣味で、Nゲージのジオラマに使うために建物のミニチュアを何百個も作り、ホビーショーなどにも出て即売会もやっていたな、その価格が強気すぎて顰蹙をかっていたっけ・・・、と思い出して、笑ってしまいました。
そして、何かに突き動かされるように、古いアドレス帳を引っ張り出して、彼の電話番号を確かめたのは言うまでもありませんでした。 (完結)