家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

「住宅」と「食品」と「健康に関する乱暴な論法」

2007年03月08日 | 家について思ったことなど
「あるある」のような捏造は論外だが、最近の健康と食品への関心の持ち方はちょっと異常ではないかと思う。
「こういう食材をこのように食べれば健康にいい」そんな論法がまかりとおり、それをありがたく聞く人が多すぎる。
ウソではない情報でも論法はかなり乱暴だ。
重要なのはどのようにバランスよく摂るかということのはずなのに、局所的、部分的な効能をクローズアップしてそれでほとんど解決するような論を繰り広げる。(※下段に追記)
身体にいいといわれる食品を摂取することによってトータルな健康を目指すとしたら、とても1日で食べられる量ではなくなる、と揶揄されているのが聞こえていないのだろうか。

住宅の世界でも、健康に関連して食品の世界と似たような風景を見かける。
この工法にすれば…、この建材にすれば…、この間取りにすれば…、そんな話。
それぞれがウソだとは言わないが、「健康」との結び付け方は強引だ。
特定の工法、特定の建材、特定の間取り作法に思い入れが強すぎて、「それ」にすれば大方いい方向に向かうように話を進めていく。

だいたい、「こういう家に住めば健康になる」というような論説はまやかしといっていい。いくら「いい家」に住んだって、運動もしないで「食っちゃ寝」を繰り返していたり、家中にゴミを散らかしていたりすれば健康に程遠いのは自明であろう。
それなのに「健康住宅」とかいって、まるでその家に住めば健康が保証されているようなニュアンスで売り込んでいる例がいかに多いことか(もし健康を作り出す住宅としたらこういうの→LINKこそをいう)。

たしかに住宅の質は健康と無関係ではない。私だってそれを意識して家を建てた。しかし、健康を維持するのに最も重要なのは日々の暮らし方であって、その次に食品とか住環境とかが来る。トータルな視点で見れば、暮らし方、食品、住環境、それぞれを工夫すれば、それぞれに少々足りない部分があっても補完できるのだ。
住宅に関する情報の中には、あきらかな欠陥はともかく、特定の性能・機能がやや劣っただけで健康な暮らしができなくなるかのごとき論調が結構まじっていることに注意したい。
質の高い家によってもたらされることは「健康になる」のではなくて、「健康をおびやかす恐れのある要因をいくらか減らせる」というようにとらえるべきだろう。


※追記:
どうやらそういうのはフードファディズムというらしい。↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%BA%E3%83%A0
食品について書かれているリンク先の文(特に「背景」のところ)が、「住宅」あるいは「住宅の一機能」について書かれていると思って読むことをお勧めする。