家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

大雑把で乱暴な情報

2006年05月26日 | 家について思ったことなど
「建築家は○○だ」(○○はネガティブ要素)
というように断定する人がいて、それが結構幅を利かせている。
現実的に○○な建築家が少なくないとしても、○○じゃない建築家にしてみれば迷惑なことだろう。

断定して語る人は、例えば自分と違う姿勢の同業者を引き合いに出されて、自分の属するカテゴリを語られたらどう思うか考えてみたらいい。
「工務店は△△だ」「ハウスメーカーは□□だ」
△△、□□がネガティブ要素だとして、△△でない工務店、□□でないハウスメーカーの人間はやはり迷惑なことと思うだろう。

住宅業界の中の人が発する情報はそんなのが結構多い。
客を自分のカテゴリに引き込もうとするあまり、他のカテゴリを乱暴にひとくくりにしてしまう。
そういう行為は結局自分に跳ね返ってくるものだ、と意識した方がいい。人をひとくくりで語れば自分もひとくくりで語られるものである。

私は、古屋を残すことを主な理由に建築家と工務店という組み合わせで家を建てることを決めて、いろいろ調べた。以前表明したように私はネガティブ情報を集めるのは嫌いではない(参考エントリ)し、リスク分析の面からも有用なことと思っている。
本やネットのテキストを読めばすぐに前段で示したようなネガティブ情報に遭遇する。例えば以下のようなものがある(ハウスメーカーのネガティブ情報も多いが自分とは関係ないので割愛)。

「建築家はセンセイと呼ばせて威張っている」
「建築家の建てる家は構造が弱い(あやしい)」
「建築家は住まい手のことなど考えない」
「工務店は経営が脆弱だから倒産するリスクがある」
「工務店は考えが古臭く新しい技術を使えない」

建築家+工務店という基本方針を決めた施主としては、こうした警告をどう使えばいいかというと、
変に威張らず、しっかりした構造で設計し、住まい手のことをよく考える建築家と、経営が安定し、新しい技術も使える工務店とで建てればいいわけだ(当然それ以外の要素も重要なのだが)。

ただ、方針が決まっていない施主が上記のような情報を読んだら、どうだろう。
建築家とはこういうもの、工務店とはこういうもの、と鵜呑みにして、パートナー候補からはずしてしまうのではないだろうか。
そもそもそれが狙いで、ライバル業態が客の候補から外れるならそれでいいと思っているかもしれないが、ライバル業態を切り捨てる発言を繰り返していれば、ライバル業態から同じことをされるだけなのだ。結局、自分のところへの風当たりを強める結果になる。
戦場などと同じで、最も攻撃的な部隊はもっとも敵の攻撃にさらされやすいものだ。そういうことに力を入れるより、同じ業態のなかでも自分たちはこういう特色がある、というアピールの方に力を入れたほうがいいと思う。

そして同じ業態の中でもむやみに攻撃的でないほうがいい。非高高住宅をこきおろしている高高住宅のビルダーと、高高住宅をこきおろしている非高高住宅のビルダーなんぞが不毛な戦いをしているのを見ると「自業自得」と思えてしょうがない。同じ注文住宅業界内でそんなことをしているとため息が出る(参考エントリ)。


人をけなさないと自分のところの優位さを表現できないというのは、自分の徳の低さをひけらかしていることでもある。
私はやたらと攻撃的なところは敬遠させていただいた。