寓居人の独言

身の回りのことや日々の出来事の感想そして楽しかった思い出話

ミノタンの日時計

2011年08月22日 07時10分47秒 | 子供のための科学のお話

 幼稚園では、節分の豆まきやおひな祭りの行事がすぎました。幼稚園のお庭は春のお日様が暖かく照っています。
  ミノタンやお友達は、幼稚園が明日からお休みになるので、園長先生のお話を聞くためにお庭に並んでいます。
  「みなさん、明日から幼稚園はお休みになりますが、4月の幼稚園が始まるまで元気でいて下さいね。4月から年長組になるイルカ組の人たちは、お姉さんやお兄さんになるのですから、年少組の子どもたちの見本になるようになりましょう。とくに、給食で食べるものに好き嫌いのある人は何でも美味しく食べられるようになりましょう。それから、年少さんにお話をしてあげられるようになるために、絵本を自分で読めるようになりましょう。そして、お父さんやお母さんのお手伝いもしましょう。それではこれで解散にします」。と園長先生は、子供たちに手を振ってあいさつを終わりました。
 年長組の園児たちは、もう卒園式を済ませていたのでミノタンたちが、4月からは年長組になるのでした。園児たちは、それぞれのお父さんやお母さんと手をつないで、帰っていきました。ミノタンは、コウタンやヒロと何か相談をしています。
  「うちのパパがお彼岸にお墓参りをした後で、何かおもしろいものを作ってくれるんだって。だから一緒に見ない」。とミノタンはコウタンとヒロにいいました。
  「うちのパパやママに聞いて、どこにも行かないっていったら、ミノタンのおうちへ行くよ」。とコウタンとヒロがいいました。
 3人は、パパやママの所へ走っていきました。ミノタンのパパは何を作ってくれるのでしょうか。楽しみですね。
 パパがお休みのお彼岸のお中日(春分の日)に、ミノタンの家族はお寺へ行きご先祖様のお墓参りをしました。お家へ帰ってくると、パパとミノタンはすぐに着替えました。そこへちょうどコウタンとヒロがきました。
 パパは、お庭にシートを敷いて、板と大工道具を持ってきました。
 「さあ、みんなこのシートに上がってみていなさい。これからお日様で時刻がわかる時計を作るんだよ」。
  「へー、お日様で時刻がわかるの」とミノタンがいいました。
 「不思議だね」とコウタンとヒロが同時にいいました。
 「お日様で、今何時かわかったら、とっても便利だね」。とパパがいいました。
  「でもね、不便なこともあるんだよ。まず夜は、お日様がでていないからわからないし、雨が降ったり曇っていたりするとわからないんだよ」
 「どうしてなの」と3人は不思議そうに聞きました。
 「それはね、ほら、君たちの陰がシートの上にできているね。お日様がでている間は、陰ができるけど、お日様が沈んでしまうと陰ができないからわからなくなってしまうんだよ」とパパがいいました。パパはお話ししながら木をノコギリで切ったり、角を削ったり台になる板にコンパスで半円を書いていきました。そして半円を書いた線の上に12等分の印を付け、中心とその点を結ぶ線を引いていきました。
 「これって、パラシュートの絵みたいだね」と、ミノタンがいいました。
 「ほんとだ、僕こういうのをテレビで見たことがあるよ」と、コウタンがいいました。
  その間にも、パパは板にペンキを塗ったり仕上げをしていました。
 「さあ、できたよ」と、パパがいいながらきれいなものを見せてくれました。
 「これが日時計といってお日様の位置で時刻がわかる装置だ」と、パパがいいました。
 子供たちは、「かっこいいね」とか、「きれいだね」といいながら日時計をさわっています。
  出来上がった日時計は、板の上に書いた半円の真ん中と円の中心を結んだ線の上に三角形の別の板が乗っています。
 「これが日時計だよ、この三角の板を南と北に向けて平らな(水平な)所におくと、ほら三角の板の陰が下の板の目盛りの所にくるだろう」といってパパが指を指して説明してくれました。
 「今できている陰の部分に印を付けておくよ」といって、パパは小さなタック紙に時計の時刻を書き日時計の陰の端につけました。そして、また少し難しいお話をしてくれました。
 「今日は、春分の日だね。秋の秋分の日と春の春分の日には、お日様が東の海からでて、西の海に入る昼間の時間と、夜の時間が同じになるんだよ。だから今日のお昼の12時になると、お日様は真南に来る。だからこの三角の板の陰が一番細くなり、この12の所を指すんだ。そして夕方の6時になると、こっちの端に来るんだよ。日本の国は広いから、場所によって少しずれることがあるけどね。ミノタンたち幼稚園の子どもにはやっぱり難しいかな」といってパパはにこにこしていました。ミノタンたちは、日時計が珍しくいつまでもじーっと見ていました。
 ミノタンのままが、「ミノタンおやつですよ。パパも一緒にお菓子を食べなさい。飲み物もどうぞ」といって美味しそうなお団子をお皿にいっぱいのせたものとジュースのビンを持ってきました。お団子を食べジュースを飲んでしばらくして、ミノタンたちは日時計の所へ戻ってきました。すると三角の板の陰がとなりの目盛りの所へ移っていました。
  「わー、陰が動いた。陰が動いた」と子どもたちは大喜びでした。パパとママも楽しそうにその光景を見てにこにこしていました。


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