奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その987)

2019-05-08 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「開高健ベストエッセイ(開高健著/小玉武編・ちくま文庫2018刊)」を読んだ。開高健(かいこうたけし1930~1989)氏は、大阪市大(法学部)卒で、サントリー宣伝部に務めた。芥川賞を受賞し作家となる。小玉武(こだまたけし1938生れ)氏は、早大卒で、サントリー宣伝部の後輩にあたる。1962年の入社で、2年半ほど開高健と同じ職場で働いた。「開高健ベストエッセイ」では、小玉武氏が自分目線で独断と偏見で、開高健のエッセイから選りすぐっているのだ。-----

開高健の代表作である、闇三部作、「輝ける闇(1968)」、「夏の闇(1972)」、「花終る闇(1990)」の三作目は未完であると言い切ってもいる。-----

ベトナム戦争に従軍記者として現地入り(1964〜複数回)し、過酷な経験を元に闇三部作は書かれており、サイゴン陥落(1975)直前の危機的な戦場を体験していることから、フィクション作家でありながら、ノンフィクション作家でもあるという、複雑な深層心理を持っていたので、その後は、釣りや食通の世界を放浪する著作のシリーズが多くなったとのこと。------

もう少し長命であったなら、日本の文明批評なども著してくれたであろうに、早過ぎる他界は残念至極である。それでも、小玉武氏が探り出して下さったベストエッセイを読んでいると、21世紀の今の時代にも当てはまること多々散見されて、開高健は流石に優れた作家であったのだなと思い知らされた。残る朝鮮半島の統一がどのように進行するのか、人間を極限まで掘り下げた開高健のエッセイは大変参考になるだろうと思った。

 

 

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