最近、アメリカ合衆国を訪れる機会があった。為替レートが80円/1ドルと円高なので、さぞ物価が安く感じるのかと思っていたが、それはなかった。実感としては日本の物価とさほど変わりがない。
経済については、シロウトなのだがシロウトなりに考えてみるために、少しばかり物価指数を調べてみた。
まずは、かっての「トルコの経済事情 -炉端老人のコメント-」から一部を引用しよう。
「日本ではバブル崩壊後、デフレーションのために物価の変動は少なかった。そのために民衆は閉塞感に陥っていた。ほぼ20年近くになるかな。
閉塞感のない社会とはどういう社会なのかって。それはね、年率数%の経済成長、それにともない物価の上昇をひきおこすから、貯蓄の利子もそれに見合う利率であり、当然ながら給与も上昇するから、安定成長として民衆の閉塞感はないという社会なのだ。
そこでだ。20年間の安定成長のツケがいきなり襲いかかるとしてもおかしくない。年率数%の物価上昇が20年続いたら元の価格の何倍になるのか、計算すればすぐわかる。仮に年率2%ならば20年で1.5倍、3%ならば約1.9倍だ。20年で物価が2倍程度ならば、まあいいのではないかな。長い間一定だったという閉塞感から、いきなり物価が2倍になるようなインフレーションとなれば衝撃は大きいので避けなければならない。しかし、何かのきっかけから緩やかなインフレーションに突入するかも知れない」。
1980年代終り頃から1990年始め頃、日本ではバブル景気があった。その後国民が実感としてバブル崩壊を実感として持つようになったのは1988年前後頃といわれている。統計をみると、アメリカ合衆国では、この間も一年あたり2%程度の物価上昇率である。2011年には、1988年を100として、物価指数は約140となっている。つまり1.4倍になっている。1988年頃の為替レートは140円/1ドルであったが、最近では80円/1ドルで推移している。アメリカ合衆国において、日本製品を購入するとすれば1988年当時の製品価格指数は今年2011年に175、すなわち1.75倍のとなるから、インフレ率を考慮してもアメリカ人にとっては、日本製は高価な商品と映るに違いない。
今回の旅行中、スーパー・マーケットで家庭用テレビ製品の価格は、日本の店頭から比較するとまことに安い。特に韓国製が安い。
そこで韓国の物価指数を調べると、1988年頃を基準とした今年の物価指数は150程度であるからアメリカ合衆国とさほど変わりがない。アメリカ合衆国と韓国のインフレ率はほとんど差がないことから、韓国製品がアメリカ合衆国で安価に販売されている理由が納得できる。つまり、工業製品の価格は据え置いたまま、為替レートが輸出入国ともほぼ同じインフレ率で推移している。それに対して日本は、工業製品の価格を据え置いたままとしても、為替レートはインフレ率と連動して上昇していないから、輸入国のアメリカ人にとっては日本製品が高価に映ることになる。事実日本製のテレビ・セットは値段が高かった。
日本経済がデフレ状態のまま、周辺諸国、とりわけ台頭している中国が工業製品の価格を据え置いたまま激しく輸出し、中国国内で現在のインフレ率が続くとすれば、対中国の為替レートも円高となり、日本製品はますます中国には売れなくなる。逆に日本では中国製品が安くなるから、日本製品の販売競争力が日本国内でもさらに低下する。
炉端老人が語るように、数%のインフレ率は民衆の閉塞感を解放するばかりではなく、輸出商品の諸外国での購買力増進になる。日本ではバブル景気を抑圧する経済対策のブレーキがききすぎて、デフレ状態が長く続いたために、世界経済流通機構の中でも置き去りにされつつあるのではないか。
以上のような話題を経済の専門家に投げかけると「経済とはそのように簡単に割り切れるものではないよ」と一蹴されるであろう。
炉端老人のコメントのように、何らかのきっかけで、インフレに転じる可能性もある。今回の東北大震災とその影響を受けた福島第一原子力発電所の災害がトリガーになるかも知れないと思っていたが、今のところその気配はみられない。
しかし家人と共に、スーパーの買い物に出かけると、じわりと贈答食品とか、菓子類などの直接食卓に関係ないものの価格が高くなりつつある。
(応)
経済については、シロウトなのだがシロウトなりに考えてみるために、少しばかり物価指数を調べてみた。
まずは、かっての「トルコの経済事情 -炉端老人のコメント-」から一部を引用しよう。
「日本ではバブル崩壊後、デフレーションのために物価の変動は少なかった。そのために民衆は閉塞感に陥っていた。ほぼ20年近くになるかな。
閉塞感のない社会とはどういう社会なのかって。それはね、年率数%の経済成長、それにともない物価の上昇をひきおこすから、貯蓄の利子もそれに見合う利率であり、当然ながら給与も上昇するから、安定成長として民衆の閉塞感はないという社会なのだ。
そこでだ。20年間の安定成長のツケがいきなり襲いかかるとしてもおかしくない。年率数%の物価上昇が20年続いたら元の価格の何倍になるのか、計算すればすぐわかる。仮に年率2%ならば20年で1.5倍、3%ならば約1.9倍だ。20年で物価が2倍程度ならば、まあいいのではないかな。長い間一定だったという閉塞感から、いきなり物価が2倍になるようなインフレーションとなれば衝撃は大きいので避けなければならない。しかし、何かのきっかけから緩やかなインフレーションに突入するかも知れない」。
1980年代終り頃から1990年始め頃、日本ではバブル景気があった。その後国民が実感としてバブル崩壊を実感として持つようになったのは1988年前後頃といわれている。統計をみると、アメリカ合衆国では、この間も一年あたり2%程度の物価上昇率である。2011年には、1988年を100として、物価指数は約140となっている。つまり1.4倍になっている。1988年頃の為替レートは140円/1ドルであったが、最近では80円/1ドルで推移している。アメリカ合衆国において、日本製品を購入するとすれば1988年当時の製品価格指数は今年2011年に175、すなわち1.75倍のとなるから、インフレ率を考慮してもアメリカ人にとっては、日本製は高価な商品と映るに違いない。
今回の旅行中、スーパー・マーケットで家庭用テレビ製品の価格は、日本の店頭から比較するとまことに安い。特に韓国製が安い。
そこで韓国の物価指数を調べると、1988年頃を基準とした今年の物価指数は150程度であるからアメリカ合衆国とさほど変わりがない。アメリカ合衆国と韓国のインフレ率はほとんど差がないことから、韓国製品がアメリカ合衆国で安価に販売されている理由が納得できる。つまり、工業製品の価格は据え置いたまま、為替レートが輸出入国ともほぼ同じインフレ率で推移している。それに対して日本は、工業製品の価格を据え置いたままとしても、為替レートはインフレ率と連動して上昇していないから、輸入国のアメリカ人にとっては日本製品が高価に映ることになる。事実日本製のテレビ・セットは値段が高かった。
日本経済がデフレ状態のまま、周辺諸国、とりわけ台頭している中国が工業製品の価格を据え置いたまま激しく輸出し、中国国内で現在のインフレ率が続くとすれば、対中国の為替レートも円高となり、日本製品はますます中国には売れなくなる。逆に日本では中国製品が安くなるから、日本製品の販売競争力が日本国内でもさらに低下する。
炉端老人が語るように、数%のインフレ率は民衆の閉塞感を解放するばかりではなく、輸出商品の諸外国での購買力増進になる。日本ではバブル景気を抑圧する経済対策のブレーキがききすぎて、デフレ状態が長く続いたために、世界経済流通機構の中でも置き去りにされつつあるのではないか。
以上のような話題を経済の専門家に投げかけると「経済とはそのように簡単に割り切れるものではないよ」と一蹴されるであろう。
炉端老人のコメントのように、何らかのきっかけで、インフレに転じる可能性もある。今回の東北大震災とその影響を受けた福島第一原子力発電所の災害がトリガーになるかも知れないと思っていたが、今のところその気配はみられない。
しかし家人と共に、スーパーの買い物に出かけると、じわりと贈答食品とか、菓子類などの直接食卓に関係ないものの価格が高くなりつつある。
(応)