電力の周波数全国統一に向けて署名運動を開始していることが、この炉端での話題にコメントとしていただいた。
大変結構なことであり、大いに進めて頂きたいところである。
しかしながら電力の周波数全国統一は、署名運動だけでは難しいとも思われる。
他に寄せられたコメントにもあるように、大きな政治的な動きがなければ実現しないことも確かである。その意味では署名運動としての意義は認められる。
政治家が動くことは多分ないと想像する。いまの政治家は党利党略しか目前になく、さらには選挙基盤の選挙民の支持を得るための事業には関心があるにしても、日本の将来あるべき姿についての確たる政策は持っていないように見受けられる。
当然ながら、電力の周波数統一などは、党利党略には関係なく、地盤選挙民の利益にもつながらないから、署名運動の結果を提示すれば「わかりました。善処すべく所轄官庁に指示して前向きに検討させて頂きます」といいながら鄭重に受け取り、何も起こらないのではなかろうか。所轄官庁は電力周波数統一の効果はよくわからないし、そのための業務をさばくには、公務員削減もあり人的な余裕もない。
決して署名運動に水をさすわけではない。その点は誤解しないでいただきたい。
さてそれでは、いかに対処して電力周波数の全国統一を進めればよいだろうか。
電力周波数統一のことを折りにふれ識者に問いかけると、賛成意見はあるものの難しいという返事が返ってくる。この炉端での話題に頂いた貴重なコメントもその例である。正直なところ、筆者も周波数統一すればよいことはわかるが、「それではいかなる経済効果があり、将来どのように有益なのか」と問われたら返答に窮する。
政治家を説得するためには、日本にとって電力の周波数統一がどのような国益をもたらすかを提示しなければならない。具体的に国益を示すことは大変難しいとおもわれるが、署名運動と同時に、課題として解決しなければならない別の意味での運動がある。
まずは電力周波数を統一する場合の問題点を明らかにする必要がある。
電力消費者側では誘導電動機を主として用いる企業がある。どのくらい周波数に依存した誘導電動機があるのか、草の根を分けるようにして調査しなければならない。ちなみに我が家では旧式のエアコンは、50ヘルツでしか使えないことを確認している。冷蔵庫とか洗濯機は古い機械が故障して買い換えているので表示を確かめると問題はない。
各家庭とか中小企業さらには大企業体、官庁にまで及ぶような草の根を分ける調査は所轄官庁ではできないであろう。
あえて提言するならば、ボランティア活動による調査を行うことである。電力機器には表示があるからそれほど専門的知識は必要ない。
大きな負担がかかるのは、電力供給企業体である。
まずは発電機であるが、50ヘルツから60ヘルツにするために発電機の回転速度を上げなければならない。日本の西半分ではすでに60ヘルツの発電機があるから本質的な問題はないとおもわれるが、筆者は発電機に関する専門家ではないので、単に回転数を変更するだけでいいかどうかはわからない。
いえることとしては、発電機を新しくする場合は、50ヘルツ地域の発電機は60ヘルツにも変更できるようにしておくことであろう。もしこの処置が必要であれば、電力周波数統一には、数十年の単位の時間がかかることになろう。
電力の電圧を変換するトランスも交換しなければならないかもしれない。筆者のささやかな知識では、日本のトランスは世界の中で最も優れた鉄による製品を用いており、極めて損失が少ないと聞いている。電柱に取り付けられたような小型のトランスは多分そのまま使えるかも知れないが変電所の大型トランスについては専門家の調査が必要であろう。
寄せられたコメントには送電線にも周波数変更の場合は課題があると指摘を受けている。これも市街地などの低圧送電系統では、問題がないと思われるが、50万-100万ボルトの超高圧送電線については、これまた専門家の調査によらなければならない。
このように電力供給側の課題は専門的な知識を持った方々の調査によらなければ、周波数変更にあたり必要な経費の見積もりとか、期間の算定はできない。
所轄行政がわずかな人員を使って、このような評価を行い得るであろうか。
さらに困難な課題は、周波数を統一した場合の経済的な効果である。
筆者はこれまで全国統一することで災害時に電力の支援融通が大規模に実施できることから、地域に限定した緊急停電を避けられることを述べてきた。これは災害対策であって経済効果を生み出すわけではない。
政治家は、1000年に一度起こるような災害のために、どうして電力系統の全国統一が必要なのかと、「一定の期間たって」ほとぼりが冷却したら、必ずや口にするであろう。またもや「事業仕分け」の対象となるかもしれない。
いかなる経済効果があるかということを具体的に示さなければならない。これまた筆者のささやかな知識によると、周波数が上がることで回転電動機は時間あたりの回転数があがりトルクが大きくなるから、あるいは効率がよくなるかも知れないと思っている。本当にそうなのかと問われれば返答に窮する。
電力周波数が上がれば効果的なことが他にもあるかも知れない。このことは次世代を担う若き学徒諸君の研究課題であろう。
かってこの炉端での話題で述べたことを再び引用する。元東京電機大学学長の当麻善弘東京工業大学名誉教授は、「人類の科学的知識と技術の進歩は、その発端が異なっていれば別の展開があったかもしれない」という趣旨のことをいわれた。この言葉は頭の片隅に残っている。
科学の進歩は、枝分かれしながら展開している。その枝分かれには、必ずしも好ましく行われていないこともあろう。そのことを明らかにして未来に繋ぐことも重要な研究分野である。聞くところによると大学では電気工学の中で電力関係の研究は、新規性がないことから敬遠されているらしい。筆者は日本の電力系統を統一することでいかなる効果があるのか、工学的な側面から研究することは、日本の国益に寄与する素晴らしい成果をもたらすと信じて疑わない。
その成果が政治家を動かす可能性は、1000万人の署名運動に勝るとも劣らないであろう。
(応)
大変結構なことであり、大いに進めて頂きたいところである。
しかしながら電力の周波数全国統一は、署名運動だけでは難しいとも思われる。
他に寄せられたコメントにもあるように、大きな政治的な動きがなければ実現しないことも確かである。その意味では署名運動としての意義は認められる。
政治家が動くことは多分ないと想像する。いまの政治家は党利党略しか目前になく、さらには選挙基盤の選挙民の支持を得るための事業には関心があるにしても、日本の将来あるべき姿についての確たる政策は持っていないように見受けられる。
当然ながら、電力の周波数統一などは、党利党略には関係なく、地盤選挙民の利益にもつながらないから、署名運動の結果を提示すれば「わかりました。善処すべく所轄官庁に指示して前向きに検討させて頂きます」といいながら鄭重に受け取り、何も起こらないのではなかろうか。所轄官庁は電力周波数統一の効果はよくわからないし、そのための業務をさばくには、公務員削減もあり人的な余裕もない。
決して署名運動に水をさすわけではない。その点は誤解しないでいただきたい。
さてそれでは、いかに対処して電力周波数の全国統一を進めればよいだろうか。
電力周波数統一のことを折りにふれ識者に問いかけると、賛成意見はあるものの難しいという返事が返ってくる。この炉端での話題に頂いた貴重なコメントもその例である。正直なところ、筆者も周波数統一すればよいことはわかるが、「それではいかなる経済効果があり、将来どのように有益なのか」と問われたら返答に窮する。
政治家を説得するためには、日本にとって電力の周波数統一がどのような国益をもたらすかを提示しなければならない。具体的に国益を示すことは大変難しいとおもわれるが、署名運動と同時に、課題として解決しなければならない別の意味での運動がある。
まずは電力周波数を統一する場合の問題点を明らかにする必要がある。
電力消費者側では誘導電動機を主として用いる企業がある。どのくらい周波数に依存した誘導電動機があるのか、草の根を分けるようにして調査しなければならない。ちなみに我が家では旧式のエアコンは、50ヘルツでしか使えないことを確認している。冷蔵庫とか洗濯機は古い機械が故障して買い換えているので表示を確かめると問題はない。
各家庭とか中小企業さらには大企業体、官庁にまで及ぶような草の根を分ける調査は所轄官庁ではできないであろう。
あえて提言するならば、ボランティア活動による調査を行うことである。電力機器には表示があるからそれほど専門的知識は必要ない。
大きな負担がかかるのは、電力供給企業体である。
まずは発電機であるが、50ヘルツから60ヘルツにするために発電機の回転速度を上げなければならない。日本の西半分ではすでに60ヘルツの発電機があるから本質的な問題はないとおもわれるが、筆者は発電機に関する専門家ではないので、単に回転数を変更するだけでいいかどうかはわからない。
いえることとしては、発電機を新しくする場合は、50ヘルツ地域の発電機は60ヘルツにも変更できるようにしておくことであろう。もしこの処置が必要であれば、電力周波数統一には、数十年の単位の時間がかかることになろう。
電力の電圧を変換するトランスも交換しなければならないかもしれない。筆者のささやかな知識では、日本のトランスは世界の中で最も優れた鉄による製品を用いており、極めて損失が少ないと聞いている。電柱に取り付けられたような小型のトランスは多分そのまま使えるかも知れないが変電所の大型トランスについては専門家の調査が必要であろう。
寄せられたコメントには送電線にも周波数変更の場合は課題があると指摘を受けている。これも市街地などの低圧送電系統では、問題がないと思われるが、50万-100万ボルトの超高圧送電線については、これまた専門家の調査によらなければならない。
このように電力供給側の課題は専門的な知識を持った方々の調査によらなければ、周波数変更にあたり必要な経費の見積もりとか、期間の算定はできない。
所轄行政がわずかな人員を使って、このような評価を行い得るであろうか。
さらに困難な課題は、周波数を統一した場合の経済的な効果である。
筆者はこれまで全国統一することで災害時に電力の支援融通が大規模に実施できることから、地域に限定した緊急停電を避けられることを述べてきた。これは災害対策であって経済効果を生み出すわけではない。
政治家は、1000年に一度起こるような災害のために、どうして電力系統の全国統一が必要なのかと、「一定の期間たって」ほとぼりが冷却したら、必ずや口にするであろう。またもや「事業仕分け」の対象となるかもしれない。
いかなる経済効果があるかということを具体的に示さなければならない。これまた筆者のささやかな知識によると、周波数が上がることで回転電動機は時間あたりの回転数があがりトルクが大きくなるから、あるいは効率がよくなるかも知れないと思っている。本当にそうなのかと問われれば返答に窮する。
電力周波数が上がれば効果的なことが他にもあるかも知れない。このことは次世代を担う若き学徒諸君の研究課題であろう。
かってこの炉端での話題で述べたことを再び引用する。元東京電機大学学長の当麻善弘東京工業大学名誉教授は、「人類の科学的知識と技術の進歩は、その発端が異なっていれば別の展開があったかもしれない」という趣旨のことをいわれた。この言葉は頭の片隅に残っている。
科学の進歩は、枝分かれしながら展開している。その枝分かれには、必ずしも好ましく行われていないこともあろう。そのことを明らかにして未来に繋ぐことも重要な研究分野である。聞くところによると大学では電気工学の中で電力関係の研究は、新規性がないことから敬遠されているらしい。筆者は日本の電力系統を統一することでいかなる効果があるのか、工学的な側面から研究することは、日本の国益に寄与する素晴らしい成果をもたらすと信じて疑わない。
その成果が政治家を動かす可能性は、1000万人の署名運動に勝るとも劣らないであろう。
(応)