劇場と映画、ときどき音楽と本

オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

小澤塾の「コジ・ファン・トゥッテ」

2024-03-24 11:15:03 | オペラ
3月23日(土)の午後に、東京文化会館で小澤征爾音楽塾の「コジ・ファン・トゥッテ」を見る。故小澤征爾が始めた若手のオケと一流歌手との共創によるオペラ。今回が20回目となる。15時に始まって、1幕90分、25分の休憩、2幕90分の公演。今回はオペラ開始前に、オーケストラだけでモーツアルトの喜遊曲の一部が献奏されたこともあり、終演は少し遅れて、6時45分頃だった。観客はオペラにしては若い人が多く、活気に満ちており、9割近く入っていた。小澤征爾が亡くなったので、今後どうなるのだろうと思っていたが、来年は「椿姫」上演とのチラシが入っていた。

ディエゴ・マテウスの指揮による若手のオケは水準が高く、全編にわたり素晴らしい演奏を聴かせた。マテウスの指揮は結構テンポが速めだが、強弱のメリハリが明確な聞きやすい演奏だった。歌手は世界中で活躍する中堅が集まった感じだが、歌唱水準が高いので聞きごたえがある。歌唱の水準、オケの水準から考えると、日本の歌劇団の公演よりも水準は高いと思う。

歌手陣の中ではソプラノのサマンサ・クラークが一番印象的で、安定した歌唱を聴かせた。また、女中役のバルバラ・フリットリもしっかりとした歌唱だった。男性陣も良かったが、テノールで予定されたルネ・バルベラが来日せず、代役で歌ったピエトロ・アダイーニは、声は美しかったが、不安定な部分もあり、テノールは本当に難しいなあと感じた。

演出はデイヴィッド・ニースで、オーソドックスに演出してドラマの面白さをよく出した。ダ・ポンテの台本だが、本当に面白くうまく書いている印象で、古典劇の三単一の原則に従って見事な台本を書いている。モーツアルトの音楽も軽快で、本当に面白い作品だと思った。

とても満足して、帰りがけにいつものスペインバルで軽い食事。トルティージャ、ハモン・セーラノ、ポテトサラダ、エビのアヒージョ、塩だらのフライなど。