若き日のオードリー・ヘプバーンとシャーリー・マクレーンが共演した、
映画「噂の二人」(原題The Children's Time 1961年公開)を
初めて見ました。
まだモノクロで、
ヘプバーンの初期の作品のようです。
華やかな響きのその邦題と、
「オードリー・ヘプバーン主演映画」という印象からは、
まったく想像できない、
えらく、シリアスで、不条理で、地味で、
こまかな心理描写があり、
誰もが陥りがちな、この社会で生きることの危うさを描いた、
正真正銘の悲劇!
寄宿学校を営む女教師二人が、
子どものついた嘘をきっかけに、
あらぬ疑いをかけられ、
結局、最後には、
あらゆるものを失ってしまうというストーリー・・
重く、苦しい展開の、
そのラストシーン、
これほど悲惨なことが重なったのに、
驚くことに、
主人公の女教師(ヘプバーン)が、
なんとも、清々しく、毅然としているのです。
仕事、住む場所、恋、人間関係、友情、・・といった、
人生で大切なものが、
ひとつひとつ、手のひらからこぼれていって、
本当に、これで、
何もかも、残っていないとき、
つまり、
この世に生きる自分の自分らしさが、アイデンティティが、
何ひとつ、なくなったとき、
ひとは、こんなにも、潔く、さっぱりと、
美しいものかと、はっとさせられました
あの表情を撮りたくて、
監督はこの映画を創ったんだなあ。。
おしゃれに恋する妖精のイメージとは、
まったく違った演技派なヘプバーンは、ちょっと、いえかなり、新鮮でした