「崖から空に向かって駆け上がるつもりで、思いっきり走って下さい。」
ネパールの山岳地帯で
何度も飛んでるという、
パイロットさんが言った。
それがテイクオフのコツらしい。
「少し、怖いかもしれないけど。」と付け足され、
ギクッとするも、
心の準備をする間もなく、
「はーい、行きましょう」と促され、
走り出し、
崖のふちまで行かぬうち、
からだがふわっと持ち上げられ、
この上なくスムーズに
タンデム飛行開始!
おお、
上空300mの空間地点に、
風を受けて、
生身ひとつで浮かんでる感覚…
「鳥だ~。」と何度もつぶやいた。
誰かが、レビューで、
「ものすごく怖かった!」
なんて書いてたけど、
そうかな?
まったく怖くないよ!
だって落ちる気配はみじんもない。
浮いてるし、流れてる。
重力より、浮力のほうが、
はるかにまさってる。
あーでも、思うに、
狭いところ大好き!って人には、
このオープンエアは、耐えられないかも。
後ろのパイロットさんが、
「今日は気流が安定してますよ。」って言うから驚いちゃった。
快晴ながら、
かなりの冷たい強風で、
気流がびりびり鳴ってたから。
でも、その激しさとはうらはらに、
ゆらり、ふわりと、
何だか優雅なんだよね。
何故かというと、
文字通り、
目の前に、富士山があるから、なのだ!
このまま飛んで行ったら、
あの山頂に降り立てるのでは?と思うくらい、
すぐそこにあるやに見えたよ。
(実際は、20km位あるらしい、です。)
勇気の初飛行を見守られるには、
最高に心強い存在だよ、あなたは!
モンサンミシェルを想わせる雄姿。
「はあー」とか、「ふぅー」とか、
何だか声にならないため息ばかり。
温泉に入っているときみたい。
脱力して、体感する。
四方八方360度を見回すと、
点在するたくさんの翼たち、
眼下に丘の紅葉、
カラフルなことったら!
パイロットさんが、
クイクイッと、
人形師のように翼をあやつって、
巧みに上昇したかと思うと、
滑るように下降して、
前を向き、後ろを向く。
その間、私は、
広大無辺な空間をまるごと味わってた。
相棒が飛んでるのとすれ違う。
前から見ると、
柵もガードもなく空中に座っているように見えるから、
とてつもなく無防備!
「安心してください、つながってますよ」ってやつね。
あっという間に、
10分のフライトを終え、
さっき、車を置いた、
近くの草原にランディングした。
「戻ってきたよー」
しばらく、大地にしゃがみ込んで、
地上モードに切り替える。
ほんの少しの時間だったけど、
体外離脱にも似た、スピリット感覚を味わって、
さあ、
またこの地上で、生きてかなきゃ、ってね。
興奮しながら、
車に戻ったんだけど、
私、まだグラウンディングに時間がかかってて、
あらららー。
急に、子宮痛に襲われた。
キリキリ差し込んできて、すごく痛かったから、
ウンウン、唸ってたの。
治まるまでに、2、3分、かかったかな。
…もしかしたら、これは、
何かが、私に、宿ったかも(笑)
とにもかくにも、
からだを運ぶ手段として、
“風になる”もイケるよ~って知った、
パラグライダー体験なのでした、
いや、すごかった
Things will be only better