もう長いこと、
どうしても拭い切れない
<考え>があるの。
「私の知らないどこかで
私の知らない誰かが
私のことを
ずっと想ってくれている。」
学生時代ね、
思いもかけない人から
告白されたことが
一度ならずあってさ、
その経験から
そう思い始めたのだと思うんだけど。
それから
何年も何年も過ぎて
告白されなくなって久しくても
その感覚だけは消えなかった。
「私はいつも
誰かに熱く想われている。」
どこかでいつも、
そう思ってる・・・
笑っちゃう、
このおめでたさ!
でもね、
あるとき、直感した。
その感覚は正しいよ。
思い上がりでも
滑稽な妄想でもなく、
私の知らないずっと遠くで、
今この瞬間も
私を想ってくれている、
その存在は確かにいる、と。
その人は、
たぶん
一生告白してこないし、
姿も現さないだろうけど、
私が、形を変えるときに
必ず会える。
そのとき正体が分かる。
ああ、やっぱり。
あなただったのか。
私はそのとき、
愚かではるかな、
長い道を
懐かしく抱きしめながら、
私たちは、
互いに半分、
二人でひとつの完全形なんだ、
と知るんだ
月の祈り人 つばきりよ