『ミトン』と『チェブラーシカ』 ~ロマン・カチャーノフの世界

2007-02-16 00:30:00 | 映画&ドラマ



 おすすめDVD、第2回はストップ・アニメーション(少しずつポーズを変えながらひとコマずつ撮影する根気と情熱が必要とされる手法)の巨匠ロマン・カチャーノフ監督が1967年に発表した短編『ミトン』です。 まだ東西冷戦たけなわだった頃、ソ連からこんな素敵な作品が生まれていたなんて・・・

 『ミトン』を観にいったのは、確か2004年2月28日。場所は渋谷のユーロスペース(現在はシアターN)。『チェブラーシカ』のロマン・カチャーノフ監督の作品ということで、いそいそと出かけました。普段と違って子供連れが多く、特に幼い女の子を連れたお母さんの姿が目立ちました。『ミトン』の上映時間はたったの10分。そこで他に2本、『ママ』(72)と『レター』(70)が上映されました。
 全部足してもわずか30分のカチャーノフ映画祭でしたが、『ミトン』は映画の奇跡でした。中でも、魔法の解けたあとがたまらなく好きです。手袋にミルクをあげ、いたわるようにその背を撫でる少女。涙の海に沈没しながら、この子を思い切り抱きしめてあげたい衝動にかられました。(フィルムには写っていませんが)おそらく映画の終了後に、この子のおかあさんが彼女を優しく抱きしめたように・・・





 『ミトン』は台詞のないサイレント映画です。サイレント映画の美点は万国共通性だと思います。言い換えれば、台詞に頼らず「絵」で見せるのがことができるのが映画の強みといえるでしょう。必要最小限のト書きは、その国の言葉で書けばいいわけだし。サイレント映画『ミトン』は、画面に出てくる看板などのロシア語が読めなくても、世界中の人の心に直接響きます。脚本を書いたジャンナ・ジー・ヴィッテソンは『ミトン』について、こう語っています。

「ある時、わたしは庭で小さな女の子に出会いました。女の子は一人ぼっちで立っていました。そしてみんなで楽しく遊ぶ子供たちのほうを、さびしそうに見ていました。そうして『ミトン(てぶくろ)』という作品が生まれました・・・わたしの願いは、わたしの物語を読んだり、その映画を見たりした人が、ほんのちょっとやさしくなり、まわりにほんのちょっと気をつかうようになり、ほかの人を手助けしたり、喜ばせたりする気持ちをもつようになることです」



 ロマン・カチャーノフの名を一躍有名にしたのが、『チェブラーシカ』。2001年、同じくユーロスペースで公開されました。クマなのかサルなのかネコなのかタヌキなのか、よくわかりませんが、可愛いチェブラーシカの物語に夢中になりました。特に、わにのゲーナが好きです。DVDには、劇場公開された『こんにちは、チェブラーシカ』(69)『ピオネールに入りたい』(71)『チェブラーシカと怪盗おばさん』(74)の3本に、DVDだけの特典『チェブラーシカ学校へ行く』(83)が収録されています。現在『チェブラーシカ』のDVDは店頭在庫のみで入手困難らしいのですが、もしも見つけたら是非!




こちらも素敵な絵本の『ミトン』と・・・


 長女マリアムさんの短大進学(留学)を認めてもらうために、アミネ・カリルさん一家はマリアムさんを除いた三人でイランに帰国することになりました。カリルさんが一日も早く生活の基盤を築かれることを願ってやみませんが、ほんとにこれでいいのでしょうか? 「不法残留を反省し、早く自主的に出国することが確認されれば、長女の留学にはできるだけの配慮をしたい」と述べる長勢法務大臣。一番反省が必要なのは、君たち政治家じゃないの? 私腹を肥やす以外に人のためになることをしたことあるの? 不法滞在の是非はともかく、弱者に対する強者の典型的な発言に虫唾が走ります! 


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