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だんだん ~大丈夫か、つばさ?

2009-03-28 15:00:00 | 連続テレビ小説


 結局、出かけるでもなく、何をするわけでもなく、時間が過ぎてしまったわけ・・・お昼を食べ終わったのが12時45分。テレビから流れてきた主題歌で思い出したんだけど、来週から連続テレビ小説『つばさ』が始まる。最終回終了後、余韻に浸る間もなく割りこんでくる次回作の予告編(かなり評判悪いと思うのだが、そういえば、『純情きらり』の最終回の、あまりの重苦しさを救ってくれたのが『芋たこなんきん』の予告編だった。「朝ドラ」で盛り上がっていたあの頃が懐かしい~)を見ようと思い、『だんだん』の最終回を見始めた。
 このドラマは、ワーストワンと酷評された『瞳』よりも見ていない。(『瞳』と違って高視聴率だった『どんと晴れ』も全く受けつけなかったけど)。たまたま流れで見ていても、ただの一度も15分間「完走」することができなかった。今日も、何度かリタイアしかけたが、そのたびに「予告編があるのだから・・・」と自分に言い聞かせ、鼻をほじるなどして気を紛らすニワトリだった。その甲斐あって、初めて「完走」できました。やったね、だんだん。おまけに「だんだん」の意味も初めてわかったよ~。『つばさ』よ、だんだん!

 ところでその『つばさ』だけど、わずか十数秒の予告編とはいえ、あっけにとられたというか、「これで大丈夫なんだろうか?」と思ってしまいました。テンションの高さに、不安と戸惑いを隠せません。父(西田敏行)と娘(飯島直子)が互いをなじりながら手足振り乱して取っ組み合いの喧嘩を演じ、切れた孫(ヒロイン)が「しゃら~ぷす!」と叫んでいた(悪夢を見ているようにも感じた)『瞳』の初回が頭をよぎりました。ほんとに大丈夫かいな? 
 ヒロインの演技力(感情を露わにすることが演技ではない。「棒」の役者にも困るけど、オーバーアクションは「棒」より酷いかも?)には確かなものを感じているので(何といっても、イトちゃんですから)、舞台となる川越の町に相応しいドラマになってくれることを期待します~♪
 そうそう、明日はその「川越」でも訪ねてみようかな?

 『つばさ』の公式HPは、 → ここをクリック (いよいよ不安になったりして・・・)
 『だんだん』の完全版DVDが出るんだって! なぜ『芋たこなんきん』は出ないんだろう? 極上のホームドラマでもあるのに・・・(全話録画してあるからいいけどさ)。それから全然話は変わるけど、NHKは鈴木菜穂子アナウンサーを大々的に売り出そうとしているのかな?


イトちゃんが・・・ ~来春の朝ドラ『つばさ』のヒロインに!

2008-07-31 23:59:10 | 連続テレビ小説


 すでにご存じの方も多いと思いますが、来春の連続テレビ小説『つばさ』のヒロインに、「マイ鹿です」のイトちゃん(=多部未華子さん19才)が選ばれました。NHKによれば、ヒロインは自分の夢を追って勝手に家を飛び出した母親の代わりに10年間家事と家業(和菓子屋)を努めた「二十歳のおかん」で、家を出た母親が「もう一度主婦をやる。店も継ぐ」と、(どのツラさげて)戻ってきたことから自分の居場所がなくなってしまい、地元のコミュニティーラジオ局で働き始める・・・物語だそうです。

 わずか10才で一家の主婦と弟の母親と店の後継ぎの三役をこなし、二十歳にして老成してしまったヒロインといえば、表面上はクールだけど熱い心を秘めていた『鹿男あをによし』のイトちゃんと少し似ています。
 ここまでは普通のキャラとも言えるけれど、『鹿男あをによし』の「鹿の使い番に指名された女子高校生」という役柄は、「どんな役なの?」と尋ねられたときに、「鹿の使い番に選ばれるんだけど、サンカクをネズミの運び番に奪われてしまい、儀式ができなくなくなったために鹿に印をつけられ、鹿女にされてしまう役」と答えたところで「何それ?」と言われてしまう難役でしたが、言葉にならない部分をうまく演じて徐々に存在感を高めてゆき、クライマックスに用意された奈良駅ホーム(撮影は天理駅。原作では京都駅)のシーンで爆発、一躍物語の主役に踊り出た彼女のことだから、演技に関しては折り紙つき! 
 個人的には、『ファイト』の本仮屋ユイカさんのように「地味な芝居」ができる方だと思うので、歴代朝ドラ・ヒロインと比べても頭ひとつ抜けた演技を見せてくれるのではないかと、今から非常に楽しみです。

 そして、若年寄のようなヒロイン(当初)とは対照的に、夢を追い続け自由奔放に生きてきた(大人になれない)ヒロインの母親を、どなたが演じるのでしょう?
 ある意味では、こちらのキャラクターの方が歴代朝ドラのヒロイン像に近く、その意味で『つばさ』のヒロインはダブルキャストと言ってもいいかもしれません。
 個人的には、現在放送中のドラマのようなキャスティングは絶対におことわりなのですが、こちらの方は発表を待つことに致しましょう。
 そうそう、川越&長瀞という非常に魅力的な町が舞台になっているのも嬉しいですね。比較的近いのでロケ地巡りも気楽にできそう! もっとも、ドラマの内容次第では、今の「月島&築地」、かつての「盛岡」「吉祥寺&仙台」「明日香」みたいにPRにならないばかりか、マイナス作用を及ぼす場合もありますが・・・。

 『天花』を超えた『瞳』だけど、ダンス指導をされた牧野アンナさんのおかげで、ヒップホップに対する偏見はなくなりました。牧野さんの人生がそのまま朝ドラになりそうな気がします。新たに脚本書いて朝ドラにしてもらいたいくらい!


『きらり』再び・・・

2008-06-09 23:55:55 | 連続テレビ小説


  mamemo さんが書かれた記事を読んで、「うんうん、そうなんだよね~」と、大いにうなずいてしまいました。今、私の中でも『純情きらり』が復活しています。
 『オトコマエ!』&『篤姫』と、番組は違うけれど同じNHKのドラマで頑張っている二人。土曜日の『オトコマエ!』から日曜日の『篤姫』へとバトンタッチされるのですが、これが何というか「土日の連弾」と呼びたい感じなんだなあ~。思えば、この季節でしたっけ。「初めての連弾」の週は・・・
 あおいさんの篤姫は堂々としたもので、非常に好感の持てるキャラクターになってきましたし、福士さんの藤堂逸馬は少し単細胞だけど、彼が演じているだけで好感度を増す不思議な魅力を持っています(人物としては、ちょっと屈折した信三郎の方が好きなんだけどね)。
 片や「大河」、片や「土曜時代劇」と、スケール(予算と長さ)の違いはあるのですが、二つのドラマがまるで「連弾」のように思えるのは、二人が『純情きらり』の頃と全く変わっていない「溌剌とした演技」を見せてくれているからではないかと思います。
 福士さんは驕ることなく堅実にキャリアを重ねてきていますが、いつ見ても爽やかで新鮮な魅力に溢れている。あおいさんはあの若さでもうベテランの域に達していて、ともすれば飽きられてしまうのに、新鮮な魅力を保ち続けている。そんな二人を見ていると、あの頃がとても懐かしい、というか、とても愉快な気持ちになります。

 (自分の中では)『ちりとてちん』が急速に過去のものになってしまったのに、最後は悪口だらけになってしまった『純情きらり』が、やっぱり今もかなり大きなウエイトを占めていることに思い当たり、同好の士(KEIKOさんも、同じことをおっしゃっていましたね!)がいたことを喜んでいる次第です。
 『純きら』の魅力に関しては、 mamemo さんの文章に付け加えることはありませんが、お二人が今のまま、いつでも夜空に「純情」キラリと輝く星(俳優)になってくれたら最高です。再放送してくれたら、(今度は冷静に)ハマるだろうな~♪
 ちなみに冒頭の薔薇は、京成バラ園が1987年に開発した「連弾」という名の品種です。即座に『きらり』を思い浮かべました。花つきが良く、枝によっては15輪以上の花を咲かせます。一重の花が愛らしい!


 こちらは、日を浴びながら黄色から紅色へと花色を変えてゆく「チャールストン」(フランス1963年)という品種。枯れても魅力的な薔薇で、枝ぶりも見事。そして、「チャールストン」といえばダンス。ダンスといえば「今宵、君と踊ろう!」。マロニエ荘で過ごした日々が懐かしい~♪ BGMは『陽の当たる街角』でもいいのですが、「チャールストン」を踊るなら、アップテンポな『セントルイス・ブルース』かな?

 二人に関して書いた記事(『のだめ~』の黒木君は除く)を『純情きらり』のカテゴリーに差しかえました・・・


LOVE JUNXS ~牧野アンナさんと朝ドラ『瞳』

2008-05-22 23:58:00 | 連続テレビ小説


 最近は時間も合わなくてご無沙汰している朝ドラ『瞳』だけど、スタッフの一人として(ダンス指導)参加している牧野アンナさんには、代々木にあるオリンピックセンターで毎週お目にかかっています。ここで彼女は、ダウン症の子供たち(大人の方もおられます)にヒップホップダンスを教えています。
(GWに放送された特番の中で、レッスンの様子が紹介されたそうですね)
 
 最近のレッスンでは、彼女がチーフインストラクターを務める「LOVE JUNXS」の発表会『 LOVE JUNXS LIVE  BREAK THE WALL 6 』が来週(6月1日)に迫ってきていることもあって、かなりハードにリハーサルを重ねています。私が一緒に通っている「LOVEJUNXS」のレッスン生は、「ステップアップ」というクラスに所属していますが、ライブでは「あんな・チーム」「なみお・チーム」「みちこ・チーム」「まりりん・チーム」の4つのパートに分かれて、パフォーマンスを演じます。
 映画『合唱ができるまで』もそうでしたが、バラバラだったものが一つにまとまるまでの過程ほど見ていて面白く、なおかつ感動させられるものはありません。インストラクターの先生方(といっても、それこそ『瞳』に出てくる若者たちです)は、各パートに合った振り付けや決めのポーズを考えるのですが、これが試行錯誤の繰り返しで、毎週少しずつ内容が変わっていきました。本番が近づいているのに「振り付けが変わりました~」なんて言われて、「ダウン症の子供たちがついていけるのだろうか?」と、思ってしまいましたが、これが大間違いで、以前の振り付けよりも格段に良くなっていきます。「障害があるのだから、そこそこでいい」といった気持ちは、インストラクターには微塵もなく、より良いものを皆で作り上げるんだ、という純粋な気持ちだけでやっていることがわかりました。私が勝手に健常者と障害者という、ありもしない垣根を作っていたのです。
 先週の土曜日、この日最後の通し練習を終えた瞬間のアンナ先生と生徒たちの笑顔はとても印象的でした。言葉にすると陳腐ですが、誰もが「できたよ!」という喜びを全身で表していました。見学している自分も、彼らと一緒に笑い、喜び、ガッツポーズを繰り出し、手を叩きました。
 今週末は、いよいよ仕上げの日になります。もう一歩のところまで来ており、レッスンの最後に彼らがどんな素敵な顔を見せてくれるか、今から実に楽しみです。残念ながら、私は本番の舞台を見ることができないのですが、映画『合唱ができるまで』でも、合唱団が舞台に登場するシーンでエンドロールになりました。「ダンスができるまで」の過程を見られたことの方が貴重な体験に違いありません。

 この仕事にそれこそ「情熱大陸」している牧野アンナさんは、大変なサラブレッドでもあります。曽祖父は日本映画の父=牧野省三。祖父は溝口&小津&黒澤より高く評価されている映画監督のマキノ雅弘(200本以上の映画を撮った)。祖母は大女優の轟夕起子。父は沖縄アクターズスクール校長のマキノ正幸、映画監督のマキノ光雄、俳優の長門裕之&津川雅彦兄弟も親族です。ここまで来ると、憧れを通りこして圧倒されてしまいますね~。
 彼女自身も小さい頃から父の元でレッスンに明け暮れ、アクターズスクールのインストラクターとして、安室奈美恵、MAX、SPEEDなど多くのアイドルを送り出してきました。朝ドラ『瞳』に出演している田野アサミ(由香)&満島ひかり(純子)も、実は彼女の教え子で、「スクールに通っていた頃は小学生だった二人と、こんな形で仕事ができて嬉しい」と、レッスン中もかなり盛り上がっているとか・・・ちなみにヒロインは、去年の9月からクランクインした11月まで、週3回のペースでアンナさんのレッスンを受けたそうです。
 こうした情報はこの記事を書くにあたって後から仕入れたものですが、目の前で楽しそうに子供たちとダンスを踊っているアンナ先生がそんなすごい人だったなんて・・・レッスン生は皆、アンナ先生を始めインストラクターの方が大好きですが、私も大好きになりました。
 そんなわけで、少し親近感の湧いてきた朝ドラ『瞳』ですが、とりわけ不評の脚本家は朝ドラ『あすか』の脚本を書いた人だったんですね。「何でその人がこんな脚本を~」という声もありますが、私は「何だ、じゃあ仕方がない」と、脚本に関してはもうあきらめました(明日香と和菓子という素晴らしい素材を少しも魅力的に描いてくれませんでした)。でも出演者の皆さん、脚本なんて「パーツ」に過ぎないのだから、頑張ってくださいね~♪

「LOVE JUNXS」の公式HPは、 → ここをクリック


朝ドラ『瞳』について

2008-04-23 23:55:50 | 連続テレビ小説


 『ちりとてちん』の後に始まった朝ドラ『瞳』が、かなり苦戦しているようです。『ちりとてちん』は朝ドラ史上ワースト視聴率だったそうですが、その前の『どんど晴れ』(だっけ? 題名忘れた)は高視聴率を記録したらしく、視聴者が朝ドラを見なくなったというわけでもなさそう。『ちりとてちん』のファンは憤っていますが、ドラマ終了後もスピンオフ番組や落語関係の番組で盛り上がっているのだから、かなり溜飲を下げただろうし、個人的に一番買っている『芋たこなんきん』だって、限りなくワーストに近い低視聴率だったのだから・・・まあ、この手の数字は気にしないことですね。高視聴率番組や大ヒット作(ベストセラー)とかは、マニア以外の一般の人が見てくれる(読んでくれる)からこそ、そうした数字を計上できるわけだから。

 ここで抑えておきたいのは、映画でも文学でもいいのですが、「大ヒット作が数多く出ることがその世界を豊かにしてくれるのではない」ということでしょう。相乗効果や宣伝効果もあって、多少は全体的に底上げされるかもしれません。でも決して長続きしません。それどころか、ブームが去ったら殺伐とした荒野が残るだけ。近年のハリウッド映画しかり、最近の邦画しかり、ブロックバスターばかり作ってきた「つけ」が今になって回ってきて、にっちもさっちもいかない状態に陥ってしまいました。
 「その世界」を豊かにしてくれるのは、大ヒットはしないけれど少数の人々に高く支持される作品で、そうした作品を作ることのできる環境がなくなってしまえば、「その世界」は萎縮していくだけです。
(かつてのハリウッド映画は、ハリウッド映画自身の中にプログラムピクチャーという映画を活性化させる装置を持っていましたし、ヨーロッパ映画や邦画などハリウッド映画とは違うアプローチで映画に携わる人々がいて、互いに刺激し合いながら映画界全体を活性化させていたのですが・・・)
 早い話が、「利益至上主義」(視聴率にこだわるのもそれですね)だけでは、やがては行きづまるということです。極端な言い方をすれば、芸術家には採算を度外視したパトロンが必要なのです。個人でも企業でも国でも構いませんが、断固たる態度で作品を作らせてあげる人がいなくなったら、芸術はやがて死滅してしまうでしょう。
 「行政」の行うサービスも、同じではないでしょうか? 最近では予算が取れなくて、「オケ」を維持することもままならないようですが、伝統ある「オケ」を解散させていいのでしょうか? ローカル鉄道&バス路線の維持、医療&福祉、農政&エネルギー問題、環境問題、教育など、「民」がやらないこと&「民」ではできないことを行うために「行政」があって、そのために私達は税金を納めているのだから。

 『瞳』の話から甚だしく脱線してしまいましたが、「里親制度」という教育テレビの福祉番組で取り上げるような極めて真面目な問題を、(一般論として)非常に単純な人生観しか持ち合わせていない「朝ドラヒロイン」に演じさせるのは、やはり無理があるのでは? と思うようになりました。最初は、西田=池中玄太でしょ。『フルスイング』のような素晴らしいドラマになってくれることを期待したのですが・・・。

 少なくても、「コクる」「~っす」「すっげ~」といった言葉使いだけでもやめて欲しいと切に願います。3月から福祉の世界で仕事をするようになったのですが、何に一番気を使うかというと、話し方と聴き方です。
 聴くことについても瞳は、相手の話を良く聴かず自分の意見を相手に押しつけてばかりいますが、まあそれは置いておいて話し方について述べると、これはよく言われるような単純な「言葉狩り」=使ってはいけない言葉のことではなくて、単純にものを言うのはとても難しいということです。言葉以外に重要な言語があることも知ったのですが、「言葉」の大切さと難しさを思い知らされる毎日で、毎日いろいろ発見があるという点では楽しくて仕方ありません。『瞳』の脚本家は言葉のプロの筈なのに、この有様ではNHKの福祉番組を見て、一から勉強した方が良さそうですね。


オトコマエ&女の道!

2008-04-21 23:59:00 | 連続テレビ小説


 土曜時代劇『オトコマエ!』、初回の硬さが解れたのか(肩に力が入っていたのは観ているニワトリさんの方なのでは?)、まだ第2回だけど、かなりいい感じになってきました。うんうん、確かに大した「オトコマエ」だぜ、福士の旦那!
 よくよく考えてみれば、初の主演ドラマですね。今までもかなり重要な役どころに出演して主役を食ってきました。陰に隠れてしまった感じの舞台=『ナツひとり 届かなかった手紙」』でも、良くやっていたと思います。ヒロインの視点でものを言えば、嫌われてしまう男というか、「いい人だと思っていたのにそんな秘密があったんだ」とか「やっぱりフツーの人だったんだね」となり兼ねないのに、彼が演じると根っから上品なせいか人物に嫌味が生じず、悪意を持てません。
 「それは、彼に演技力がないからでは?」と、こきおろす人もいるでしょうが、私は演技力を問う以前に資質を問題にします。当たり前の話だけど、彼は松田龍平ではありません。俳優としては全く違う資質の持ち主です。
 前にも書きましたが、俳優=福士誠治は、汗の匂いのしない男性、例えばゲイリー・クーパーやジェラール・フィリップのような「オトコマエ」を目指してほしい。同じ汗をかかない「オトコマエ」でも、ケイリー・グラントやマルチェロ・マストロヤンニとはちょっと違うんだな~。もちろん、クラーク・ゲイブルやショーン・コネリーのような、フェロモン全開「オトコマエ」じゃなくて・・・。
 例えが古くてニュアンスが伝わらなかったかもしれませんが、溌剌と演じていることが画面からビシバシ伝わってきて、実にいい感じです。13回終わったところで彼がどんな顔になっているか、非常に楽しみです。

 そして、これはこちらの欲目と思いますが、『篤姫』を演じているあおいさんも、福士=逸馬の頑張りを意気に感じているかのように、実に生き生きとしてきました。とうとう、あの徳川斉昭の心をもつかんでしまいましたが、これは決して彼女の「無鉄砲」や「無礼」が通ったのではなくて、慧眼な斉昭が斉彬と同じように篤姫の人間性を見抜いたからであり、知性の高さや洞察力の深さ、探究心の強さなどが彼らを魅了したからに他ありません。それを、あおいさんはちゃんと演じていました。というか、どうやら篤姫としてドラマを生きているみたいで、いよいよ面白くなってきました。皆が皆、歴史上の人物になることを大いに楽しんでいるように見受けられます。大ベテランの高橋&松坂両氏とも、互角に渡り合っているというか、呼吸もぴったりです。個人的には、久々の「大当たり」かもしれません。
 篤姫の今後の人生を知る我々としては、「こし入れ」までの今という時間を十二分に楽しんでください、と願うだけです。第16回はリアルタイムではなくて、たった今見終わったのですが、「波乱」という言葉とは裏腹に良いお話でした。来週はいよいよ尚五郎が江戸へやって来ます。土日の連弾(通じない人もいるかもしれません)が、今から待ち遠しい~♪


篤姫と藤堂逸馬

2008-04-13 23:59:30 | 連続テレビ小説


 土曜時代劇『オトコマエ!』が始まりました。木曜日から土曜日に移ったという点では思ったより違和感はなく、週末になったことでむしろ以前よりも積極的にドラマを見ようかという気持ちにさえなったのですが、45分枠を30分に短縮したのは如何なものでしょう? ショートショートでも名作は可能だけど、30分で一話完結となると、行間を読ませる演出をするか、役柄を魅力的にしない限り、物足りないドラマになってしまうような気がします。もともとNHKの時代劇は、『水戸黄門』や『遠山の金さん』のようなマンネリが魅力ともいえるわかりやすいドラマや、『仕事人』シリーズのような大人の娯楽番組とも一線を画していたのですが、「30分一話完結」という自らに課した高いハードルが、良い方向にドラマを導いてくれるといいですね。
 第一話は、人物紹介も兼ねているせいか、かなりはしょった展開になりましたが、単なる勧善懲悪にしなかった点は良かったと思います。しかも、これは2年前の朝ドラ『純情きらり』を見ていた人にしか通じませんが、初回に秋山(半海一晃)が登場してくれて、非常に嬉しかったなあ~。秋山と達彦さん(福士誠治)の共演シーンは、『純情きらり』の「ちょっと待った」結婚式以外に思いつかないのですが、それでも何とも言えない懐かしさを覚えました。
 藤堂逸馬(福士誠治)の竹を割ったような性格は、福士さん本人には近いのかもしれませんが、俳優=福士誠治としては、逸馬の親友の竹田信三郎(斎藤工)のようなキャラクターの方が向いているような気がしました。
 時代劇は物語も大事ですが、キャラクターの魅力が全てともいえます。題名どおりの『オトコマエ!』になれれば、『剣客商売』(4月11日のスペシャルを見逃してショック! 歓迎会だった・・・)や、『御家人斬九朗』(スペシャルでいいからもう一度見たいのですが・・・)みたいに大好きな時代劇になれるでしょう。頑張れ、福士&斎藤!

 土曜日が『オトコマエ!』なら、日曜日は「大河」の『篤姫』。始まった頃はミスキャストでは?と思いましたが、教育係の「幾島」が現れた頃から、ヒロインはおかつから篤姫へと成長してゆき、今回などは実に見事でした。これにより、私の胸の内に住みこんでいた「おかつ=桜子」という、前のドラマ(もちろん『純情きらり』です)の悪しきイメージも、どうやら完全に払拭されました。この先、激動の幕末~明治維新がやってきますが、「その時代を彼女がどう生きたか」、そして「それをどう宮あおいが演じるのか」、いよいよ目が離せなくなってきましたね。
 となると、少し微妙になってきたのが、小松帯刀を演じている瑛太さん。坂本龍馬を演じる玉木宏さんとは『のだめカンタービレ』で共演しているし、峰と千秋が親友?であるように、小松帯刀と坂本龍馬は藩は違えど親友だったから、最初は適役だと感じましたが、篤姫に恋するも身分の違いから叶わず、明治維新の際は敵味方となってしまう運命となるこの人物を、是非とも福士さんに演じてほしかったという想いが次第に強くなってきました。達彦&桜子で共演した仲だから今度も・・・と考えたのではなくて、「朝ドラ」で共演した二人がこの二年間にどれくらい俳優として成長していったのか、今度は「大河」を舞台に互いに見せてほしかった・・・といったところかな。

 あおいさんがようやく「桜子」の呪縛から抜け出したように、福士さんも「達彦さん」のイメージから完全に解き放たれました。彼の場合は、『のだめカンタービレ』の黒木君のキャラクターの方が、達彦さんより「~らしい」と考えるようになっていたのですが、その『のだめカンタービレ』でも、今では彼=黒木クンが峰より千秋に近い位置に立っていることに思い当たると、坂本龍馬&小松帯刀のコンビも、千秋(玉木)&峰(瑛太)でなく、千秋(玉木)&黒木(福士)で行くべきだった・・・なんてますます妄想するようになってしまいました。
 まあ、これから当分の間(13週)は、『オトコマエ!』の翌日は『篤姫』という具合に、二人の姿を見られるだけでも良しとしておきましょう~♪


明日12日、『スタパ』に茂山宗彦さんが出演します!

2008-02-11 20:14:01 | 連続テレビ小説


 国会中継で延び延びになっていた小草若=茂山宗彦さんの出演された『スタジオパークからこんにちは』が、明日12日の1時05分に放送されます。桂吉弥さんのときは、当日知ったので、お知らせできなかったのですが、久しぶりにHPを訪ねてみたら、その旨記載されていました。忘れずに予約録画しときましょう。ご存知の方も多いとは思いますが、一応お知らせしておきますね~♪

 2月12日(火)『スタジオパークからこんにちは』 13時05分~
             小草若役 茂山宗彦(録画放送)

 2月20日(水)『スタジオパークからこんにちは』 13時05分~
             テーマ曲演奏 松下奈緒(生演奏もアリ?)
 


(ココロの)鬼は~外っ! 

2008-02-04 23:56:20 | 連続テレビ小説


 今週は「辛そうな展開」だし、「死を予告した」脚本家に抗議の意も込めて『ちりとてちん』感想文を書くのをやめたのですが、そのことに対して皆様から温かいコメントをいただきました。心からお礼を申し上げます。皆さんに返事を書きながら、「またしても軽はずみな言動をしてしまったかも?」と反省しております。
 とりわけ、私の拙い感想文を楽しんで読んでくださった方々(RIKAさんに励ましのコメントもらったばかりなのに・・・ごめんなさい)に対して、いきなり卓袱台をひっくり返すかのような「批判」を繰り広げて「断筆宣言?」をしてしまったことを、深くお詫びいたします。
(『自虐の詩』の「卓袱台ひっくり返し」には、ある種の爽快感を覚えますが)

 私が師匠の死を認め難かったのは、すでに書いたように、吉弥さんのお師匠さんである桂吉朝さんが同じように亡くなったことを知ったことが主たる原因なのですが、それをドラマの中で「予告」したことに対して、化学反応を起こしてしまいました。
 「告知」されたことで、我々は師匠の言葉を聞き漏らすことなく、ひと言ひとこと噛みしめて聴くようになるのですが、「皆さん、師匠は亡くなるのですから、今のうちにちゃんと見ておいてくださいね」と、念を押されているような気もして、そうなるとキリコさんがご自身のブログで書かれていたように、「渡瀬さんの演技力を軽んじている」と感じますし、「低迷している視聴率を底上げするために【死】を持ち出してきたのか」と、勘繰りたくもなります。

 泣かせるために、死を持ち出さないでほしい・・・そういう思いを強くしたのは、実は『純情きらり』からです。それまでは、「日本人は笑うよりも泣くことが好き」で、中には「どれくらい泣けるか」を基準に映画を見る人もいるくらいだから、ドラマや映画の中の「死」に関して、特に気にすることはありませんでした。
(『フランダースの犬』のラストシーンが二通りあるように・・・)
 『純情きらり』のクライマックスでヒロインが結核にかかったとき、大量の「延命投書」がNHKや「人気ブログ」(さくらえびさん、お元気ですか?)に寄せられました。かけがえのない人を結核で失ってしまった方、新薬のおかげで失わずにすんだ方、そして病気を克服されたご本人・・・大勢の方から次々と投書&書き込みが寄せられ、私は目頭が熱くなってしまいました。これほど多くの人々が真剣に「朝ドラ」を見ていることに驚き、自分の人生を重ねながらヒロインを応援していることに心を揺さぶられました。
 だからこそ、絶対にヒロインを殺してはならないと思ったのですが、多くの人々の切実な願いは脚本家の耳に届かなかったようです。

 「死」は人が生きている限り避けることができないし、それから目をそらしてはならないときもあるでしょう。それだけに、物語を作っている人は「死」の取り扱いに慎重になってもらいたいのです。このドラマに関しては「必然性」が全く感じられず、しかも赤の他人が知っていて実の息子が知らされていないなど、現実から乖離していることもあって、ますます納得できません。なぜ、ここの人々は大事な人と向かい合って、とことん話し合わないのだろう? 糸子さんがボランティアで大阪に来るのは良い考えだと思いますが、皆で病気と闘うことを決意した上での話でしょ。
 あっ、また批判してる!

 ところで、昨日の節分の日、寝屋川の成田山で恒例の「豆まき」が行われ、貫地谷しほり&青木崇高&原沙知絵の御三方が参加したそうです。
 KEIKOさんにお返事書きながら、このことに触れたのですが、勘違いをしていたので訂正いたします。
 夜7時のNHKのニュースで「豆まき」の映像を見た際に、どうして「ちりとて」メンバーの姿を映さないのだろうと、大いに不満だったのですが、両横綱とあおいさんがいた場所は、同じ「成田山」でも千葉の「成田山」でした。いない人を映すことはできませんよね。でも関西では、寝屋川の映像がニュースで流れたそうだから、これは関東の怠慢かな? 貫地谷さんは、最後の最後までファンサービスに努めたそうです。
 本物の若狭は、やるじゃないですか! 鬼は外~♪

 今日の一席は万葉亭柳眉=桂よね吉さん。貫禄が違う。それだけに、もう少し聴きたかったのに・・・


『ちりとてちん』 第18週(103) ~思えば遠くにすったもんだ

2008-02-03 03:00:00 | 連続テレビ小説


 今日の「一席」は、糸子さんの「ホウサクラグゴ」。 糸子さんという「ネタの温床」もあることだし、若狭はそれこそ「創作落語」をじゃんじゃん「豊作」して、実り多い人生を迎えられるといいですね~♪

 突然ですが、予言も的中したことだし(はずれた場合は責任とって?)本日をもちまして、ニワトリさんの『ちりとてちん』感想を終えることにします。
 振り返れば第9週に、喜代美が寝床で清海に暴言を吐いてしまった後、草若師匠から温かいお茶をいれてもらったことがありました。そのときから「週ごとだった感想」を日替わりで書くようになったのですが、来週以降の展開を感想として書くことは「かなり辛い」ので、ここでリタイアさせていただきます。
 個人的には、第七週の徒然亭一門の復活で「第一部」が終わり、今週で「第二部」が終わったものと解釈しています。ジグゾーピースのコマは全部埋まっておらず、小草若、正平、清海、そしてもう片方の和田家の将来(小次郎さんは大丈夫!)が気がかりですが、彼らも最終的は救済されるものと信じて、あとは静かに推移を見守るつもりです。

 ところで、これは私だけの意見ですが、『ちりとてちん』を面白いと思ったのは、第一週目に正太郎さんが語ってくれたように、「おかしな人間が一生懸命生きてる姿が本当に面白かった」からです。細かすぎると言われた演出や、凝りまくりの小道具&美術も好きでした。脚本に関しては、週単位の個々の話が何らかの形で「古典落語」とシンクロしていることとか、巧みに張り巡らされた縦糸と横糸など、随所に感心したものです。演じる人々も素晴らしく、本当に楽しませていただきました。
 けれども、最近の『ちりとてちん』は才気ばかりが先走りして、「心」を失ってしまったような気がします。
 桂吉弥さんの師匠だった桂吉朝さんが亡くなったのは2005年、約三年前のことです。すでにブログに書きましたが、吉弥さんが出演された「スタジオパーク」を観たとき、「吉朝師匠が吉弥さんの血と肉となり吉弥さんの中で生きている」ことを感じ、大変な感動を覚えました。だから吉弥さんが、このあと師匠が亡くなるまでを「演じる」ことができると確信しています。ですが、誰もが知っている悲しい出来事を当然知っている筈の脚本家が、このような脚本を書いたことを許すことができません。

 その吉弥さんから話を伺ってよくわかったのは、『ちりとてちん』が落語家の世界を極めて正確に描いていたことです。『純情きらり』の「音楽の世界の適当ぶり」(達彦を除く)や、『どんど晴れ』の「旅館の世界の嘘八百」と比べると、バッググラウンドは完璧だったと言えるでしょう。ただ、そうなると問題になってくるのがヒロインの性格で(貫地谷さんのことではない)、自意識過剰が高じていつでも自己本位にしか物ごとを考えられず、妄想力に反比例して観察力や分析力は無いに等しいから、他人の気持ちが全くわからないのも仕方がないのですが、失敗を重ねながら成長することができない(例えば清海に対して、三回も「醜い自分」をさらけだしたのに人として成長していない)人物が落語家になれる筈がない、という結論に(真面目に考えれば考えるほど)なり兼ねません。

 「徒然亭」に入門するまでは、どんなにアホだろうと、ヘタレだろうと構いません。でも、いくらなんでも、6年後に初めて四草の年齢を知って驚くのは「やり過ぎ」(弘法の筆の誤り)でしょう。あまり必要とも思えなかった「鼻毛殴打」事件や「順子の妊娠」など、「枝や葉っぱ」に時間をとられてしまい、喜代美が落語家として成長してゆく過程を描かなかったのは(もっぱら、ギャグ担当だし・・・)、「木を見て森を見ず」の典型的な例だと思います。
 第1週から今日まで、緻密に計算された脚本なのに(役者のスケジュールなどの制約がありながらお見事)、喜代美が精進していた筈の6年間が殆ど省略されてしまったために、草若師匠が目を細めながら「あんたは本当に落語が好きなんだねえ」と嬉しそうに発した今日の言葉も、「実感」として今一つ伝わって来ませんでした。

 もともと私は、『ちりとてちん』に「リアリティ」を求めていませんでした。例えば第3週、宅急便を送るつもりで家を出た糸子さんが、ダンボール箱を抱えたまま大阪まで行ってしまい、こともあろうに鼻を利かして喜代美を見つけてしまうくだりで、「そんなことありえない」という苦情の投書がNHKに相当数寄せられたそうですが、私は「だから、このドラマは面白いのに・・・」と、苦笑したものです。
 確かにそんなことは実際ありえないでしょうが、私は『ちりとてちん』の「でたらめの中に真実がさりげなく見え隠れしている」ところが好きだったのです。けれども今は、「もっともらしいでたらめがまかり通っている」気がしてなりません。具体的にいえば、本来不幸になるべきではない(筈がない)人々が不幸になっていることなのですが。

 例えば、秀臣さん。秀臣さんは、先代や正典さんに劣らず「若狭塗箸」を愛しており、「どうやって残し伝えていくか」という問いの答えが「和田塗箸製作所」でした。小浜に戻ってきた正典さんに先代の技を教えたのも秀臣さんですし、その間は自分の会社に就職してもらって「食べていける」よう便宜を図りました。正典さんの独立後は、あの手この手で支援もしてきました。息子のことに関しても「彼だけが悪いわけではないのに」頭を下げ(魚屋は一人息子を養子にもらって礼を言ったか?)、彼の望むようにしてあげました。現実問題として、このような人の経営している会社が「業績不振」になることは「あり得ない」と思うのですが、それはともかくとして、なぜ、正典さんは秀臣さんを助けないのだろう? 友春夫婦はなぜ病床の母の看護をしないで清海一人に押しつけていられるのだろう? 糸子さんにしても、草若師匠の体が気になるくらいなら、その前に静さんのところへ行くべきでしょう。

 そもそも糸子さんが心配するというなら、それこそ能天気な喜代美のことではなく、正平の心配をしてもらいたいです(喜代美に至っては、正平が悩んでいることも気がつかなかった)。このドラマはいつもそうなのですが、きちんと話し合えば解決できる問題を全く話し合わなかったために、取り返しのつかない事態がこれまで何度も生じています。
 細かいことをいえば、正典さんが家を出たのだって、ちゃんと話し合えば何らかの解決策があったわけで、正平が留学を望んでいることを知った時点で、ちゃんと話し合うべきだったでしょう。奨学金制度だってあるのだし、いくらでも方法はあったのに、夫婦が仲直りして正平が勝手に挫折して終わりにしてしまうなんて、開いた口が塞がりません。だいたい、一番分別があった正平が小次郎になるわけないじゃん!
(話としては面白いけど、だったら深刻にしないでほしい)

 気の毒な人の三人目は清海です。彼女には「ちょっと鈍い」以外の欠点はありません。彼女の「鈍感さ」については私も書いてしまいましたが、喜代美よりははるかに気が利いていましたし、人の心もわかる女の子でした。普通だったら、「エビチリ事件」で「絶交」していても不思議じゃないのに、「寝床事件」以後も花束を送り喜代美のことを応援していました。草々のことを好きになったのも彼女の罪じゃないし、その件で喜代美から「自分(清海)のことが好きではなかった」と告白されたのはものすごいショックだった筈で、そのため人間不信に陥っても不思議ではないと思います。にもかかわらず、たとえ演技だったにしても、喜代美とあのような別れ方ができた人が、何があったのか知りませんが、今のような暗い瞳をしていることなんて事態は、これも現実的に考えれば「あり得ない」話です。もちろん挫折しない人などいませんが、彼女なら一つずつクリアして今も輝いているでしょう。そうでなくてはならない理由は一つもないのに、不幸な境遇に甘んじている彼女が不憫で仕方ありません。

 そして最後に小草若。彼は五兄弟の中でいつも貧乏くじを引かされています。「優等生の草々に対して出来の悪い息子」という構図だけで反感を覚えるのですが(草々の視野の狭さはどうなのよ)、若狭にも置いていかれるというのは、幾らなんでもひどすきます。そんな人が例え一時期とはいえ、「売れっ子」になれるでしょうか?
 それに、「偉大な父が重荷になる」ということはよくあることですが、よくよく考えてみると、それほど偉大な人ではないですよね、草若さん。一度は落語を捨てていますし。大事な高座の穴を開けただけでも「落語家失格」ともいえるのに、その後いくらでもリカバリーできたのに、三年間「ただの飲んだくれのおっさん」でした。小草若の方が偉いじゃん。現実的な話をすれば、小草若以外の人々はアルバイトもせずにどうやって生活していけたのでしょうか? そういう部分が極めていい加減なのに、頑張って働いてきた小草若だけが落ちぶれ、自分一人が置いてけぼりになるなんて、不憫で見ていられません。

 たかがドラマにムキになるのも大人げないので、そろそろ筆を置きます。「ドラマを楽しめなくなってしまったので、感想を書くのをやめることにした」だけなのですが、どうにも理屈っぽくて、申し訳ございませんでした。
 最後に私の『ちりとてちん』のその後を話すと、師匠は今も元気に『愛宕山』を高座で喋っていますし、草原兄さんにはお弟子さんがたくさんいます。草々は師匠と「二人会」を最近よくやっていて、念願だった常設小屋もオープンさせました。一匹狼の四草は東京にも進出、毒舌が受けてトーク番組の司会もかけ持ちする売れっ子。もて過ぎて未だに独身です。小草若と若狭は創作落語をコンビでかけることが多く、小草若は何と「清海ちゃん」と結婚しました。清海は本業の方も忙しく、最近では海外からの報告も多くなっています。正平は目下ゴビ砂漠に行っていて、小次郎さんは相変わらず。奈津子はんは『ちりとてりん』の印税がかなり入った模様。小浜では秀臣さんと正典さんが合併して塗箸の売れ行きもまずまずといったところ。正典さんには弟子が三人いて、そのうちの一人は友春と順子の子供です。静さんは退院して料理教室を開いています。糸子さんは松江さんと魚屋食堂で井戸端会議中。井戸端会議といえば、寝床の人々も相変わらず集まっていて、小草若や若狭もよく顔を出します。そうそう、小梅さんは近所にスペイン料理のレストランを出しました。パエリアが評判のお店ですが、午後の休憩時間に三味線も教えているそうです。書き忘れた人はいないかな? では、お後がよろしいようで・・・