ザ・シンフォニーホールを後にして、阪神福島駅からイエスのコンサートが開かれる尼崎へ移動。開演1時間前、夕方5時頃到着すると、自分と同じようなルックス(通称かぶとむし)の方々が既に長蛇の列…。
イエスのコンサートは今回が98年、03年に続き3回目。前回の公演は東京国際フォーラムのホールAで2公演連続で観ているのだが、出遅れが響き、どちらも2階席。メンバーは点のようにしか見えず、ほとんど印象に残らなかった…ということもあって今回のコンサートはそのリベンジという感じ。
席は6列目、ステージ左手、ハウの正面…という文句ないポジションで開演を待つ。当日券も出たそうだが、最終的にはソールドアウトだった様で会場内は熱気ムンムン。やはり、満員のコンサートは良いものだ。左からハウ、ダウンズ、アラン、そしてクリス…という配置。中央にスクリーンが1つ配置されている。ジェフ・ダウンズはローランドのシンセをメインにΠ型にキーボードを配置。(ノートパソコンも2台あったので、ソフトシンセも鳴っていたのかも知れないが、良く分からなかった…。)
定刻を過ぎた頃、自然と手拍子がおきて、会場が暗転、そしてイントロ、ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」が鳴り始めると大歓声。メンバーが登場して1曲目はお馴染みYours Is No Disgrace。
イントロ、70年代の全盛期に比べ、若干、テンポが遅くなっているのは致し方ないところだが、演奏自体はしっかりしているし、音もクリアーで内心「よっしゃ!」と言う感じ。
…で、問題の助っ人・ヴォーカルのジョン・デイビソン(Glass hammer)。これが、アンダーソンの声質に限りなく近く、ルックスもソングス時(72年~73年)のジョンを意識した髪型&コスプレで違和感なし。(もう少し背が低ければもっとジョンらしかったけど。)評判どおりグッドな人選で、さすがクリス人事部長の目は確かだな…と感心。
途中ハウのソロ、独特のリズム感、カクカクとしたアクション、意味不明のキメのポーズ…、そのどれもが何人も到達できない境地に達しており、「おおっ…。」と驚くとともに笑いが…。今日のコンサート、ハウが主役かな…という予感。(実際に的中。)
2曲目はアルバム・ドラマからTempus Fugit。スピード感もあって良い演奏だったが、キーボードのジェフのソロはちょっと危なそうな感じ。それでも、なかなか聴けないドラマからの選曲はやはり嬉しかった。
続いてはお馴染みの定番曲Your Move/Seen All Good People。ここあたりは正直、聞き飽きてる感もあって、「代わりにドラマの曲やってよ…。」という気分になったのだが、ヴォーカル・ハーモニーが美しく決まって演奏的には文句なし。やるな新ジョン、デイビソン…という感じ。
続いては、これまた定番And You And I。もうこれはハウの独壇場。スティール・ギターを含む3つのギターを使い分け、見事スタジオ・ヴァージョンを再現してくれた。ヴォーカルのデイビソンもオリジナル・ナンバーへのリスペクトが感じられる歌いっぷり。伸びやかなヴォーカルを聴かせてくれて「ありがとう!」という感じ。
続いて早々とハウのアコースティク・ソロ・コーナーに突入。曲は「Solitaire」「Ram」だったと思ったが、さすがマエストロ…美しくキメてくれた。
そして中盤、ニューアルバムから組曲Fly From Hereを全曲披露。スクリーンにプロモ・フィルムやロジャー・ディーンのジャケットが効果的に映し出され、クリスはベースを2本駆使して音だけでなく魅せてくれた…という感じ。イエス・クラシックスに負けない魅力を持ったFly From Here、現役バンドとしての意地を見せてくれた…という感じで嬉しかった。
そして、ジェフのキーボードからアコギに繋いで、アルバム「究極」収録の小品Wonderous Stories。デイビソンもアコギを弾いて見事な3声コーラス…、演奏的にはこの日のベスト・テイクだったように思う。
そしてコンサートは後半に突入、これまた定番中の定番、「燃える朝焼け」。若干痩せたように思えたが、それでもプロレスラーのような体格のクリス・スクワイアがのし歩いてベースをぶん廻してくれた。ここでも、デイビソン、伸びやかかつ、丁寧な歌い廻しで大満足。最後、片手でリッケンバッカーをウクレレのように軽々と持ち上げるクリス、さすが御大…というパフォーマンスを見せてくれた。
続くは大ヒットナンバー、Owner Of A Lonely Heart。かつては「ハウ、嫌々弾いている…。」と言われた本曲だが、ハウ流の味付けを施して、結構、乗って弾いていたのが微笑ましかった。(ストラト似合わなね~って感じだったけど…。)
そしてラストはこれまた大定番Starship Trooper。これまで渋くバッキングに徹していたという感じのジェフがショルダー・シンセを手に全面に。デイビソンに促され総立ち状態でフィナーレ。
アンコールは勿論、Roundabout。
ラストスパート、キレの良い演奏で「皆さん、みんな60超えてるんだよね?」という驚きと共に、大喝采でコンサートは幕となった。
ディテール的に言えば「セットリ、マンネリ」、「Machine Messiah聴きたかったよ~!」(これは会場でもかなり聞いた。今回の来日公演では東京の2日目だけ演奏。行けた人羨まし過ぎ。)、「クリス、結構ミストーンあったな…。」、「クリス、タウラス・ベースペダル使い過ぎ。」、「ホワイトかなり苦しそう…。」etc…と、言いたいことはない訳ではなかったが、「そんなことは皆、些細な事…。」と思わせる説得力がこの日の演奏にはあったと思う。個人的にはマエストロ・ハウの活躍振りに脱帽!、今日のMVPという感じ。イエスのコンサートは今回で4回目であったが、「今日のパフォーマンスがベスト、9年前のリベンジ達成!」という大満足のステージであった。
終わってしまえば、本当に「あっと言う間」という感じだったのだが、ちゃんと時計を見ると休息なしでしっかり2時間のコンサートだった。それだけ、だらけることなく、充実した演奏だった…ということだろう。
メンバー達は無論、スタッフ、全国各地から駆けつけたファン(中には香港から一時帰国して駆けつけた方もおられたようでビックリ。)全ての人が作りあげたコンサート、本当に素晴らしい時間を共有させていたき、「ありがとうございました。」と感謝する次第である。
(YES in AMAGASAKI Setlist)
Into The Young Person's Guide to the Orchestra~
1. Yours Is No Disgrace
2. Tempus Fugit
3. Your Move/Seen All Good People
4. And You And I
5. Steve Solo (Solitaire、Ram)
6. Fly From Here
7. Wonderous Stories
8 . Heart Of The Sunrise
9. Owner Of A Lonely Heart
10.Starship Trooper
- encore -
11.Roundabout