りゅーとライフ

(MiddleTown Dreams)「りゅーとぴあ」と「ビッグスワン」をフランチャイズに新潟生活を楽しんでいます。

東京交響楽団第70回新潟定期演奏会 主役は団十郎&東響新潟コーラス。

2012-03-25 22:49:40 | コンサート

Tokyo70_2

  指揮:飯森範規  コンサートマスター:大谷康子

 チェロ:石坂団十郎

 バッハ:管弦楽組曲第3番
   ハイドン:チェロ協奏曲第1番(ソロ:石坂団十郎)
   アンコール:バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ジーグ

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    モーツァルト:戴冠ミサ曲K.317
    アンコール: モーツァルト アヴェ・ヴェルム・コルプス

 2011-2012東京交響楽団新潟定期演奏会の最後を飾ざるのは(マエストロ?)飯森範規さん。本演奏会の注目はここ5年程飯森さんが熱心に取り組んでいるピリオド奏法を駆使してバッハ、ハイドン、モーツァルトの名曲をいかに料理してくれるか…というところ。
   
   マエストロに対して、ド素人の私がこんな事をほざくのは本当におこがましいのだが、思い切って言わせていただくと、「飯森さんのピリオド・アプローチ、なんかピンとこないんだよなぁ…。」というのが今までの正直な感想。まぁ、個人的にあんまりピリオド・アプローチに慣れていないということが大きいと思うのだが、どうも透明感よりも音の痩せ具合が勝っているんじゃないのか…と言う印象が強かったのだ。
  だが、今日は違った。冒頭の管弦楽組曲第3番、対向配置、20名程の小編成から生み出される透明な響きに「おぉ…」と言う感じ。「これか、こう言う響きを出したかったのか」(夏子の酒ラストシーン風)という感じで納得の演奏。
   
    しかし、今日の主役ははっきり言って次のハイドンのチェロ協奏曲に登場した石坂団十郎。団十郎?と聞くと、コテコテの純粋ジャパニーズ…という感じだが、父親が日本人、母親がドイツ人のハーフだそうで、飯森さんのトークによると(マエストロはおしゃべりがお好き。)33歳の若さにかかわらずドレスデン音楽大学教授という逸材とのこと。

  …で、演奏なのだが「ぎょぇぇ…、巧ぇ…。」という感じでテクニック的にはパーフェクト。音色的には、ちょっと神経質と言うか一部繊細なところもあったので、好みが分かれる気がしたが、個人的には許容範囲といったところ。圧巻だったのは第3楽章のアレグロ・モルト。ドライヴ感溢れるダイナミックな演奏は「こう言うハイドンもあるんだ…。」という感じで衝撃的。演奏が終わった瞬間、ブラヴォーと盛大な拍手が起ったが、それも納得という演奏だった。アンコールはバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番ジーグ。これも確実なテクニックに裏付けられた素晴らしい演奏で、大きな拍手を受けていた。

 
   第1部だけで「元はとったな…。」という感じだったのだが、また、素晴らしかったのだが第2部のモーツァルトのミサ曲ハ長調K.317、所謂「戴冠ミサ」。

 個人的に好きな曲で、「変な演奏は聴きたくないな…。」という、一抹の不安もあったのだが、「そんな心配は杞憂だったな…。」という素晴らしい演奏だった。
 ソプラノの吉原圭子さん、テノールの児玉和弘さんら、プロのソリストの方も素晴らしかったのだが、やはり特筆すべきはにいがた東響コーラスの健闘振りだろう。「にいがた東響コーラスが技術的にどの程度のレベルなのか?」、経験値が低い私にはよく分からない…というのが正直なところなのだが、プロのソリスト、オケに臆することなく堂々としたコーラスで、がんばっていたのではないか?と思った次第。
   
 モーツァルトのミサ曲ハ長調K.317はラストの拍手の仕方がちょっと難しい曲なので、なんか間延びした拍手になってしまい、「なんだかなぁ…。」という終わり方になってしまったのが残念だったが、アンコールの小曲アヴェ・ヴェルム・コルプスが素晴らしい演奏で、気分良くシーズンを終わることができた。
   
  2011-12シーズンの新潟東響定期、圧巻だった第66回、スダーンによるシェーンベルクの浄夜を始め、充実した演奏会が多かった様な気がする。2012-13年シーズンも充実した演奏会を期待したいと思う。