八幡和郎著「松下政経塾が日本をダメにした」に続き、 西尾幹二著「天皇と原爆」を一読。
帯に「日米戦争の淵源を、世界史の宿命の中に長大なスケールでたどりきる 精細にして、勇敢な、複眼的歴史論考」と(ちょっとオーバーに)書かれているように、西洋の19世紀以来のアジアへの侵略…という文脈の中で、第一次大戦を機に英国から超大国の座を奪ったアメリカがその独特な宗教性をもとに太平洋を西進していき、ついに日本とぶつかる過程から、自分本位なアメリカの政策、アメリカという国の本質は何なのかが分析されている。
ところどころ、「う~ん、そうかなぁ?」というところはあったものの、大筋では納得させられるところが多かった。
しかし、本書でも触れられているが、19世紀初頭までスペインがアメリカ諸国の多くを支配し、1936年の段階で、イギリスが支配している地球表面の面積が27%だった…という事実には驚かされる。世界史に名を残した大帝国も、没落するときは本当にあっけなく没落していくものなのだな…と改めて思った次第。
アメリカの全盛時代は1950年代のアイゼンハワー大統領時代と言われているが、その後、半世紀あまり…、強引な手法で良く粘っているなぁ…という感じ。
歴史の流れということで言えば、15世紀末の大航海時代が始まるまでは、軍事・文化両面で、西洋に対し、東洋優位の期間が長かった訳で、500年の時を経て、また東洋優位に流れてきているというのが今という時かも知れない。そんなことを考えた西尾幹二著「天皇と原爆」であった。
追記: 西尾 幹二氏と言えば、個人的にはやはり「朝まで生テレビ」の論客としてのイメージ。朴訥にしゃべっていた姿が印象に残っているのだが、議論となると西尾氏や西部氏など、所謂右派の方は静かにボソボソ喋っていると言うか、礼儀正しかったのに対し、「平和、平和」と唱えている所謂左派の論客の方が汚く怒鳴っていた印象が強い。イデオロギーと態度が正反対…と言うのが不思議と言うか、今でも私にとって謎である。