りゅーとライフ

(MiddleTown Dreams)「りゅーとぴあ」と「ビッグスワン」をフランチャイズに新潟生活を楽しんでいます。

西尾幹二著 「天皇と原爆」

2012-03-04 15:18:04 | 

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 八幡和郎著「松下政経塾が日本をダメにした」に続き、 西尾幹二著「天皇と原爆」を一読。

 帯に「日米戦争の淵源を、世界史の宿命の中に長大なスケールでたどりきる  精細にして、勇敢な、複眼的歴史論考」と(ちょっとオーバーに)書かれているように、西洋の19世紀以来のアジアへの侵略…という文脈の中で、第一次大戦を機に英国から超大国の座を奪ったアメリカがその独特な宗教性をもとに太平洋を西進していき、ついに日本とぶつかる過程から、自分本位なアメリカの政策、アメリカという国の本質は何なのかが分析されている。

 ところどころ、「う~ん、そうかなぁ?」というところはあったものの、大筋では納得させられるところが多かった。

 しかし、本書でも触れられているが、19世紀初頭までスペインがアメリカ諸国の多くを支配し、1936年の段階で、イギリスが支配している地球表面の面積が27%だった…という事実には驚かされる。世界史に名を残した大帝国も、没落するときは本当にあっけなく没落していくものなのだな…と改めて思った次第。

 アメリカの全盛時代は1950年代のアイゼンハワー大統領時代と言われているが、その後、半世紀あまり…、強引な手法で良く粘っているなぁ…という感じ。

 歴史の流れということで言えば、15世紀末の大航海時代が始まるまでは、軍事・文化両面で、西洋に対し、東洋優位の期間が長かった訳で、500年の時を経て、また東洋優位に流れてきているというのが今という時かも知れない。そんなことを考えた西尾幹二著「天皇と原爆」であった。

 

追記: 西尾 幹二氏と言えば、個人的にはやはり「朝まで生テレビ」の論客としてのイメージ。朴訥にしゃべっていた姿が印象に残っているのだが、議論となると西尾氏や西部氏など、所謂右派の方は静かにボソボソ喋っていると言うか、礼儀正しかったのに対し、「平和、平和」と唱えている所謂左派の論客の方が汚く怒鳴っていた印象が強い。イデオロギーと態度が正反対…と言うのが不思議と言うか、今でも私にとって謎である。


八幡和郎著「松下政経塾が日本をダメにした」 良著だけどタイトルは一考を…。

2012-03-04 14:21:34 | 

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  日曜日の昼下がり、ソファーに横になってビールを飲みながら、八幡和郎著「松下政経塾が日本をダメにした」を一読。

 タイトルが「松下政経塾が日本をダメにした」、帯には「演説は上手だが、議論に弱い 志は高いが、実行力はゼロ薄っぺらな政治エリートだけにこの国をまかせられるのか? 」と過激な言葉が並んでいるので、「ボロクソに貶しているのかな?」と思ってしまうかもしれないが、八幡氏らしいバランス感覚を持って、卒業生の長所・短所について書かれていて、松下政経塾の果たした役割についても一定の評価がなされている。

 本のタイトルは出版社がつけるのだろうが、最近の新書はちょっと受け狙いというか、内容と乖離した目を惹くタイトルが目立つが、本書もタイトルと内容が離れすぎていて、ここあたりは一考していただきたいところだ。本書のタイトルはせいぜい、「松下政経塾が日本をダメにしているのか?」というところだろう。(まぁ、出版社も不況で少しでも売りたいのは分かるけど…。)

 筆者の言いたいことは最後にあるとおり、「松下政経塾出身の促成栽培された未熟な政治家たちが一番ましというのでは、日本は暗黒時代になってしまうだろう。そうでないことを祈りたい…。」というところ。

 最終章「日本を救える政治家を創り出すには」の中で「この国で政治家がヤクザな稼業であることは悲劇」とし、政治家としてキャリアをいったん中断してほかの仕事につくことが一般化することを望みたい…などのメッセージには共感できた。

 よい政治家が欲しいなら、まず、政治家より国民が変わらなければならない…。絶望的にまで難しいことではあるが、この正論を認めた上で、我々は生きていかなければならないのだろう。民主主義とはなんとまどろっこしく、困難な道なのだろうか…。そんなことを改めて思った「松下政経塾が日本をダメにした」であった。