りゅーとライフ

(MiddleTown Dreams)「りゅーとぴあ」と「ビッグスワン」をフランチャイズに新潟生活を楽しんでいます。

映画 連合艦隊司令長官 山本五十六Ⅱ これだけは言わせて…。南雲長官、可哀想過ぎ。

2011-12-24 22:59:41 | 映画

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  あんまり、今回観た「映画 連合艦隊司令長官 山本五十六」、ディテールについては、ケチをつけるのは避けたいのだが、これだけは言わせて…というのは「南雲長官、可哀想過ぎ…。」と言うこと。
 
   南雲忠一海軍中将…(戦死後、大将)、所謂、南雲機動部隊の司令長官な訳なのだが、海軍提督の中でも、この人ほど不当評価されている人はいないのではないだろうか。この南雲長官、またしても本作で酷い描かれ方をしているのだ。

    真珠湾攻撃の「第二次攻撃セズ」はおきまりの南雲長官の臆病風によるもの(今回は永野軍令部総長から艦隊保全を言い渡されている形になっている)、例のミッドウェー雷撃換装指令はいつものとおりの杓子定規な南雲の判断…という描き方。さらには今では作り話だったと定説化している「運命の5分間で機動部隊壊滅…。」を古典的に再現…と、敗戦の責任は全て南雲司令長官が無能だったせいと言わんばかりの構成…。(実際の敗因のほとんどは山本司令部の杜撰な作戦計画の為なのに…。)

   まぁ、山本長官や第2航空戦隊の山口少将(今回は阿部寛)を良く見せる為には南雲貶め…はお約束のパターンなのだが、流石に本作はやり過ぎではないだろうか。

    良く山本長官は悲劇の提督と言われるが、70年経った今も、このように意識的に貶めて描かれる南雲中将こそ悲劇の提督と呼ぶにふさわしいと思う。私は別に南雲贔屓ではないし、有能な指揮官とも思わないのだが、ちょっと今回のは酷いな…とあえて書かせていただいた次第である。

※  あと、一つ。飛行機が乱舞して長門が主砲をぶっ放し、艦艇が火だるまになって「総艦出撃」とか言っているポスター、なんなんだコレ。映画の中では割と艦艇のディテールは正確なので、このポスターは「ギャグか?」と思ってしまった。史実にこんな海戦はなかったので、誤解なきよう。


映画 連合艦隊司令長官 山本五十六 駄作…とは言わないが、予想どおりの出来。

2011-12-24 17:36:32 | 映画

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  3連休2日目、ユナイテッド・シネマに映画「連合艦隊司令長官 山本五十六」を観に行く。1回目、9時スタートにもかかわらず、結構な入りで、流石地元新潟…という感じ。(クラシック・コンサート並みに高齢者だらけだったけど…。)先着でどら焼きが配られたのは「山本五十六が甘党だったことにひっかけてか、笑わせていただいた。

 で肝心の映画の出来なのだが…、率直に言わせてもらうと、駄作とは言わないが、今一つ締まらない映画なのである、この「連合艦隊司令官長官 山本五十六」。

  一つ一つのシーンはそれなりに良いというか、楽しめるのだが、最後まで見終わってみると、盛り上がり、締まりに欠けるし、結局、「何を描きたかったのか良く分からない映画…」という感じなのだ。(テーマは当然、戦争に最も反対した山本が戦端を切らなければならなかった悲劇性と、マスコミの戦争責任なんだろうけど…。)

  しかし、それは考えてみれば、致し方ない事なのだ。史実の山本五十六が実際に晩年、実に締まらないのだから…。

 本作でも真珠湾攻撃までの山本長官は「戦争に反対」と言うことで筋が通っているというか、生き生きと描かれている。山本の人間性、「ちゃめ」を演ずる役所広司さんの演技も見事…と思う。しかし、ミッドウェーでの敗戦以降、戦死するまでは、史実同様、一気に山本長官は冴えなくなって、一体、何を考えているのか分からず、盛り上がりを見せることなく終了…という感じなのだ。

 実際の山本長官は、ミッドウェーでの敗戦以後、戦争終結のヴィジョンが全くなく、ソロモン諸島の消耗戦に巻き込まれた(というか、突っ込んでいった)ので、山本長官をテーマにすれば、こうなってしまうのは致し方ないのである。そこが、山本五十六をテーマにドラマ化するところの難しさなのであるが、本作もそのパターンに陥ってしまっているようだ。(本作は原作の半藤一利説を取って、一気にマリアナまで戦線を縮小する構想半ばで戦死…というスタイルをとって、整合性を取っているようだが。)やはり、多くの方が指摘するように山本は軍令家ではなく軍政家であって、連合艦隊司令長官ではなく、海軍大臣として活躍して欲しかったの思いを強くした本作であった。

 まぁ、私は一応、戦史オタクなので、どうしても、いろいろ突っ込んでしまうというか、戦争映画に関しては点が辛くなってしまうのだが(これでも非常に抑えて書いているつもり)、CGはそれなりに良くできているし、配役もそこそこはまっているので、普通の方なら楽しめる映画になっているのかも知れない。

 まだ、公開されたばかりだし、観る予定のある方は真っ白な気持ちで、評価していただきたいと思う。