香港は啓徳空港。
今は、大英帝国の肝いりでランタオ島の新空港になっているが、旧の空港は非常に恐ろしい空港であった。
ラッシュアワーなみの離発着、風にあおられて滑走路の真上で姿勢を整える飛行機、ジャンボがどんどん大きくなっていくのは歓迎だったが、それでも怖い。
3度ほど死ぬかと思ったことが・・・・
そのひとつは、台風の近づいた日のことであった。さすがに台風でシグナルが出ると離発着は取りやめとなるが、その日は、運悪くノースウエストに乗っていた。ここは軍あがりのパイロットが多いので、腕はいいのだが、退屈するらしく、たまにわざと雲を突っ切って飛んでみたりするパイロットもいる。
台湾上空を過ぎた頃、アナウンスが、
「香港は台風のため、シグナルが出ています。降りられないようですと、台北に引き返します。」
ちょっといやな予感。せっかく香港まで飛んだのに、台北に引き返す?そんなこと、この会社のパイロットのプライドが許すんだろうか?
当機は最終の着陸態勢に入りました。
「揺れますので、しっかりベルトをお締めください。」
「あぁ・・・やっぱり降りる気だ・・・。」
揺れる、揺れる。 進入路にあるビルにぶつからんばかり。
そして、着陸。 すかさずフルブレーキングと逆噴射。座席ごと前に持っていかれる。通路をいろんなものが転がっている。
やっと着陸し、スポットに向かうが、風景が何かおかしい。雨と風が激しいのはわかるが、いつもと違う。
「あれっ?どこにも飛行機がない・・・・」
そうです、他の飛行機会社はさっさと台北やマニラあたりで降りてしまっていて、ここには数えるほどの飛行機しかありません。しかも、Baggage Claimに向かう僕の耳に入ったのは空港係員の会話。
「ガッツあるなあ。NWも。何でも引き返せと行ったのに、予定があるからどうしても降りるって言ったらしいよ。」
「・・・・・・・・・。」
このあと、付き合って降ろされた僕たちは、大変な思いをしてホテルに辿り着いたのでした。
なにせ、シグナルでているのでタクシーも殆どが避難していたからです。 当然です。
降りてくる飛行機がないのに空港にいても仕方ないですもんね。
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今は、大英帝国の肝いりでランタオ島の新空港になっているが、旧の空港は非常に恐ろしい空港であった。
ラッシュアワーなみの離発着、風にあおられて滑走路の真上で姿勢を整える飛行機、ジャンボがどんどん大きくなっていくのは歓迎だったが、それでも怖い。
3度ほど死ぬかと思ったことが・・・・
そのひとつは、台風の近づいた日のことであった。さすがに台風でシグナルが出ると離発着は取りやめとなるが、その日は、運悪くノースウエストに乗っていた。ここは軍あがりのパイロットが多いので、腕はいいのだが、退屈するらしく、たまにわざと雲を突っ切って飛んでみたりするパイロットもいる。
台湾上空を過ぎた頃、アナウンスが、
「香港は台風のため、シグナルが出ています。降りられないようですと、台北に引き返します。」
ちょっといやな予感。せっかく香港まで飛んだのに、台北に引き返す?そんなこと、この会社のパイロットのプライドが許すんだろうか?
当機は最終の着陸態勢に入りました。
「揺れますので、しっかりベルトをお締めください。」
「あぁ・・・やっぱり降りる気だ・・・。」
揺れる、揺れる。 進入路にあるビルにぶつからんばかり。
そして、着陸。 すかさずフルブレーキングと逆噴射。座席ごと前に持っていかれる。通路をいろんなものが転がっている。
やっと着陸し、スポットに向かうが、風景が何かおかしい。雨と風が激しいのはわかるが、いつもと違う。
「あれっ?どこにも飛行機がない・・・・」
そうです、他の飛行機会社はさっさと台北やマニラあたりで降りてしまっていて、ここには数えるほどの飛行機しかありません。しかも、Baggage Claimに向かう僕の耳に入ったのは空港係員の会話。
「ガッツあるなあ。NWも。何でも引き返せと行ったのに、予定があるからどうしても降りるって言ったらしいよ。」
「・・・・・・・・・。」
このあと、付き合って降ろされた僕たちは、大変な思いをしてホテルに辿り着いたのでした。
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