2023年下半期第170回芥川賞受賞作。
「新潮」12月号掲載、84頁。
いつもながら、本賞受賞作は、小生ら年寄りには理解しがたい現代という混沌とした時代を先取りし、それを物語というかたちで問題提起する場なのだと思う。
若き天才的女性建築家が設計した地上70階ものバベルの塔にも似た犯罪者収容(更生)施設~シンパシータワートーキョー(東京都同情塔)が、首都のど真中に出現する・・・。
こうした奇想天外な物語は、すでに著者の頭中に圧倒的な語彙力、文章力をもって存在し、著者に残された作業は、かってモーツアルトの音楽がそうであったように、単なる文字起こしに過ぎなかったのではないか。
そんな思いを抱きながら読んだ。