「ですから、人からしてもらいたいことは何でも、あなたがたも同じように人にしなさい。これが律法と預言者です。」(マタイ7:12新改訳)
これは主イエスがお語りになられたおことばのうちで、もっとも驚くべきものである。なぜなら旧約聖書全体を一言にまとめると、この節になるという意味だからだ(律法と預言者=旧約聖書全体)。私の持っている新改訳聖書旧約は1635頁あるが、それがこの一節になると思うと、主のおことばのすごさがわかる。▼思えば私たちの地上生涯は、毎日がこの聖句に挑戦されながら存在している。毎日出会う人は、その人にとって「隣人」として主がお与えになったものだが、その隣人に対し、あなたはこのみことばどおりに行動しているか?と主イエスからたずねられている。それが私たちが地上で過ごす一日一日の意味するところだ。そしてその総合計が私たちの生涯になる。それをもって人はやがて、神の前に立つことになる。人の一生とは、かくも厳粛なものである。▼イエス・キリストの人としてのご生涯は、言ってみれば、このおことばの具現化であった。主はご自分の思いではなく、天の父が「してほしいと求められたこと」を地上でなしとげることに全存在を傾けられたお方、いわば父の心そのものとなったお方である。▼だからナザレのイエスを見るとき、私たちは私たちに対する「父の愛」のかたちそのものを見るのである。最大最高の愛の啓示、それが受肉された神のことばである。