しげる牧師のブログ

聖書のことばから、エッセイを書いています。
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朝の露 <アンモン人について>

2022-12-29 | エレミヤ書
「アンモン人について。主はこう言われる。『イスラエルには子がいないのか。世継ぎがいないのか。なぜ、ミルコムがガドを所有し、その民が町々に住んでいるのか。』」(エレミヤ49:1新改訳)
アンモン人はアブラハムの甥ロトの子孫でイスラエルとは親戚である。そこで神はモーセに、カナン占領のときはアンモン人の領地を犯してはならない、と命じられた(申命記2:19同)。▼にもかかわらず、のちに彼らはしばしばイスラエルに侵入し、土地を奪い、民を苦しめた。ガドの所有地はヨルダン川の東で、アンモン人の領地と接していたので被害をこうむったのだ。冒頭のミルコムとはアンモン人の神でモロクともいわれ、子どもを火にささげる宗教で、彼らをよぶとき偶像神の名を用いたのである。▼かつてアブラハムはソドム滅亡の際、神に切願してロト一家を町から救出していただいた。だからアンモン人にとり、イスラエルは「いのちの恩人」の子孫であった。それなのにまことの神をうやまわず、反逆し続けたわけで、その報いを受け、バビロン軍の侵入によってすべてを奪われてしまった。

エレミヤは神によって「諸国の民と王国の上に任命する」(エレミヤ1:10同)と言われた。つまりエレミヤの預言によって諸国の運命は定まるということになる。▼彼の預言を注意深くみると、いったん滅ぼされても、終りの日に回復する国と、永遠に滅ぼされ消えていく国とに分かれていることを知る。たとえば本章(49章)では、最後に回復する国としてアンモン、エラム(イランの東方にあったか)があり、永遠の廃墟になる国としてエドム、ハツォル(アラビア半島にあった国か)がある。またモアブも回復が約束され(48章)、ペリシテについては回復の約束がない(47章)。エジプトは小国となって回復するようである(46章)。最大の敵国だったバビロンについて、エレミヤは50、51章を費やしてその永遠の荒廃をくわしく記しているのが印象的だ。▼当時のユダヤ人からあざけられ、排斥された孤独と涙の預言者エレミヤ、しかし彼は万国の将来を神の言葉の権威をもって預言し、定めたのであった。神の召命は不思議というしかない。私たちはこれからも永遠を統べ治めたもう全能者の御前にひれ伏して礼拝をささげなければならない。エレミヤの生涯をしのびつつ。