「さて、ツロの王ヒラムは、ソロモンが油注がれて、彼の父に代わって王となったことを聞いて、自分の家来たちをソロモンのところへ遣わした。ヒラムはダビデと常に友情を保っていたからである。」(Ⅰ列王記5:1新改訳)
ソロモンは父ダビデの遺言(ゆいごん)に従い、神殿建築にとりかかることにしたが、それには莫大(ばくだい)な資材が必要となる。特にすぐれた性質を持つ材木は隣国のヘルモン地域にある杉で、そこはツロ王ヒラムの勢力下にあった。▼ダビデは生前そのことを意識していたのかもしれない。ツロ王ヒラムとは決して戦火を交えず、友好関係を維持(いじ)するよう心をくだいていた。ソロモンが材木を輸入したいとヒラム王に願うと、王は喜んでそれを受け入れ、いくらでも与えようと返事をしたのは、ダビデとの友情が保たれていたからにほかならなかった。▼隣人を愛することは、ときが来ると祝福となって戻って来る。キリスト者は一般の人々といつも平和関係を保つことが大切だ。私の恩師(おんし)はいつも口ぐせのように、「愛は隣(となり)をそこなわず」が大事だと教えてくださったのを思い出す。「自分に関することについては、できる限り、すべての人と平和を保ちなさい。」(ローマ12:18同)