酒のさかな

平凡な笑市民が日ごろの暮らしの中で出会ったこと
【縦横無尽探険隊別館】

本当に神はサイコロを振らないのか?

2017-10-16 18:30:00 | のほほん日記系

病気とは不思議なものである。
一人ひとりの病状、条件は違うのに、それを集めると研究で示された数字に集約する。
それを嫌というほど感じたのはちょうど30年前。
急性劇症肝炎で死の淵をさまよっていた頃である。

その当時の理解されていた肝炎ウイルスは、A型、B型、非A非B型(現在のC型)・・・
A型60%、B型20%、非A非B型20%くらいだったろうか?
そのうち劇症になる確率はA型0.5%、B型20%・・・
劇症になった場合の死亡率A型95%、B型80%・・・
さらに急性から慢性肝炎に移行するのはB型40%、非AB型60%・・・A型は急性のみの転帰で治癒する。
(注:現在の知見とは違います。当時これくらいだといわれていました)

真夜中のICUで、夜な夜な自分の死ぬ確率と慢性化して入院と退院を繰り返す人生の計算を繰り返していた。
今後死ぬ確率は? いや生きているからB型かも?
B型だとすると今後の人生は入退院を繰り返すのか・・・
でもA型なら・・・それなら5%で生き残ったと?
なぜ0.5%を引いたというのか・・・?

何とか生き延びたことが確信できるころには、今度は慢性化の恐怖に怯えた。

死の確率から生き延びた3週間目の夜、看護婦長が飛んできた・・・
「A型でしたよ!よかったー。本当によかった」
(当時:ウイルス型を判定するのに医大に検査出して2週間以上かかっていた)
その晩、当直だった婦長がしみじみ語ったことがある。
「婦長の私がこんなこと言っちゃいけないんだけど、Yさんは同じ関係者だから・・・」
婦長によると、患者の経過やこれからどのくらいでどうなっていくという予測はなんとなくわかるらしい。
それは長年の経験と知識によるものなんだろう。

「でもね、最後の生き死には運命なんだと思う・・・あなたのように死ぬところから生き上がってくる人もいれば、隣の人のようにまだ死ぬはずじゃない人が亡くなる」
横のベッドの人は健診で肺に異常が見つかり、検査入院で入ってきた。
入院日の晩風邪をひき、寒いだの、きついからどうにかしろだの、散々看護婦に文句を言い・・・
その後、一人部屋に連れていかれ翌々日の夜中に亡くなった。
肺がんが見つかっていたそうだが、まだ初期で様態が急変するはずがない状況だったらしい。
今思えば本来の病気に関係なく、単に肺炎になってしまったのだろう。

薄暗いベッドの横に座り話していた婦長さんの顔をなんとなく憶えている。

今回職場のN島さんに話したことがある。
『10%に転べば助からない。でも10人に1人は、ほとんど起きないよ』
「えーっ、10人に1人は結構大きいですよ」
『2,3人に1人は引きそうな気もするが、1回のクジで5人に1人はめったに当たらない・・・なんとなくだけどさ』
たかが10%、しかしそちらに傾けばいきなり悲惨な結果の「されど10%」
ここまでさまざまな条件をクリアし、すでに10%を大きく下回るだろう。

病気に対するいろいろなファクターが科学的な数字で表せたとしても、最後まで残る偶然性。
たまたま起きるその人をとりまく固有の条件、偶然の産物X。
もともとは科学的な一般化された統計確率、しかし、行きつく結果が重ければ重いほど「運命」という言葉に近いものとなる。
冷静に考えれば普通の生活で何かが起きる可能性と同じだったとしても・・・

かつてアインシュタインが言った言葉
「神はサイコロを振らない」
しかし現実に神はサイコロを振り、人はその確率に翻弄されるのである。


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2 コメント

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シ-ル交換 (kataoti)
2017-11-26 18:04:40
酒のさかなさんの方法でシ-ル&セルクラッチが交換出来ましたが、フライホ-ルネジの締付けトルクが分かりません。外す時に位置をマ-クすべきでした。数値が分かればトルクレンチを購入予定です。回答よろしくお願いします。
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ローターの締め付けトルク (よよよ)
2017-11-26 19:12:38
サービスマニュアルでは、
80Nmまたは8kgmです。
ほとんど思いっきり締めていいと思いますが(^^ゞ
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