酒のさかな

平凡な笑市民が日ごろの暮らしの中で出会ったこと
【縦横無尽探険隊別館】

科学的文化(素養)のない某S県と某S新聞

2021-09-26 14:47:16 | 技術系

今日の地方紙の第1面!
【出典:2021.9.26佐賀新聞】

『へぇ、低所得な家庭は朝食を食べない傾向があるんだ・・・』
朝、新聞を広げながら興味を持って(疑いも持って^^;)読んでいた。。。

【出典:2021.9.26佐賀新聞】

 …(@_@)???  ざっと暗算してみる。
『朝食を週一抜く家庭なんてあるだろうし、ほぼ食べていると言える上の2つを足してみると・・・』
   ◎低所得世帯 89.4% とな。
   ◎それ以外は 94.4% だとさ。

『本当に低所得者は朝食を抜く家庭が多いのか?』
89%と94%の差で何が言えるのだろう。

そいで・・・新聞記者は何を根拠に第一面で主張したかったのか。。。
【出典:2021.9.26佐賀新聞】
『あ、やっぱりバカだ(-_-;)』
某S県唯一の地方紙、文化の象徴である「某S新聞」の記者ですらこの程度である。
『まぁ、ウソは言ってないよ、ウソは。だけどこれ書いた奴はアタマ悪すぎる』
さらに、過去何度も書いてきたように低レベルの主張「~倍になった」との決まり文句。

『こりゃダメだ、全く読むに値しない記事で地方新聞としての文化素養に欠ける』
ということで、元データを探してみた。

〔佐賀県〕〔子ども生活実態調査〕でググると、記事の元となった報告書を発見。

さて、低所得家庭で朝食を抜くのは、経済的理由なのか?忙しすぎるからなのか?
みなさんと一緒に検証していこう。

【出典:佐賀県庁HP 子ども生活実態調査報告書】

★低所得が朝食欠食の原因なのか?
『確かに食料が買えない割合は低所得者が多いようだ・・・』

【出典:佐賀県庁HP 子ども生活実態調査報告書】

★忙しいのが朝食欠食の原因なのか?
『所得の差もあるけど、本質はひとり親ということが忙しさの要因かもね・・・』

【出典:佐賀県庁HP 子ども生活実態調査報告書】

★問題の朝食の調査結果である。
新聞では、「所得の低い世帯では3割が朝食を週一回以上欠食している」としている。
でもね、私なら問題にしたいのは満足に朝食を食べられない子供のことだ。
週1回の欠食が問題になるとは思えない。
『それは単なる1個のデータを取り上げただけではないのか?』

問題となるのは「朝食をほとんど食べない」と回答した世帯ではなかろうか。
低所得層14世帯、非低所得層58世帯・・・
ここは5.5%と2.7%の割合比較で分析するのでなく、絶対数で議論すべきだろう。
2370世帯のうちの72世帯が「なぜ朝食を食べていないのか」
貧困を原因と断定しても救われるのは14世帯であり、貧困でない58世帯は救われないのだから。。。

こんな文章を書くきっかけは、「そこに科学的な意味があるのか」という疑問だったのである。

さて、ここでこの調査結果の前提となる「低所得世帯」を示しておく。
【出典:佐賀県庁HP 子ども生活実態調査報告書】

★世帯1人当たりに割り返した所得で検討してあり、考え方は悪くないと思う。

データを検討するには、生データが必須である。
なので、報告書から各生データを生成してみた・・・

【低所得家庭の朝食の欠食は経済的理由か、多忙によるものか】
 ○食料が買えない場合があることについては、当然のように低所得世帯が多い。
 ○仕事の多忙で子供にかまえないのは、圧倒的に片親世帯が多い。
 ◎週にほぼ朝食を食べているのは、両親世帯が多い。

※ この集計をするまでは、統計的な検定をして有意差があるかで議論しようと思っていた。
 しかし「ほぼ朝食べる」の集計で明らかなように、貧富の差は関係ないことは明白である。
 統計処理なぞするまでもなく、ひとり親世帯であることが朝食の欠食に影響しているのであり、
 それは忙しいことが影響している可能性が高いと推察される。
 しかし、実は朝食を毎日完璧に食べることに意味はなく、子供の成長を妨げるほどの欠食が
 隠されていることのほうが重大な課題なのである。
 そこにはおそらく「多忙」よりも「貧困」が影響するのであろうし、それには「ひとり親」
 はあまり関係ない可能性が高い。
 しかし、今回の調査からはそのことを指摘できるデータは得られていないので、欠食の多い
 対象者に対し詳細な追跡を行うべきだと提言したい。

※たいそうな調査を行って、得られたデータからこの程度しか考察できない某S県の能力。
 都合のいいデータのみ取り上げて結論を構築する某S新聞の記者。
 自分で「考える」ことを放棄したなれの果ての姿である。
 ここまで科学的な土壌の育たない某S県を憂いてやまない。