駅前のYさんとの会話。
「想い」
あとさきに しばし住む世は 違えども
胸に抱きし 想い変わらず
蔵
Yさん: | 「最近は朝起ききらんようになった」 |
ワシ: | 「夜は何時に寝るんですか?」 |
Yさん: | 「1時かな」 |
ワシ: | 「遅いすね」 |
Yさん: | 「昔仕事しよった頃は3時間しか寝よらんかったよ」 |
ワシ: | 「3時間ですか!」 |
Yさん: | 「なんかでね、ナポレオンは3時間しか寝らんかったて聞いてから、3時間でいいんやな思うてそれからずっと3時間よ。忙しい頃やったけんね、仕事がはかどるはかどる」 |
ワシ: | 「すごい体力ですね。なんかスポーツされてたんですか?」 |
Yさん: | 「いや、若い頃は女遊びば~っかしよった」 |
ワシ: | 「あははは!」 |
Yさん: | 「休みごとに違う女ば連れてね。そして時々は女を全部集めてダンスパーティーばしよったよ」 |
ワシ: | 「へーしゃれてますね」 |
Yさん: | 「いろんなとがおったよ。学校の先生もおりゃあパンちゃん(進駐軍相手の娼婦)もおったよ。パンちゃんが来たら嫌がるともおったばってん、あれたちは好きでしよるわけじゃないけんね。生活のためにしよるんやけん、みんな平等にせないけんいうて呼びよったよ」 |
ワシ: | 「へー」 |
Yさん: | 「そしたらくさ、あたしがあんまり遊ぶもんやけん、親戚が全部集まって仕事せれ言うて説教されたよ」 |
ワシ: | 「あははは!」 |
Yさん: | 「それからは仕事一筋や。女遊びはぴたーっとやめた」 |
ワシ: | 「すごいすね」 |
Yさん: | 「人間はね、そういう時期がいるとよ。世の中の裏も表も知ってね、初めて強くなれると。あたしゃそう思うよ」 |
ワシ: | 「なるほど」 |
Yさん: | 「結婚してからは仕事一筋やったばってん、年に一回はかあちゃんば外国に連れて行ったもんね。そしてかあちゃんが死ぬ時、『あたしは幸せやった』て言うてくれたとが一番の慰めやね」 |
ワシ: | 「そうですか・・・・・・」 |
Yさん: | 「今頃くしゃみしよろうよ。ははは」 |
「想い」
あとさきに しばし住む世は 違えども
胸に抱きし 想い変わらず
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